毎年7月は悔しさと怒りが想起される月です。
2005年7月12日早朝、神戸地検特別刑事部の一団が、兵庫県西宮市に在る甲子園球場の近くの私の自宅と、そこから徒歩数分の事務所を急襲しました。
あれからもう19年、来年で20年です。7月12日という日は、私にとっても鹿砦社にとっても屈辱の記念日です。怒りを込めて振り返れ!
この「名誉毀損」に名を借りた出版弾圧によって鹿砦社は壊滅的打撃を被りました。
松岡は逮捕され、以降192日間、神戸拘置所に勾留、いわゆる「人質司法」で何度も保釈請求は却下され、ようやく保釈されたのは年を越した2006年1月20日でした。
保釈されてもすでに本社、東京支社ともに撤去され、なんとか集めた50万円で東京千代田区三崎町に5坪の事務所を、旧友で不動産業のAさん(私が鹿砦社を引き継ぐ時の立会人)が手配し、ひとり中川志大で再出発しました(現在は同じビルの2室ぶち抜きで13坪を借りています)。本社も、倉庫としていたアパートの1室で、見えない明日を目指して歩み出しました。
しばらくは本当に辛い日々でした──。
しかし、生き残っていさえすればチャンスはやって来るものです。事件から4年後の2009年、実験的にわずか1000冊出した、ある本が一気にブレイク、次々とヒットが続きました。奇跡としか言いようがありません。翌年2010年には、もうダメだろうと思っていた甲子園復帰ができたのです。
突然の逮捕事件によって会社は壊滅的打撃を被るという悲劇が、その後の私たちの運命を変えました。そのまま沈んでしまうのではなく、奇跡(自分でもそう思います)の復活を遂げることができたのでした。
逮捕され壊滅的打撃を被った時は、これ以上の悲劇はないと思っていましたが、なんとか生き残り愚直に頑張っていれば必ず勝機は訪れる、ということを思い知りました。
まさに「人間 万事塞翁が馬」です。
その後、好況は続き、私も左団扇で後進に道を譲ろうとしていたところ、くだんの新型コロナ襲来、一気に奈落の底に落ちました。これもまた「塞翁が馬」、人生にはいろんなことがあるものです。
当初甘く構え、しばらくは持ちこたえていましたが、前代未聞の大混乱を惹き起こしました。いったん回復しつつも(昨年は黒字でした)、不安定で、今またもがいています。
思い返せば、けっこういろいろあったな、浮き沈みの激しい人生で、満身創痍、そのたびにみなさん方に助けていただき這い上がってこれました。
人も会社も苦境にあってこそ、その真価が問われます。
その人や会社に、まだ生き残る価値があるのならば、おそらく潰れないでしょう。
さあ、どうなることやら、勝機を掴むため、もうひと頑張りするしかありません。
Tomorrow is another.
(松岡利康)
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