無名外国人のメインイベンター起用の意味は?
そのエマニューエル・スキアフィノーはヒザ蹴りでルベン・ブサのアバラ折る衝撃的勝利。
NJKFから出場の嵐はノックアウト完勝で日本人メインイベンターの存在感を示す。
ジョニー・オリベイラは2度ノックダウン奪われ、
反則減点も課せられる苦しい大差判定負け。
アマチュア経験豊富な女子選手の飛躍も目立った。
◎MAGNUM.60 / 7月7日(日)後楽園ホール17:15~20:36
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会
(戦績は協会資料を参照し、この日の結果を加えています。ここでは嵐の不戦敗を省きます。)
◆第13試合 65.0kg契約3回戦
エマニューエル・スキアフィノー(アルゼンチン/32歳/ 63.9kg)5戦4勝(3KO)1敗
VS
ルベン・ブサ(イタリア/19歳/ 63.5kg)13戦10勝3敗
勝者:エマニューエル・スキアフィノー / TKO 1ラウンド 1分54秒
主審:少白竜
パンチと上下の蹴り分けで積極的な両者。エマニューエルの前蹴りからのヒザ蹴りでルベン・ブサが後退。打ち返せず下がったところにエマニューエルは飛びヒザ蹴りを加え、更にヒザ蹴りで一方的になってルベン・ブサはスタンディングダウンを取られた。
続行後、エマニューエルの右ミドルキックの連打で、ルベン・ブサが怯むとレフェリーがストップをかけた。最初のヒザ蹴りでブサは左脇腹を痛めていた様子。試合後は肋骨骨折の疑いが診断されていた。
◆第12試合 78.0kg契約3回戦
マルコ(イタリア/伊原/34歳/ 77.4kg)11戦5勝(1KO)3敗3分
VS
ヘスス・クアドゥラード(ISKAスペインChamp/23歳/ 76.9kg)12戦11勝1敗
勝者:マルコ / 判定2-0
主審:宮沢誠
副審:少白竜29-29. 勝本30-29. 中山30-28
両者のパンチと蹴りの多彩な攻防は、ヘススの我武者羅な攻めをマルコが凌ぎ、圧力と的確差で優ったマルコが僅差判定勝利。
マルコは試合後、「もっとしっかりパンチの後はキックとコンビネーションをやった方が良かった。そんなキレイなアクションやりたかった。今後もっと強くなりたいです。9月に結婚するので10月の試合は無いですけど、その次の興行ではしっかり試合頑張ります。」と語った。
◆第11試合 54.0kg契約3回戦
NJKFバンタム級チャンピオン.嵐(=坂本嵐/キング/19歳/ 53.85kg)
14戦12勝(6KO)2分
VS
TENKAICHIバンタム級チャンピオン.川端駿太(SHINE沖縄/26歳/ 53.55kg)
10戦4勝5敗1分
勝者:嵐 / KO 1ラウンド 2分23秒 /
主審:椎名利一
嵐の牽制のパンチとローキック。距離感掴んで上下打ち分け、飛びヒザ蹴りも加え、川端駿太の空いたボディーに左フック3発目、完全に効かせてテンカウント。余裕のノックアウト勝利。
◆第10試合 60.0kg契約3回戦
日本スーパーフェザー級チャンピオン.ジョニー・オリベイラ(トーエル/46歳/ 59.8kg)
63戦16勝(1KO)29敗18分
VS
IOCインターコンチネンタル・フェザー級チャンピオン.辰樹(Y’ZD豊見城/29歳/ 59.8kg)
15戦6勝(2KO)6敗3分
勝者:辰樹 / 判定0-3
主審:勝本剛司
副審:少白竜24-30. 宮沢24-30. 中山宏美24-30(第3Rオリベイラに減点1含む)
ジョニー・オリベイラはいつものアグレッシブに攻めるも、第2ラウンド早々に辰樹の左フックでノックダウンを奪われ、リズムが狂った様子。最終第3ラウンドにはホールディングで減点も課せられ、終盤には辰樹の左ストレートでノックダウンを奪われ、距離感を掴めないままの終了。
「離れて相手の距離を潰さないとね。辰樹のパンチ見えなかったというから一発喰らって調子狂ってしまい、距離の掴み間違いでしたね。」とは側近の語り。
◆第9試合 スーパーフェザー級3回戦
赤平大治(VERTEX/21歳/ 58.7kg)7戦5勝(3KO)1敗1分
VS
山川敏弘(京都野口/34歳/ 58.5kg)21戦8勝(4KO)11敗2分
勝者:赤平大治 / KO 2ラウンド 1分54秒 /
主審:椎名利一
蹴りからパンチに移った攻防の中、赤平大治の左ロングフックで山川敏弘がノックダウンし、セコンドからタオルが投げられ、ドクターもリングに入ろうとするが、レフェリーはテンカウントまで数えて赤平大治のノックアウト勝利。KO賞も獲得した。
◆第8試合 63.0kg契約3回戦
須貝孔喜(VALLEY/23歳/ 62.8kg)6戦2勝4敗
VS
平田大輔(平田道場/25歳/ 61.6kg)2戦2勝(1KO)
勝者:平田大輔 / 判定0-3
主審:少白竜
副審:椎名27-29. 宮沢29-30. 勝本26-29
第1ラウンド、平田大輔の右ストレートでグラついた須貝孔喜。逆に打ち合いに出て平田をグラつかせ、どちらかが倒されるスリルの中、圧していく須貝に対し、的確差で平田が優り、僅差判定勝利となった。激闘を展開した両者に伊原信一代表から敢闘賞が贈られた。
◆第7試合 女子(ミネルヴァ)スーパーフライ級3回戦(2分制)
永島梢(K’Bスポーツ/37歳/ 51.7kg)37戦22勝(7KO)13敗2分
VS
鈴木咲耶(チーム鈴桜/16歳/ 50.45kg)2戦2勝(1KO)
勝者:鈴木咲耶 / TKO 1ラウンド 1分59秒 /
主審:中山宏美
11年ぶりの試合という永島梢だったが、アマチュア90戦、プロ2戦目の高校2年生の鈴木咲耶の首相撲の上手さと蹴りのバランスの良さが優っていた。首相撲からの崩しの際か、倒れた永島梢が左足首辺りを負傷。更に組み合ってからの鈴木咲耶のヒザ蹴りでノックダウンした永島梢は足の負傷で立ち上がれずカウント中のレフェリーストップとなった。
◆第6試合 女子(ミネルヴァ)51.0kg契約3回戦(2分制)
NADIA(アルゼンチン/ 50.15kg)8戦4勝1敗3分
VS
ミネルヴァ・スーパーフライ級4位.紗耶香(BLOOM/ 51.7→51.0kg)
15戦5勝(1KO)9敗1分
勝者:NADIA / 判定2-1
主審:宮沢誠
副審:椎名30-28. 中山29-30. 少白竜29-28
◆第5試合 女子(ミネルヴァ)アトム級(102LBS)3回戦(2分制)
ミネルヴァ・アトム級5位.Marina(健心塾/17歳/ 45.7kg)9戦4勝(1KO)5敗
VS
aimi-(DANGER/46歳/ 45.6kg)9戦1勝5敗3分
勝者:Marina / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:椎名30-28. 宮沢30-27. 少白竜30-27
◆第4試合 女子(ミネルヴァ)ライトフライ級3回戦(2分制)
DJナックルハンマーyokko(team AImerrick/ 48.3kg)4戦4敗
VS
山崎希恵(クロスポイント吉祥寺/ 48.45kg)1戦1勝(1KO)
勝者:山崎希恵 / KO 2ラウンド 1分16秒 /
主審:宮沢誠
第2ラウンド、山崎希恵の右ハイキック一発がキレイにyokkoのアゴにヒットし、ノックダウンを喫する。マットに膝を着けたままファイティングポーズをとるyokko。立っているつもりだったろうが、そのままカウント9でレフェリーストップされた。厳密に言えばテクニカルノックアウトだが、ほぼテンカウント同様で山崎希恵ノックアウト勝利。
◆第3試合 アマチュア女子 38.0kg契約2回戦(2分制)
西田永愛(伊原越谷/13歳/ 37.2kg)vs瀬川柚子心(小野道場/14歳/ 37.35kg)
勝者:瀬川柚子心 / 判定0-3 (19-20. 19-20. 19-20)
◆第2試合 アマチュア 46.0kg契約2回戦(2分制)
西田蓮斗(伊原越谷/14歳/ 45.35kg)vs庄司翔依斗(拳之会/16歳/ 44.49kg)
勝者:庄司翔依斗 / 判定0-3 (19-20. 19-20. 19-20)
◆本戦第1試合 アマチュア 34.0kg契約2回戦(2分制)
武田竜之介(伊原越谷/10歳/ 33.3kg)vs銀牙(TAKEDA/11歳/ 33.8kg)
勝者:銀牙 /判定0-3 (18-20. 19-20. 18-20)
◆オープニングファイト第2. アマチュア49.0kg契約2回戦(2分制)
原龍之介(伊原越谷/13歳/ 48.2kg)vs竹田奏音(TAKEDA/15歳/ 47.7kg)
勝者:竹田奏音 / 判定0-3 (18-20. 18-20. 18-20)
◆オープニングファイト第1. アマチュア33.0kg契約2回戦(2分制)
渋谷剛(伊原越谷/10歳/ 32.0kg)vs平山晴翔(TAKEDA/11歳/ 27.6kg)
勝者:渋谷剛 / 判定3-0 (20-18. 20-18. 20-18)
《取材戦記》
この日、両国国技館では井岡一翔のWBA・IBF世界スーパーフライ級王座統一戦、フェルナンド・マルティネス戦が行われていました。こちらも気になる興行でした。この日、新日本キックボクシング協会興行と重なっていなかったら行きたかった両国国技館です。
日本のメインイベンター嵐は危なげないノックアウト勝利。対戦相手、TENKAICHIバンタム級チャンピオンの川端駿太を“沖縄のチャンピオン”と表現したとおり、地方発祥のタイトルも増えている現在である。4月のスックワンキントーン・バンタム級チャンピオン桂英慈と引分けた試合から、また必殺ノックアウトが復活した感の嵐は9月15日(日)にホームリングのNJKF興行に出場予定です。宣言している世界制覇までライバルを蹴散らし、どこまで倒し続けられるか。
今回の興行は常連チャンピオン瀬戸口勝也の出場は無く、ジョニー・オリベイラがエース格的存在。しかしメインイベンターは無名の外国勢。日本のメインイベンターは他団体のNJKFから参加の嵐。選手層の薄さが表れる新日本キックボクシング協会。
この数年の流れを見て、やむを得ないという現状ではあるが、前日計量に現れたのは、スペインからやって来たプロモーターのチント・モルディージョ氏。なかなか恰幅良くトークを広げていた。
伊原道場アルゼンチン支部は数年前からディエゴ・ゴンザレス・ラヴォルペ氏が担っているが、今後、両者が新日本キックボクシング協会で伊原代表と、ヨーロッパ、南米、アフリカ等との交流、国際戦を計画しているという話であった。
リング上ではスペイン語によるトーク。通訳で協会スタッフの川久保悠さんが解説していたが、チント氏は更にオープンフィンガーグローブ使用のキックボクシング試合も日本に持ち込みたい意向があるという。そこまではどう進むか分からないが、とにかく話題は尽きない伊原プロモーション。次回興行の10月6日(日)のTITANS NEOS.35からこの戦いは始まる予定です。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」
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