◆老朽原発依存経営の泥沼にのめりこむ関西電力

能登半島地震は、原発は地震に脆く、地震に伴って過酷事故が起これば、避難も屋内退避も困難を極めることを再認識させました。

地震は「いつ、どこで、どの規模で発生するか」予知できません。8月8日の日向灘地震以降、南海トラフ巨大地震発生の可能性が高まったとされています。南海トラフ巨大地震が起これば、連動して、各地の断層が動くとも考えられます。地震多発国に、原発はあってはなりません。

それでも、「原発依存社会」へ暴走する自公政権は、原発推進法(「GX束ね法」)の実態化のために、「原発・再エネの最大限活用」を進めるとする第7次エネルギー基本計画の策定を進めています。既存原発の再稼働、40年超え運転をさらに進め、60年超え運転も拡大し、原発建て替え、新設も俎上に上らせようとしています。

一方、老朽原発依存経営の泥沼にのめりこむ関電は、本年5月、原子力規制委員会から高浜3、4号機の20年間運転延長の認可を得ました。ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使用する原発の40年超え運転は初めてです。これで、来年には、関電の稼働可能な原発7基の内の5基が40年超え運転となります。老朽原発では、交換不可能な圧力容器の脆化が進み、点検や交換が難しい配管、送電ケーブルの損傷も進んでいます。

◆使用済み核燃料の乾式貯蔵が孕む2つの問題

ところで、原発を動かすと使用済み核燃料が発生しますが、発生直後の使用済み核燃料は、膨大な放射線と熱を発しますから、燃料プールで水冷保管しなければなりません。そのプールが今、満杯になろうとしています。満杯になれば原発を運転できなくなるため、電力会社や政府は、放射線量と発熱量が減少した使用済み核燃料を乾式貯蔵に移して、プールに空きを作ることに躍起です。

ところが、乾式貯蔵には2つの問題があります。一つは、乾式貯蔵に移すことによって出来たプールの空間に、高放射線、高発熱の新しい使用済み核燃料を入れた場合、そのプールが崩壊すれば、大惨事に至ることです。

もう一つは、乾式貯蔵に移した使用済み核燃料の行き場がないことです。関電や政府は、行き場として青森県の核燃料再処理工場の稼働を願望していましたが、8月23日、日本原燃は27回目の目の再処理工場完成延期を発表しました。再処理工場が完成する見通しはありませんから、使用済み核燃料は行き場を失ったことになります。危険極まりなく、行き場もない使用済み核燃料の発生源・原発は全廃しなければなりません。

自公政権が、数を頼んで成立させた「原発推進法(GX束ね法)」は、関連法の整備が必要であるため、60年運転に関わる部分などは未だ施行されていません。完全施行は来年6月といわれています。脱原発を求める市民の行動が拡大すれば、骨抜きに出来、実行不能に追い込むことも出来ます。今が私たちの正念場です。目に見え、耳に聞こえる行動に起ちましょう!

※第118回「老朽原発うごかすな!実行委員会」実務担当者会議案内より抜粋転載

▼木原壯林(きはら・そうりん)
老朽原発うごかすな! 実行委員会。1967年京都大学理学部化学科卒。理学博士。専門は分析化学、電気化学、溶液化学。熊本大学、京都工芸繊維大学名誉教授等を歴任。京都悠悠化学研究所主宰。

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お陰様で10周年を迎えました!
《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

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龍一郎揮毫

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