年齢差あるカードが多かった今回のマッチメイクは若さの勢いとベテランの意地が見られました。

初メインイベンター吉田凛汰朗はベテラン宮越慶二郎の老獪なテクニックに苦戦の敗戦。

小林亜維二は認定チャンピオン初戦を辛勝。

◎NJKF CHALLENGER 2024 / 9月15日(日)後楽園ホール17:20~21:18
主催:TAKEDAジム / 認定:NJKF

◆第10試合 64.0㎏契約3回戦

NJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凜汰朗(VERTEX/2000.1.31茨城県出身/63.9kg) 
26戦12勝(3KO)10敗4分
       VS
宮越慶二郎(拳粋会宮越道場/1990.1.28埼玉県出身/63.55kg)
46戦29勝(8KO)14敗2分1NC

勝者:宮越慶二郎 / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:少白竜29-30. 宮沢29-30. 多賀谷28-30
宮越慶二郎は興行MVP

初回、パンチと上下の蹴りで様子見の両者。第2ラウンドにはパンチの距離となり、吉田凛汰朗が狙った前進の中、宮越慶二郎は3年ぶりの試合ながら動きは良く、先にクリーンヒット。

吉田は打ち返そうと狙って出るが、宮越は躱す上手さもあってクリーンヒットしない展開、多少パンチを貰っても逆に打ち返す中、ヒジ打ちもヒットさせ、ディフェンスと凌ぎ切るベテラン宮越の上手さがあった。

焦りもあったか、吉田凛汰朗の右ストレートはヒットせず、宮越慶二郎が読み切った

宮越慶二郎のカウンターパンチヒット、もどかしい吉田凛汰朗

吉田凛汰朗コメント

「宮越選手の技術で呑まれてペース完全に掴まれてしまって打ち合いに応じて行っちゃったというのが本当に一番の反省点です」。

毎度の振り、5回戦制だったらという問いには、「5回戦だったらという作戦もあると思いますが、3回戦が今回の試合なので、3ラウンドでしっかり勝負を付けなければならず、今回は本当に完敗という感じです」

話を振れば、いつも笑顔で応え、落ち込むという表情ではないが、試合からこのインタビューまでキツイ時間だっただろう。また上を目指して頑張る意気込みはしっかり持っていた吉田凛汰朗である。

宮越慶二郎のリング上でのマイクアピールでは、「最高過ぎて言葉に出ません!リング上でのこの景色見れて感無量です」と率直なコメントを残していた。

巧みなテクニックで感無量の勝利。この日のMVP獲得の宮越慶二郎とスポンサーさん

◆第9試合 ウェルター級3回戦

NJKFウェルター級チャンピオン.亜維二(=小林亜維二/新興ムエタイ/2006.2.16神奈川県出身/66.55kg)11戦7勝(3KO)3敗1分 
        VS
シュートボクシング日本ウェルター級チャンピオン.奥山貴大(SPORTS/GSB/1994.3.14愛知県出身/66.5kg)24戦17勝(6KO)7敗 

勝者:亜維二 / 判定3-0
主審:児島真人
副審:少白竜28-27. 宮沢28-27. 中山28-27

初回、蹴りからパンチの様子見ながら次第に距離が近くなる打ち合いに移り、第2ラウンド終盤には打ち合いから奥山貴大の左右フックで亜維二はノックダウン喫してしまう。

第3ラウンド開始早々には奥山の左フックと亜維二の右ヒジ打ちでダブルノックダウンになりかけるも奥山貴大のみのノックダウンとなり、亜維二が巻き返した流れから蹴りを加えた打ち合いの激しい攻防で終了。

亜維二の長身を活かした左ミドルキックヒット

ダブルノックダウン気味も亜維二はすぐ立ち上がり、奥山貴大はダメージあるノックダウンとなった

亜維二コメント

「率直な感想としては、本当にまずは勝てて良かったというのがあって、ダウン取られた時は、やっぱり相手もタフな選手なので、“うわー、取り返すのキツ~!”と思いながら立ち上がったんですけど、最後は取り返せて良かったです。反省点はもっと攻撃纏めたり、ガードもしっかりしないとこれが自分の短所なので、もっと自分の短所削って長所を伸ばして、皆に安心して楽しく観せられるようにしていきたいです。“いい試合だったけど・・・”と後に欠点が付くので“だったけど”が無くなるようにしたいですね。」と反省の言葉だった。

◆第8試合 64.0㎏契約3回戦

WBCムエタイ日本スーパーライト級2位.健太(E.S.G/1987.6.26群馬県出身/ 63.65kg)
121戦68勝(21KO)45敗8分
 
         VS
シュートボクシング日本ライト級2位.基山幹太(BELLWOOD FIGHT TEAM/ 2001.12.24/兵庫県出身/64.0kg)22戦13勝(1KO)8敗1分 
引分け 0-1
主審:多賀谷敏朗
副審:児島29-29. 宮沢29-30. 中山29-29

パンチと蹴りの攻防。スピードはやや基山寛太にあり、ベテラン健太の返し技の上手さが光った。最終第3ラウンド終盤には、健太がアグレッシブに打ち合いに出るインパクトを残すが、第1ラウンドが互角以外、ジャッジ三者の採点が分かれるラウンドが続いて、振り分け難い展開でもあった。

基山寛太の右ストレートが健太の顔面を捉える

引分けとなった基山寛太と健太

◆第7試合 第14代NJKFフライ級王座決定戦 5回戦

1位.谷津晴之(新興ムエタイ/ 2003.5.7神奈川県出身/50.65kg)20戦10勝(4KO)5敗5分
        VS
2位.西田光汰(西田/ 2001.2.13愛知県出身/50.65kg)10戦7勝2敗1分
引分け
三者三様
主審:少白竜
副審:児島49-48. 多賀谷48-49. 中山49-49 (延長戦は三者とも9-10)
西田光汰を王座認定、公式記録は引分け

初回からパンチと蹴りの攻防。首相撲の展開もありスピーディーな互角の攻防が続くが、決定打は無く主導権支配するには至らない両者。

第4ラウンドには西田光汰のヒジ打ちで谷津晴之の左頬がカットされる。第3ラウンド以降はジャッジ三者が揃う採点は無く、三者三様の引分けによりチャンピオンを決める為の延長非公式戦が行われ、微妙ながら西田の勢いが優った。

多彩に打ち合った両者。西田光汰の右ストレートヒット

谷津晴之の右ミドルキックヒット、互角の攻防が続いた

西田ジム会長の父親にチャンピオンベルト巻いて応援団に挨拶する西田光汰

◆第6試合 59.0㎏契約3回戦

NJKFフェザー級4位.新人(E.S.G/35歳/58.7kg)43戦23勝(5KO)18敗2分
        VS
NJKFスーパーフェザー級5位.麻太郎(健心塾/22歳/59.0kg)18戦9勝(1KO)8敗1分
勝者:麻太郎 / 判定0-3
主審:宮沢誠
副審:少白竜28-30. 多賀谷28-30. 中山27-30

打撃の攻防は若い麻太郎のパンチとハイキックの攻勢力が優った。

◆第5試合 フライ級3回戦

永井雷智(VALLELY/17歳/50.8kg)5戦4勝(3KO)1分
      VS
藤原将裕(マイウェイスピリッツ/30歳/50.45kg)6戦3勝3敗 
勝者:永井雷智 / KO 1ラウンド2分17秒 / 3ノックダウン
主審:児島真人

永井雷智はアグレッシブにストレートパンチでノックダウンを奪い、藤原将裕も少々蹴り返して頑張ったが永井雷智が3ノックダウンを奪って完勝となった。

◆第4試合 58.0㎏契約3回戦

和斗(大和/26歳/57.95kg)7戦4勝(2KO)3敗
       VS
蹴橙(クローバー/25歳/57.85kg)3戦2勝(2KO)1敗 
勝者:和斗 / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-27)

◆第3試合 スーパーウェルター級3回戦

風成(エス/27歳/69.4kg)4戦2勝(1KO)1敗1NC
      VS
須藤雅人(OGUNI/26歳/69.55kg)1戦1敗
勝者:風成
/ KO 2ラウンド2分3秒 / 3ノックダウン

初回、蹴りからパンチでリズムを掴んだ風成が連打でノックダウンを奪い、第2ラウンドにも右フックで3度ノックダウンを奪って圧勝。

◆第2試合 フライ級3回戦

手塚瑠唯(VERTEX/17歳/50.55kg)3戦1勝(1KO)2敗
      VS
植田琥斗(E.S.G/18歳/48.95kg)1戦1勝 
勝者:植田琥斗 / 判定0-3 (28-30. 28-30. 28-30)

◆プロ第1試合 女子(ミネルヴァ)フライ級3回戦(2分制)

ミネルヴァ・スーパーフライ級9位.芳美(OGUNI/ 50.4kg)41戦11勝(2KO)27敗3分
       VS
堀田優月(闘神塾/15歳/50.3kg)2戦2勝
勝者:堀田優月 / 判定0-3 (28-30. 27-30. 27-30)

◆アマチュア2. OVER40 60kg級2回戦(2分制)

幸島秀之(サンライズ)vsアニマルタケ王(D-BLAZE)
勝者:アニマルタケ王 / RSC 1ラウンド1分53秒

◆アマチュア1. (ジュニア部門)EXPLOSION 2回戦(90秒制)

佐藤陽平(TAKEDA)vs太田善(エス)
勝者:佐藤陽平 / KO 1ラウンド54秒 / 2ノックダウン制

《取材戦記》

今回はCHALLENGER 5という表記でした。5回目でしたっけ?

武田幸三氏はセレモニーで「2月、4月、6月と来て今回が4回目!」と意識してか知らずか、御挨拶の中でそんな言い回しがありました。関西は「NJKF west 1」から予定の「west 5」まで発表されているので混合はしていないでしょう。今回は4回目でした。

盛り上がりはしたが、厳しい立場を残したメインイベントとセミファイナル。
プロモーター武田幸三氏は、
「自分も一切忖度しないでマッチメイクするので、まあそれが上に行く為の手段と思うので、毎回冒険で、今回はいい薬になりましたね。まだまだ本当に努力しなきゃいけないし、やらなきゃいけないことが沢山ありますが、現在地がようやく分かりましたね。」と語った。

プロモーターとしての現在地、選手らの現在地。停滞する場合もありながら、日本のトップ団体にする為の努力がこれからも続きます。

亜維二vs奥山貴大戦は第3ラウンドにダブルノックダウンが起こった。厳密には亜維二は軽いヒットのフラッシュダウン。奥山貴大は効いて倒れたノックダウン。レフェリーによってはダブルノックダウンとした判断もあっただろう。フラッシュダウンはすぐ立てばノックダウン扱いはしない現在の風潮で、これは勝敗の運命決める裁定。試合後に「あれダブルノックダウンじゃなかった?」と聞いてくるジム関係者も居て、物議を醸す問題ではないが、想定しておくべき事案でしょう。

プロボクシングJBCは起こり得る想定は毎度ミーティングしているということです。

「5回戦だったら」という振りを使う場合がありますが、それは3回戦制での試合後の「あと2ラウンド延長されていたら」という意味ではなく、契約時から5回戦という意味で、その想定での練習、スタミナ配分があります。吉田凛汰朗や亜維二の試合も5回戦だったらもっと戦略が幾つも複雑になっていたかもしれません。それがプロ選手の総合力が見られる長丁場の戦いです。

NJKF CHAKKENGER 5回目は11月10日(日)に後楽園ホールに於いて「55kg級JAPAN CUP 1st」8人トーナメント初戦、嵐vs壱世センチャイジム決定済を含む主要4試合を中心に行われます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

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