イスラエル軍元兵士が語る『平和』 ダニーネフセタイさん講演会が9月18日(水)、広島市東区民文化センターで広島瀬戸内新聞が主催して行われました。
◎[参考動画]「武力で平和は生まれない」 元イスラエル軍兵士が広島で語る「平和」(広テレ!NEWS 2024年9月18日)
◆「武力で平和は生まれない」 元イスラエル軍兵士が広島で語る「平和」
ダニーネフセタイさんは1957年生まれの今年67歳。ダニーさんは、2008年にイスラエル軍が子どもを多く殺したことで、イスラエルがやっていることがおかしいと気付いたそうです。
ダニーさんの祖父母はそれぞれポーランド、ドイツから1920年代にイスラエルに移住。しかし、自分以外の親戚はホロコーストにあったそうです。しかし、イスラエルに移住したことでバランスが崩れてしまった。
「パレスチナでは英国が独立させる際に当初はユダヤ人・パレスチナ人が半々に土地を分割するはずだったのが実際にはユダヤ人が75%、パレスチナ人が25%になってしまった。パレスチナ人が面白くないのは当然。」
「ユダヤ人がパレスチナ人の土地を奪う。家に火をつける。車を壊す。そういうことが毎日のようにガザではなく表向きは安定しているように伝えられているヨルダン川西岸でも起きている」
と、紹介しました。
そして、なぜ、こういうことになるかといえば、
「イスラエルの文科省が認めている地図ではガザ地区との境界は書いてあるがヨルダン川西岸もゴラン高原も自国だ。子どもたちは毎日そういう地図を見る。歪んだ教育が戦争を肯定する人間を生み出している」
とダニーさんは指摘しました。
高校卒業後、イスラエルでは18歳になると男女問わず徴兵されます。ダニーさんは高校卒業後、空軍に所属しました。
しかし、今となっては「パイロットにならないで良かった」と振り返ります。
「パイロットになった友人もいるが、そういう友人は『ここに爆弾を落としてきなさい』と命令されたらその通り落としてくる。それによって多くの人を殺していても」
からです。
「ナイフを使って街中で人を殺せばかっこいいということにはならない。戦闘機で何百人も人を殺せばかっこいいとなってしまう。」
「軍隊は、以下のことで成り立っている。①自分たちを善、相手側を悪と差別すること。②殺人を正当化するほどまでに上官の命令に従うことが徹底している(普通の会社ではそういうことはない。) ③物事を解決することは話し合いではなく、武力で解決する。イスラエルはパレスチナのことをイスラエル軍にすべてを任せているから解決しない。」
と指摘します。
「イスラエル軍は1000万円の爆弾でガザを攻撃し、安全だとするが、ガザは5000円で出来るロケット弾で対抗する。結局、軍事費はうなぎ上りになってしまう。」
「イスラエルはフェンスをつくってガザを封鎖してしまった。」
「10.7以降、イスラエルの若者がガザに行く支援物資を止めてしまう。戦争は普通の人を鬼にしてしまう。」
「イスラエル軍は、力で抑えることで安全神話をつくってきた。しかし、そのたびにそれは崩れてきた。」
「イスラエルは、西岸地区でもパレスチナ人を勝手に逮捕してきた。」
◆「テロリスト」と決めつけず、対話を!
ダニーさんは、
「ハマスはテロ組織ではない。一応選挙で選ばれていた。テロという職業はない。自分の目的を達成するためにテロをやっている。」
と指摘。
「1946年当時、ユダヤ人のリーダーの後のベギン首相がイギリス軍司令部を爆破するというテロを行った。のちにベギン首相はエジプトとの和平で1979年にノーベル平和賞をもらった。1948年にイスラエルは独立したためにイギリスに逮捕されず、その後首相になった。」
という事実を紹介しました。
そして、
「テロリストと決めつけたら話ができなくなる。しかし、長年戦争をしていたイスラエルは実際にエジプトと和平し、その後はエジプトに平気で観光に行くようになった。」
「ガザとイスラエルの対立は数千年もあるから対話は無理だという人もいるかもしれない。しかし、50年前は検問所などもなかった。1998年にはガザ市とテルアビブ市は姉妹協定も結んでいる。和平をしようとすればできないことはない。」
と強調しました。
◆イスラエルはこのままではPTSDで持たない
イスラエルはガザを2008年に大規模に攻撃し子どもがたくさん殺した。その時に生き残った子どもが2023年、イスラエルを攻撃した。また、ハマスの指導者を暗殺したが、イランは報復すると宣言。イスラエル国民はおびえている。殺された人だけでなく、殺した人もPTSDなどと言う形で被害を受ける。
ダニーさんは
「戦争の時代に生まれた犠牲者でもあるが、政治家の間違った判断の犠牲者であり、間違ったプロパガンダの犠牲者でもある」
と指摘しました。
◆(核)抑止力ってあるのか?
ダニーさんは、「(核)抑止力」に疑問を呈しました。
「中学生がナイフを「抑止力のため」と持ち込んだら先生が認めるか?」
「岡山が攻めてくることに備えて「広島軍」をつくりますか?」
と問いかけました。
また、
「ロシアもイスラエルも核兵器を持っているが、ウクライナはモスクワまで攻撃しているしハマスもイスラエルを攻撃した。」
と核抑止力に疑問を呈しました。
◆戦争をベースにする歴史教科書
ダニーさんは歴史教科書が戦争をベースに記述していることも問題視しました。
「今、ロシアとウクライナは戦争していますが、欧州の51か国中2か国だともいえる。イタリアではいつもどおりピザを食べている。ただ、そんなことは教科書には載らない。」
「大昔でも、戦争をしていない国の方が多かった。戦争を止められないなら、戦争をしている国の方が多くなる。」
と指摘しました。
◆戦争・軍事こそ最大の環境破壊
「戦争はいつかおわる。ヘビースモーカーは余命2週間と知らされたらすぐにやめる。戦争も、気候変動で東京も上海もNYもガザもテルアビブも大変なことになる。そうなれば戦争どころではなくなる。」
「ただ、それを待っていたら、太平洋の島から沈むし、ガザでも人が死んでしまう。今から、平和のため、環境のために私ならがんばる。」
「戦車も戦闘機も燃費が悪い。F35戦闘機は1時間飛ぶと5600リットル燃料、すなわちクルマ1800台分の燃料を消費する。戦争をしなくても練習しているだけでも、どんどん環境を破壊する。戦争は最大の環境破壊だ。」
と指摘しました。
ダニーさんの講演を受けて活発な議論が行われました。
参加者からは
「イスラエルの状況や市民の方々の当たり前を知る機会を与えていただき、ありがとうございました。なぜあの様な状況が起きるのか疑問に思っておりましたが、日本に於ける二次大戦時の市民の方々の思いの推定も含め、認識を新たにさせて貰いました。良く見て、良く聞いて、良く話すことの重要性、夫婦や家庭でも同じだなぁ、と痛感しました。
今後とも、このような上質な知識を得る機会を提供いただくようお願い致します。」
「戦争がもたらすこと戦争で何が起こっているかを伝えようという熱意、わかりやすく伝えたいという思いを強く感じました。おそらく、悲しみ怒りなど、持ちながら希望を伝えたいという思いを感じました。」
などの感想を戴きました。
◎[参考動画]イスラエル軍元兵士が語る『平和』IN広島 ダニーネフセタイさん講演会 広島瀬戸内新聞ニュース(2024年9月18日)
▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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