新たな歴史が刻まれるか、ミネルヴァ新階級。上真が初代チャンピオン成る。
宗方888(はちみっつ)は調子を上げて来た今年の活躍、JUN DA LIONを追い詰めて判定勝利
◎DUEL.31 / 10月13日(日)GENスポーツパレス 18:30~21:04
主催:VALLELY / 認定:NJKF
◆第11試合 女子ミネルヴァ・ペーパー級(-95LBS/43.09kg)王座決定戦 3回戦(2分制)
2位.AIKO(AX/1987.2.10生)17戦8勝9敗
VS
3位.上真(ROAD MMA/1985.10.16石川県出身)15戦6勝9敗
規定の3回戦は引分け 三者三様 / 延長判定0-3(ミネルヴァは延長戦含む勝敗決定)
勝者:上真が初代チャンピオン
主審:中山宏美
副審:児島29-29(9-10). 宮沢29-30(9-10). 多賀谷30-29(9-10)
AIKOのフック気味の右ストレートが攻勢を維持するかに見えたが、蹴りの距離からクリンチ、首相撲に移ると長身の上真の圧力が優って3ラウンドまでは互角に終わり、延長戦も上真の勢いにAIKOはパンチも打ち難い流れ。延長戦を含む全4ラウンドは徐々に上真が勢いを増した流れとなった。
上真は元々アトム級(-102LBS)の選手で、徐々に二階級下げての王座獲得となった。
上真は「やっぱり首相撲の展開が多くて、自分は打撃で勝負したかったんですけど、くっついて(首相撲)が多かったので持ち上がらないように重心を下げたりして対策しました。第1~2ラウンドは落としたなと思ったんですけど、第3ラウンドは巻き返したかなと思いましたが、延長になった時は“よっしゃー!”と思いました。これで勝てると思ったので。勝てたことは本当に嬉しいです。次は撫子さんと初防衛戦になるので、しっかり練習積んで防衛したいと思います」と語った。
ミネルヴァ・ピン級(-100LBS)チャンピオンの撫子がリング上でコメント。
「本来はそのベルトは一番最初に私が巻きたかったというのが本音ですが、それは来年にお預けということで、来年一緒に(タイトル戦)を盛り上げましょう」と新チャンピオンとなったばかりの上真への挑戦を表明。二階級制覇を狙う。元々ピン級という最軽量級だった撫子が更に新設された適正となる最軽量級に挑むことになるでしょう。
◆第10試合 65.0kg契約3回戦
NJKFウェルター級3位.宗方888(KING/1993.4.28生/ 64.95kg)13戦6勝6敗1分
VS
同級4位.JUN DA LION(=松本純/E.S.G/37歳/ 64.4kg)40戦9勝(1KO)24敗7分
勝者:宗方888 / 判定3-0
主審:マット(テーチャカリン・チューワタナ/タイ)
副審:児島30-28. 中山30-27. 多賀谷30-28
宗方はJUNDAの出方を覗いながらパンチから蹴って出る。攻防は互角の展開から徐々に宗方の勢い、的確差が優っていった。第3ラウンドには宗方のパンチでJUNDAが何度かスリップダウン裁定となるが、失速するJUNDAは苦しい展開となり終了間際は宗方の攻勢が目立った。
◆第9試合 ライト級3回戦
NJKFライト級4位岩橋伸太郎(エス/ 60.8kg)25戦8勝14敗3分
VS
同級3位.TAKUYA(K-CRONY/ 61.05kg)17戦7勝(1KO)8敗2分
引分け 0-1
主審:宮沢誠
副審:児島29-30. 中山29-29. マット29-29
両者下がらない蹴り合う攻防が続き、両者の脇腹が真っ赤に蹴り跡が残っていく。ジャッジ三者が揃うラウンドは無い難しい展開で引分けとなった。
◆第8試合 スーパーフライ級契約3回戦
明夢(新興ムエタイ/ 51.85kg)12戦4勝6敗2分
VS
清水健人(白龍/ 51.65kg)8戦8敗
勝者:明夢 / TKO 3ラウンド59秒 / カウント中のレフェリーストップ
主審:多賀谷敏朗
パンチから蹴りの攻防も徐々に明夢が勢いを増して行き、清水健人はロープ際に詰められるシーンが増えていく。第2ラウンドにはロープ際に詰めた明夢がヒザ蹴りでノックダウンを奪い、終了間際にも明夢が首相撲からのヒザ蹴りでスリップ気味ながらノックダウンを奪い、第3ラウンドも明夢がパンチから蹴り、組んでヒザ蹴りを入れたところで清水がノックダウンとなり、カウント中にレフェリーストップとなった。
◆第7試合 55.0kg契約3回戦
ポンパン・エスジム(タイ/ 54.9kg)大凡56戦超30勝
VS
大岩竜也(KANALOA/ 54.7kg)5戦3勝2敗
勝者:大岩竜也 / 判定0-3
副審:宮沢28-30. 中山28-30. 多賀谷28-30
若い大岩竜也がベテランの在日ムエタイ戦士を優るスピードのパンチと蹴りでポンパンのムエタイリズムを崩した流れで判定勝利。
◆第6試合 58.0kg契約3回戦
細川裕人(VALLELY/ 58.0kg)7戦3勝3敗1分
VS
相浦聖那(ANCHORAGE/57.85kg)9戦2勝6敗1分
勝者:細川裕人 / 判定3-0 (30-28. 30-29. 30-29)
◆第5試合 スーパーライト級3回戦
須貝孔喜(VALLELY/63.5kg)6戦3勝3敗
VS
今野龍汰(笹羅/ 62.8kg)8戦2勝5敗1分
勝者:須貝孔喜 / 判定3-0 (30-28. 30-27. 30-28)
須貝孔喜がローキック中心にパンチで今野龍汰を上回る流れ。今野も応戦するも須貝の勢いを止められず終了。須貝がアグレッシブに攻めた全3ラウンドだった。
◆第4当初カード フェザー級3回戦 中止
山本龍平(拳粋会宮越道場)vs 高橋優(CORE)
◆第3試合 女子ミネルヴァ・ペーパー級王座争奪4人制トーナメント準決勝3回戦(2分制)
5位UveR∞miyU(T-KIX/42.95kg)11戦3勝7敗1分
VS
3位.上真(ROAD MMA/ 42.7kg)14戦5勝9敗
勝者:上真 / 判定0-2
主審:中山宏美
副審:多賀谷28-29. 宮沢29-29. マット28-29
上真が長身を活かし蹴りからパンチの攻防を制して際どいながらも判定勝利で王座決定戦に進出。
◆第2試合 女子ミネルヴァ・ペーパー級王座争奪4人制トーナメント準決勝3回戦(2分制)
2位.AIKO(AX/ 42.9kg)16戦8勝8敗
VS
4位.Honoka(健心塾/ 42.4kg)7戦3勝2敗2分
勝者:AIKO / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:多賀谷30-28. 宮沢29-28. マット(テーチャカリン)30-28
AIKOがパンチからの首相撲、ヒザ蹴りで優り王座決定戦に進出。
◆第1試合 アマチュア WBC MUAYTHAI×EXPLOSION 2回戦(90秒制)
宮城壮一朗(Freedom@OZ)WBCムエタイ×EXPLOSION 2024年度中学生 -37kg級王者
VS
林希龍(クレイン)
勝者:宮城壮一朗 / 判定3-0 (20-19. 20-19. 20-18)
(戦績は試合プログラムを参照し、この日の結果を加えています。数値のズレ、更新されていない戦歴もありましたので目安まで。)
《取材戦記》
ついに100ポンドを下回る階級登場。女子に限りますが、フライ級より下に5階級もあるなんて、ジュニアクラスの無い昭和時代だったら考えられない現象です。名称はアトム級、ピン級、ペーパー級など、一般から見れば、どれが上でどれが下の階級か分かり難いものでしょう。
この先、選手層が厚くなっていけばいいですが、ミネルヴァ運営関係者の努力は続きます。
この日の興行を終えてDUEL主催者、米田貴志氏は、
「女子選手の試合が男子選手を全部飲み込んじゃったぐらい素晴らしい試合でした。メインイベンターとしての“どうしても獲りたいんだ!”という気持ちが見えて感動しました。軽い階級だからといって迫力欠ける訳でもなくて、今日一番迫力あったんじゃないですかね。そんなお互い気持ちのぶつかり合いが久々に観れたなと思います」
と評価は上々。
セミファイナルながら男子のトリの宗方888については、
「もうちょい行けば倒せたかな。でもJUNDA選手もベテランだからノラリクラリと躱して“あれ?効いてんのかな!?”というところもありましたけど、宗方選手が攻勢を強めて行ったのは大差を付けられて今後にも期待出来るので良かったですね」
といった総評でした。
AIKOvs上真の3ラウンド終了時の採点集計読み上げでは30対29で最初にAIKOがコールされ、二人目ジャッジの採点時も30対29と続くとリングに入ろうかと片足を踏み入れたAIKO側セコンドの石川直樹氏。しかしコールは上真へ。更に29対29が加わり三者三様へ。延長戦は上真が支配した。
1点差の重み、1者の支持の流れが運命を変える厳しさ。セコンドと共に歓喜に湧くことには成らず、僅かな差で王座に就けなかったAIKOの辛さが表れていました。リングを下りてからは号泣の様子。AIKOにも話を聞きたかったが、「インタビューは泣き止んでから10分後!」という昔の知人記者の話を思い出し、気持ちが落ち着くのがそれぐらいという目安ではあった。他の関係者との話もあって声掛けれずに終わってしまいました。
更に宗方888のインタビューにも行けるようなら狙っていましたが、メインイベント終了後はすでに姿は無いようでした。いつも出来る範囲です。ビビッて行かない時もあります!
次回のDUEL.32はまたベテランや新人が入り混じる展開で、12月8日(日)にGENスポーツパレスで開催されます。
NJKF CHARRENGERは11月10日(日)に後楽園ホールに於いて、55kg級JAPAN CUP 1st、8人トーナメント初戦準々決勝4試合が開催されます。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」