全103試合(3試合中止)の長丁場。1試合の時間は1分から2分制の2回戦と少なく、試合と試合の間も短いので進行は速かった。
次代を担うジュニア選手は最軽量級が19kg以下、王座は23kg以下級より上位へ、一般男子では82kg級、無差別級まである模様。この日は78kg級まででした。あくまでこのDEAD HEATの制定によるもので、他団体ではまた違った制定があるでしょう。
この日のDEAD HEAT王座挑戦者決定戦は7試合、王座決定戦は8試合、王座防衛戦が2試合ありました。
新日本キックボクシング協会興行前座枠に何度か出場経験ある武田竜之介が、やや劣勢から巻き返せず接戦の敗戦。
一般男子では40歳超えと50歳超えの試合もあり、今年1月28日に全日本キックボクシング協会アマチュア大会に出場した、かつての日本ライト級チャンピオン、飛鳥信也さんがこの日も出場。1分制2ラウンドで、対戦相手の染谷勝がアグレッシブにスピードと手数圧倒、飛鳥信也はコーナーに追い込まれ、第1ラウンドにスタンディングダウン。第2ラウンドもスタンディングダウンを奪われ連打されたところでレフェリーストップとなった。
◎DEAD HEAT AMATEUR COMPETITION 20 /
10月27日(日)大森ゴールドジム10:00~17:10
後援:全日本キックボクシング協会
チャンピオン&挑戦者決定1dayトーナメント 主要17試合(+1試合)
◆ジュニア男子27kg級次期挑戦者決定トーナメント決勝戦2回戦(90秒制)
鈴木翔太(CYCLONE)vs 島川琉空(KAGAYAKI)
勝者:鈴木翔太 / 判定3-0
◆ジュニア男子29kg級次期挑戦者決定トーナメント決勝戦2回戦(90秒制)
石川竜之介(健成会)vs 姉帯礼恩(CYCLONE)
勝者:姉帯礼恩 / 判定0-3
◆ジュニア男子31kg級次期挑戦者決定トーナメント決勝戦2回戦(90秒制)
小貝春喜(拳伸)vs 晴空(Master’s pit)
勝者:晴空 / 判定0-3
◆ジュニア男子40kg級次期挑戦者決定トーナメント決勝戦2回戦(90秒制)
中里晃聖(AKIRA budo school)vs 島川湊翔(KAGAYAKI)
勝者:中里晃聖 / 判定3-0
◆ジュニア女子29kg級次期挑戦者決定戦2回戦(2分制)
鈴木彩心(KAGAYAKI)vs YUNON(KING)
勝者:YUNON / 判定0-3
◆ジュニア女子31kg級次期挑戦者決定戦2回戦(2分制)
SARA(Team SRK)vs YU-NA(KING)
勝者:YU-NA / 判定1-2
◆ジュニア男子52kg級次期挑戦者決定戦2回戦(2分制)
塚原陸翔(PAL)vs 渡邉麟生(JTクラブ)
勝者:塚原陸翔 / 判定2-1
◆ジュニア男子46kg級チャンピオン決定トーナメント決勝戦2回戦(90秒制)
姉帯心(CYCLONE)vs 京太郎(TEAM KAMIKAZE)
勝者:姉帯心 / 判定3-0
◆ジュニア女子34kg級チャンピオン決定戦2回戦(2分制)
野本かれん(WIVERN)vs 原ななみ(Team SRK)
勝者:野本かれん / 判定3-0
◆ジュニア女子43kg級チャンピオン決定戦2回戦(2分制)
野中あいら(HIDE)vs 渡邉名那佳(拳伸)
勝者:渡邉名那佳 / 判定0-3
◆ジュニア男子37kg級チャンピオン決定戦2回戦(2分制)
大井鼓哲太(チームドラゴン)vs 日野原晴海(HIDE)
勝者:日野原晴海 / 判定0-2
◆ジュニア男子49kg級チャンピオン決定戦2回戦(2分制)
阿部一心(KDK)vs 英義(稲城)
勝者:英義 / 判定0-3
◆ジュニア男子31kg級タイトルマッチ2回戦(2分制)
チャンピオン.武田竜之介(伊原越谷)vs 挑戦者.岡月音(SUCCEED)
勝者:岡月音 / 判定0-3
◆ジュニア男子52kg級タイトルマッチ2回戦(2分制)
チャンピオン.八十島陸翔(昌平校柏道場)vs 挑戦者.横山琉希(SUCCEED)
勝者:八十島陸翔 / 判定3-0
◆一般女子55kg級チャンピオン決定トーナメント決勝戦2回戦(90秒制)
深谷千穂乃(北眞館)vs MAHO(北眞館)
勝者:深谷千穂乃 / 判定3-0
◆一般男子55kg級チャンピオン決定トーナメント決勝戦2回戦(2分制)
篠原翔夢(Team SRK)vs 鬼久保海斗流(健成会)
勝者:鬼久保海斗流 / 判定0-3
◆一般男子62kg級チャンピオン決定トーナメント決勝戦2回戦(2分制)
遅刻100%(team YU-TO)vs 郁哉TORNADO(TORNADO)
勝者:郁哉TORNADO / 判定0-3
◆第66試合 一般男子(OVER50)62kg以下級Dクラス2回戦(1分制)
飛鳥信也(目黒)vs 染谷勝(GRIT)
勝者:染谷勝 / TKO 2ラウンド / レフェリーストップ
《取材戦記》
アマチュア大会も取り上げること増えたこの頃、今回はDEAD HEATを取り上げてみました。
アマチュアキックボクシング(ムエタイ)は多くの主催者、団体が存在する中、DEAD HEAT主催者の遠藤裕之氏は茨城県水戸市の平戸ジムでキックボクシングを始めた人。1993年6月19日、当時の日本キックボクシング連盟フェザー級チャンピオン、遠藤周作(伊原)との遠藤対決では逆転KO勝利。後の10月9日、再戦での王座挑戦は敗れるも1勝1敗の星を残しました。平戸ジムに於いては小野瀬邦英の先輩となる遠藤裕之氏である。
2018年には地元の水戸市でアマチュアキックボクシングDEAD HEAT興し、20回目となる今回初めて東京進出となりました。
遠藤裕之氏は今回の大会終了後、「初めての東京大会で、地方のアマチュア大会が東京に来てどれだけ通用するかなと思いましたが、遠い所は富山から来てくれたり、近県の方から来てくれたりと皆さん頑張ってくれましたので、良い大会になったと思います。」と来場関係者との対面で忙しかった中、語ってくれました。
一般男子50歳超えに出場した飛鳥信也氏は試合後、「相手(染谷勝)は強かったですよ。開始からアグレッシブに勢いよく出て来られたら、効いてはいなかったけど打たれると印象悪いですね。ああいう相手とは戦略的には5ラウンドがあればいいですね。躱していなして疲れるの待って崩していく。けどまあ私も筋力落ちてるし、スタミナもたないからダメですけど、私とかつて戦った越川豊タイプならガンガン打ち合いに出て、今日の相手とは噛み合うでしょうね。今回は62kg以下級というのも無理があって、もう少し落としていきたいですね。元々現役時代にライト級でも軽い方だったので。」と語る。
かつて東京ドームでベニー・ユキーデと対戦した飛鳥信也さんが、今ではアマチュア、一般枠に戻ってまで、敢えて出場料払って試合しているのも生涯青春を貫きたい拘りがあるからだろう。打たれると周囲からすれば心配になりますが、戦って来た試合勘はしっかりしていて、怯まずカウンターパンチ入れる上手さも垣間見れるのも実力者の証でしょう。今年は10戦こなしており、年内あと2試合予定しているという。プロの厳しさは無い一般枠での戦いは楽しそうで“生涯青春”をまだ暫くは続けられそうである。
アマチュア大会の取材で、ジュニアなど若年層から対象がテーマズレした感のレポートとなり、主催者の遠藤裕之氏と試合を続ける飛鳥信也氏が主役となりました。「継続力は力なり」を実践するお二人。また東京大会が開催される場合は他興行と被らなければ追っていきたいと思います。
次回のDEAD HEAT 21は来年2月9日(日)に水戸市民会館で開催が予定されています。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」