「4・5鹿砦社反転攻勢の集い」へのお祝いと叱咤激励のメッセージ、ありがとうございます!

松岡利康(鹿砦社代表)

「4・5鹿砦社反転攻勢の集い」に、やむなく不参加の方々からのお祝いと叱咤激励のメッセージを以下掲載させていただきます。

◆天木直人さん(発起人。外交評論家/元駐レバノン大使)

右にも左にも与せず、ひたすら権力者の不正義と闘う『紙の爆弾』は、まぎれもなく私が敬愛した岡留安則の『噂の眞相』の後継誌です。がんばって下さい。

◆西谷文和さん(フリージャーナリスト)

『紙の爆弾』20周年、『季節』10周年おめでとうございます。ちょうど20年前、大事件の1つがイラク戦争です。私は2003年のイラク戦争勃発直後から主に中部のバグダッド、北部のクルド地域を訪問してきました。当時、大手メディアの記者たちはエンベッド取材といって「米軍に組み込まれた形での従軍取材」をしておりました。クェートから攻め上がる米軍の車両に乗せてもらって、「バグダッド解放」を報じるわけですが、そこには米軍の無差別空爆で殺された民衆の姿や、米軍がばら撒いたクラスター爆弾で手足を失った子どもたちの姿はありません。私は「爆弾を落とされたイラク民衆の側」からの映像が必要だと思ったので、主に病院や避難民キャンプ、孤児院などを取材しました。すでにこの頃からスポーツやグルメ、芸能界の下半身ネタなど「数字が取れる」番組が増えてはいたのですが、テレビ局の現場には「アメリカの不法な侵略戦争の実態を伝えたい」という使命感を持ったプロデューサーもいて、しっかり地上波で報道することができていました。

大統領がブッシュからオバマに代わり、戦争がイラクからアフガンへとシフトしたので、09年からアフガンに足を運ぶことにしました。この頃になるとさらに報道番組が減って、「全局バラエティー化」と呼べるような事態になり、アフガン特集ができるのは年に1、2度の状態になりました。そして第2次安倍政権になった直後の2014年、菅官房長官や総務省幹部、元公安警察の官邸官僚たちがあからさまに圧力をかけるようになり、TBSから岸井成格さん、NHKから国谷裕子さん、テレビ朝日から古舘伊知郎さんという看板キャスターが番組を下されてしまい、テレビ局は自粛と忖度の嵐に包まれてしまいました。日本の報道自由度ランキングは、11年の11位からドーンと落ちて71位にまで下がったと記憶しています。ほぼ時を同じくしてスマホが社会を席巻するようになり、まずラジオと新聞、次にテレビが斜陽産業化していく中、情報はネットで無料配信される時代になりました。イラクやアフガンでの取材中は、英米仏独はもちろん、スウェーデンやスペインからのフリーランスがいて、互いに励ましながら取材をしていたものですが、コロナ以降はフリー記者が激減しました。おそらく「食べていけない」からだと思います。

このような時代になってからも『紙の爆弾』で、紛争地からのルポを掲載することができています。紙媒体が苦境に陥る中、貴重な存在ですし、私にとっても発表の場があるのはありがたいことです。実は4月8日から中東のレバノン、シリア取材を予定しております。取材許可が下りないので、ガザには入れませんが、レバノンの戦争被害を取材することはできそうです。イスラエルがどのようにしてポケベルに爆弾を仕込んだのか、目の前で爆発しているので、失明した人や指を失った人も多数います。彼らに支援は届いているのか、今どんなことを願っているのか、などをインタビューできたらいいなと考えています。無事帰国したら、また誌上で発表させてもらいたいと願っております。残念ながら本日の記念の集いには参加できませんが、参集されたみなさんのご健康と、『紙の爆弾』の永続を願っております。

◆寺脇 研さん(元文部科学省・映画運動家)

そりゃあフジテレビはひどい。でも他のメディアがそれを指弾できるのだろうか。
たしかに性的問題ではフジテレビほどひどいところはないだろう。

しかし、トランプ、プーチン、ゼレンスキー、ネタニヤフのことばかりはやし立て、国内の重大問題から目を逸らしてきたのは日本の大メディアのほとんど全部だ。SNSなどのネットメディアを信じる気にはなれないが、大メディアへの信頼も地に落ちた。『紙の爆弾』をはじめとする「小メディア」に期待するしかない。まあ、私が60年近く熱中してきた映画の世界でも、大手企業はダメでインディペンデントにしか期待できませんがね。

◆浜田和幸さん(米ジョージ・ワシントン大学政治学博士、元参議院議員)

貴誌の発刊20周年を心よりお祝い申し上げます。現在、海外訪問中のため、祝賀会に参加できず、残念至極です。参加者の皆様が楽しく活発に議論され、交流を深められることを祈念しています。

さて、日本でもトランプ大統領の「相互関税」は大きな話題になっているようですが、ワシントンではいわゆる「関税戦争」は目くらましに過ぎないとの指摘も聞こえてきます。

その代表格は1期目に補佐官を務めたバノン氏でしょう。彼の見立てによれば、「トランプ大統領の関税戦争は目くらましで、真の狙いは3期目の大統領の座」に焦点が当てられているとのこと。

トランプ大統領は「シンゾーは素晴らしい男だった」と、故安倍首相を持ち上げながら、日本への24%の追加関税を発表しました。日本政府は「同盟国への配慮に欠ける決定だ。断固として抗議し、修正を要求する」と述べていますが、トランプ大統領の真意を掴めていないようです。

実は、トランプ大統領は同盟国であろうと、敵対国であろうと、区別する気はさらさらありません。要は、アメリカの「黄金時代」を築くためには、敵味方関係なく、とにかくアメリカの言うことを聞かせようという発想の持ち主なのです。

その意味では、トランプ大統領は中国の習近平国家主席をライバル視しているのもごもっとも。習氏が前例を覆し、3期目に突入したことに大いに刺激を受けたことは間違いありません。しかも、トランプ氏と習近平氏は似たような言動に終始しているではありませんか。

例えば、表現や報道の自由についてですが、習近平氏は香港でのメディアの活動を制限していますが、トランプ氏もメキシコ湾をアメリカ湾に変更した大統領令に従わないAP通信の記者をホワイトハウスでの共同記者会見から排除してしまいました。

また、ウクライナ戦争に関しても、習近平氏はロシアのプーチン大統領寄りの姿勢を堅持していますが、トランプ氏もプーチン氏との直談判に固執しています。

更に言えば、台湾に関しても、習近平氏は「必ず一体化する。必要があれば武力の行使も辞さない」と繰り返していますが、トランプ氏も「グリーンランドもパナマ運河もアメリカのものだ。必ず取り返す」と事あるごとに訴えているではありませんか。

事程左様に、共通点の多いのがトランプ氏と習近平氏なのです。トランプ氏とすれば、習近平氏が3期目を経て、場合によっては「終身国家主席」を狙っているのであれば、自分も同じような長期政権を目指すと心に決めているとしか思えません。実際、3月30日のNBC放送のインタビューに応えて「冗談抜きで3期目の可能性はあり得るだろう」と率直に心情を吐露していました。そのためには憲法の改正が必要になりますが、トランプ陣営は抜け道を考えています。

何かと言えば、2028年の大統領選挙ではバンス副大統領が大統領候補となり、トランプ氏は副大統領候補に回るという筋書きです。そして、意図したように、バンス大統領が誕生した暁には、権力をトランプ副大統領に移譲し、実質的な3期目のトランプ政権の発足になるというシナリオに他なりません。

日本を含め、一方的な関税戦争はトランプ大統領が政権を去れば終焉し、より安定した通商貿易関係が復活すると期待する向きも多いようですが、そうは問屋が卸さないでしょう。もし、2028年にホワイトハウスを去ることになれば、彼は即座に収監されるはずです。そうした不名誉な末路を回避するには終身大統領で居続けるか、自分の身内を大統領職に就けることが必須条件になります。そうしたトランプ氏の精神構造をしっかりと把握した上で、対米交渉を推進しなければ、日本はいつまで経っても属国のまま。

『紙の爆弾』が日本人の覚醒に必要な情報と分析を提供され続けることを切に期待しています。

◆矢谷暢一郎さん(アルフレッド州立大学名誉教授)

月刊誌『紙の爆弾』の創刊20周年、季刊誌『季節』(前『NO NUKES voice』)の創刊10周年に当たって、出版社「鹿砦社」が「反転攻勢の集い」を開催するというニュースがニューヨーク州の小さな大学町に住むわたしのところにも届きました。地球のちょうど反対側に位置する小さな町から、わたしもまた「反転攻勢」と銘打った鹿砦社の出版活動を支持し、今日お集まりくださった皆さんに激励と連帯のメッセージを送ります。

松岡さんに初めて会ったのは2005年3月、亡き藤本敏夫の墓参りに京都に行ったおり友人から紹介された時でした。墓参りが終わってかっての友人たちと会食もありましたが、初対面の彼とはあまり話をする時間が無く、短い一時帰国の後すぐニューヨークに戻りました。しばらくして鹿砦社が出版していた多くの本の中から10冊に近い本を仕事場のニューヨーク州立大学アルフレッド校まで送って貰いましたが、その中の一冊が『紙の爆弾』でした。60年代後半のヴェトナム国際反戦運動を経験していた人たちには理解できても、一瞬たじろぐようなタイトルに初対面では伺われなかった松岡利康と出版社鹿砦社の活動を思い巡らせました。ところが、送ってもらった全ての本を読み終わらぬ前に、その松岡さんが「名誉毀損容疑」を冠した言論の自由抑圧を謀る政治的な目論見で逮捕・長期拘留された、と大学のオフィスにメールをくれたのが中川志大さんで、鹿砦社存続の危機に抗して奮迅する彼と社員の方々の松岡・鹿砦社救援キャンペーンに参加しました。あれから20年が経ち、『紙の爆弾』創刊の20年が重なりあいます。

『季節』の前身である『NO NUKES voice』が創刊されたのが2014年の夏、今からちょうど10年前です。同じ年に鹿砦社はわたしの著書、『日本人の日本人によるアメリカ人のための心理学』を出版してくれました。学生時代アメリカのヴェトナム反戦運動と1968年原子力空母エンタープライズ佐世保寄港反対アメリカ神戸領事館包囲デモで逮捕されたことがきっかけ(?)でアメリカ政府の「ブラックリスト」に載せられたわたしが、オランダでの国際政治心理学会でアメリカにおける反核運動の運動について発表後ケネデイー空港で逮捕され長期拘留となりました。当時テレビ新聞、ラジオでも報道されましたから、わたしと同様大分お年を召した人たちはひょっとしたら今でも記憶にあるやもしれません。事件の後1990年代初めニューヨーク州立大学アルフレッド校の心理学教授になり、反核運動の心理学をテーマにした内容の本でした。

本日の集いは、これら二つの月刊誌・季刊誌の創刊記念を踏み台にした「鹿砦社反転攻勢」の集いでありますが、先ほど述べたように二冊の雑誌はわたしの人生の有り様に深くかかわって来ております。残念ながら、この「日本プレスセンター」には出席できませんが、一言挨拶させてもらう次第です。イスラエルとパレスティナ、ウクライナとロシアの二つの戦争とアメリカのトランプ大統領の再選は、世界の平和と民主主義に極めて重大な脅威となっていますが、真実を報道し、権力者の不正義と横暴さを監視する本来のジャーナリズムの使命を果たすために、「反転攻勢」を掲げる鹿砦社の決意に賛同し、大いなる躍進を願ってその一翼に加わりたいと思います。

◆鈴木和枝さん(特別賛同人)

『季節』創刊10周年、『紙の爆弾』創刊20周年おめでとうございます。

色々やりくりが大変とは思いますが、今後貴社が大いに発展していかれるよう皆様どうかがんばって下さい。私も陰ながら応援しています。

私は今、ほとんどの情報媒体を絶ち、人との交流もなく、陸の孤島と化した環境で暮らしています。ですから貴社の出版物、そして何より『紙の爆弾』の存在がいかに重要か、とても一言では言い表せません。貴社がつぶれたら私は本当に困ってしまいます! 貴社を助けることは即ち私自身を助けることであるのです。これからも巨大な敵に屈することなく、共にがんばりましょう。

◆中尾茂夫さん(賛同人)

貴誌『紙の爆弾』創刊20周年、おめでとうございます。既存のジャーナリズムのなかで、突出して存在感のある貴誌に、「ジャーナリズムとはこうあるべし』という物書きの原点を教えられる思いです。権力の提灯持ちが多い中で、かつての『噂の真相』同様、権力の不正義と闘うたしかな政治的主張があるからです。面白おかしいだけでヘイトスピーチのようなネット画面に溢れる情報とは異なり、広告代理店に支配されただけの大手メディアとも異なり、危機的な時代にあって、時代を抉った中身の濃い内容に、深く共鳴しながら拝読しています。苦しい経営に、わずかですが、今回は「賛同人』として応援させていただきます。

松岡の大学の後輩で、魂の書家・龍一郎が、今回の集いに送ってくれた、熱い激励のメッセージ

中国レポート① 好調な経済、破綻はあり得ない、現実の世界と西側メディアが描く空想の世界の乖離

黒薮哲哉

階段を這うように登る4つ足のロボット。荒漠たる大地を矢のように進む時速450キロの新幹線。AI産業に彗星のように現れたDeepSeek-R1。宇宙ステーションから月面基地への構想。学術論文や特許の件数では、すでに米国を超えて世界の頂点に立った。中国の台頭は著しい。2024年度の貿易黒字は、9921億ドル(約155兆円)を記録した。貿易には相手国があるので、数字を偽装することはできない。

◆豊饒な食

筆者は、2024年9月から、2025年1月までの5カ月のあいだ中国の遼寧省に滞在して、この国の日常を凝視した。

この町に住んで最初に筆者が感じたのは、豊饒な食である。日常の中で食生活にまつわる場面が展開している。団地のマンションは、ベランダを台所に割り当てたものが多く、冬には湯気で白く曇ったガラスの向うで動いている人々の姿が浮かび上がる。

市場では、大胆に食材が捌かれる。鮮魚売り場では、エプロンをした店員が、プラスチック製の塵取りで、エビや貝を掬い取って袋に詰める。日本のように少量のパック詰めにはしない。精肉店では店員がナタのような包丁を振り上げて、あばら骨が付いた豚肉を砕き、それをビニール袋に詰めて客に手渡す。大量に購入して、冷凍庫で保存したり、親戚に分けしたりする。少量では販売しない店もある。果実店売場では、店員が手の平をがんじきのようにして、大きなビニール袋にミカンを掻き入れる。食品を販売するスケールが、日本に比べてはるかに大きい。

市場近辺の路地には、露天商らが店を設置している。屋台を構えた店だけではなく、歩道に段ボールや板を敷いて、その上に果実などを並べている所もある。街路樹と街路樹の間にロープを張って、そこに衣類をかけて露店販売をしている店もある。

露天商といえば日本では貧しいイメージがあるが、中国では一概にそうとも言えない。「農家ですから、われわれよりも金持ちですよ」と言う人もいる。露店で販売されている果実は、マーケットで販売されているものよりも品質が高い傾向がある。実際、味覚にほとんど外れがない。露店商が成り立つゆえんである。

インターネットを駆使した販売は露店でも定着している。電子マネーの決済はいうまでもなく、メールマガジンで客に、商品情報を送る店もある。外見は質素に見えても、路地裏にまで近代化の波が押し寄せている。もはやひと昔まえの中国ではない。

ちなみに現金も流通している。電磁マネーしか使えないという情報は正確ではない。

◆北京・観光客の波

入国からおよそひと月が過ぎた2024年10月、筆者は旅行会社のツアーで北京市を観光した。

万里の長城は北京市の中心から、登り口までがおよそ140キロに位置している。徒歩で山道を登るコースと、ロープウェイで頂上へ向かうコースがある。わたしはロープウェイを選んだ。ジェットコースターに類した乗り物が敷設されていて、係員が客を一人ずつ1ユニットに乗車させ、安全具の装着を確認する。スキー場のリフトのように回転が速いので、大量の客を効率よく送り出す。

ロープウェイが急斜面のトンネルの中を這うように登っていくと、やがて青空の下に緑の山腹が姿を現す。さらに登ると頂上の駅に到着する。

幾つにも重なる山々の稜線に沿って、城壁が遠方まで波のように続いている。その城壁上の路が空に向かって急こう配で伸びている。蟻の群れのように路上で動いている赤や青の点は、観光客のジャケットである。

しかし、観光客の波という点でいえば、北京市の中心にある故宮博物館(紫禁城)は、万里の長城とは比較にならない混雑ぶりだった。平日だというのに、初詣を迎えた日本の寺院のように、人であふれていた。正直なところ古代へのロマンに浸りながら、建造物を鑑賞する雰囲気ではなかった。

旅行案内書によると、故宮は東京ドーム8個分の広さである。その領域が人で込み合っている。ガイドに先導されて、故宮の出口にたどり着くまで、3時間ほどを要した。大通りの歩道にも人が溢れていた。観光産業の繁栄は、好調な経済の反映にほからない。

◆共働きの平均収入が400万円の遼寧省

ジェトロ(日本貿易振興機構)のデータによると、遼寧省の在職労働者平均月間給与は、7909元(16万6000円、2022年度)である。年収にするとおよそ200万円。夫婦が共働きしていれば、家計収入が400万円程度になる。為替レートで換算した日本の収入水準に比べると低いが、それをもって消費生活が日本よりも低迷しているということではない。

次に示すのは、買い物レシートから抜粋した物価である。()内は、円に換算した物価である。購入場所は、鞍山市のマーケットである。

500ミリリットルのペットボトル:1元(21円)
大サイズのリンゴ2.1キログラム(5個):23.5元(493円)
小粒のミカン1.9キログラム:15元(315円)
キャベツ1個(2.9元)(61円)

食品以外の物価も記録しておこう。滞在中にパソコンのマウスが故障して、家電専門店でマウスを購入した。ワイヤーが付いたタイプで、価格は16元(336円)だった。Cadeveというメーカーのもので、性能は日本で購入するものと変わらなかった。

遼寧省大連市で、地下鉄に乗った。乗車賃は一律2元(42円)。70歳から無料になる。地下鉄の運賃も、日本とは比較にならないほど安い。

ただ、スマートフォンやブランド品などはかなり高価な価格設定で、日本と変わらない。総括すると、中国では最低限の生活は保障されていると言える。実際、「子ども食堂」や「年末の炊き出し」といった日本ではホットな話題は聞いたことがない。スラム街も見あたらない。平日の午後に大きな公園へいくと、高齢者がダンスやカラオケを楽しむ光景に遭遇する。定年後もあくせくと働かなければならない状況ではないようだ。

生活の質は実際に現地で生活してみなくては見きわめが着かない。GDPや平均年収の世界ランキングと一致しているわけでもない。それは国の政策によって大きく左右される。中国にも格差は存在するが、それは社会主義の段階ではまだ想定内のことであって、後進国であるかのような捉えかたは、実態とかけ離れている。

◆「先進国」に特徴的な輸出傾向

わたしが中国に滞在した5カ月に焦点を当ててみても、経済に関わる大きな出来事がいくつかあった。たとえば昨年の11月に、中国の支援でペルー政府が、首都リマの郊外に最新鋭の設備を備えた港を開港した。この港がラテンアメリカとアジアを結ぶ海の玄関となる。

さらにペルーからアンデス山脈を縦断してブラジルの大西洋へ通じる鉄道の敷設計画も明らかになった。ペルーから中国製品が南アメリカ全土へ行き渡り、南アメリカからおもに農作物や鉱物が中国へ入ってくる。中米ニカラグアの太平洋岸から、内陸の湖を経由してカリブ海へ通じる運河の建設計画もある。中国とラテンアメリカは年々距離を知締めている。

今後、中国から電気自動車など、最新のテクノロジーを取り入れた重工業製品が輸出されていく可能性が高い。それは「先進国」に特徴的な輸出の傾向である。

◆経済破綻などまずありえない

日本のマスコミの大半は、中国経済が明日にでも崩壊するかのような報道を繰り返してきた。その予想の拠り所となってきたのが、不動産不況である。しかし、中国では、日本のバブル崩壊のような現象は起きなかった。

その要因として、中国研究の専門家・遠藤誉氏は、「六大国有銀行の自己資金率が非常に高く保たれている」ことを上げている。

また、「2022年末で、国有銀行が不動産事業に融資している貸出割合は6%に過ぎない」ことも別の要因である。(出典:「中国がGDP成長率発表 数値に疑問を呈した中国のエコノミストの正当性は?」)。究極のところ、中国経済を日本と同じ資本主義の国だという誤った前提で捉えていたということである。

しかし、中国はすでにITやグリーンエネルギーなど新しい産業分野の創出に成功している。しかも、今後、輸出がますます拡大していく。日本の経済誌が繰り返してきた経済破綻などは、まずありえない。

◆西側が描く空想世界と乖離する中国の現実世界

5カ月の滞在日で、中国で最も印象に残っているのは北京市の夜である。渋滞した車列の傍らを、赤い尾灯を光らせたバイクと自転車が早瀬のように流れていく。頭上にはネオン。自転車に人民服を着た人がまたがって街を移動していた時代の面影はない。中国の変化は著しい。現実の世界と西側が描く空想の世界の乖離はますます広がっている。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年3月5日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

万博会場の隣で建設工事が本格化! 大阪維新が露骨にIRカジノ建設を急ぐ理由 

尾﨑美代子

◆IRカジノ建設のための大阪万博開催

IRカジノの建設工事が4月24日から始まるという。4月13日、大阪・関西万博が始まったばかりというのに。ははは、わかりやすいね。万博が始まったものの、完成していないパビリオンもあるというのに、すぐ近くでカジノの建設工事が始まるというのだ。さすがにカジノ(ばくち場)の建設・整備事業のために税金は使えないだろうということで、道路などのインフラ整備工事を「万博のため」とやってきた。そんなことはもう大阪の人はみんな知っている。

それにしてもあからさま。万博の隣でドッカン、ドッカン工事が始まり、建設資材や作業員を乗せた建設車両が万博のそばを行きかうんやで。

しかも下の地図でもわかるように、夢洲駅からは万博会場よりもカジノ建設現場に行く方が近いやんけ。またこの記事には書かれてないが、夢洲駅から万博会場に向かう道路よりも、カジノ建設現場に向かう道路の方がよほど整備されているのだと。露骨やなあ。

それにしてもここまで露骨にカジノ建設工事を急ぐのは、維新も万博はもう失敗だったと認識しているから。始める前から失敗はわかっていた。だってこの、2025年に「空飛ぶ車」とか「人間洗濯機」とか「機運醸成」とか言う? 「三者凡退」の世界かよ。そんな昭和のおっさんだけがずらりと並んだ開幕式のテープカット、「ちょっとこれはまずいでしょ?」と意見する人もいなかったのか。東京五輪の映画監督を務めた河瀨直美があれだけ批判され、あげく映画もさんざんだったのに、また今回も起用するという時点で、もう万博はどうでもいいんですが感が漂っていたが。ここまで露骨とは驚き。

つまり、維新は、万博を成功させようとかは全然考えていない。自分らの関係する業者が儲かればいいだけ。カジノ建設工事を急ぐのもそのため! 万博コケて、維新もコケてしまったら大変。だったら、今のうちに儲けておこうということ。

夢洲カジノは、もともと富裕層を呼び込むジャンケット業者(富裕層をカジノへ招待し、航空券、ホテル、滞在中の移動や食事などを世話をする職業)が入らない。しかも夢洲カジノに入るのはほとんどはスロット、新今宮駅前にドンキと併設して入るマルハンと一緒やで。そこに高い入場料払っていくか?

◆「今だけ、カネだけ、仲間の業者が儲ければいいだけ」

維新のやることは全て同じ。新今宮駅の北側に建設された星野リゾート、その近くにJR高架下に出来た屋台村、ずっと閑古鳥泣いてたが、すべて撤去された。

その近くに出来た横丁的なビル、毎朝その前を通っているが、表通りに面した2件の店舗、1件は高級和食店みたいな店名の看板を上げていたし、胡蝶蘭も飾られてたが、結局開店前に看板下ろしたし、隣のおされなカフェは開店、若いおされな店員が寒い冬に表で客引きしていたが、もう閉店した。

2019年、大阪城公園内に肝いりで開業した、吉本が外国人観光客目当ての出し物「KEREN」なんか、開業直前に知り合いの知り合いの男性から「吉本のお偉いさんに叱られるから来て!無料券あります」とメールきたで。結局、維新の造園業者にバッサ、バッサと木を伐採させ、「KEREN」を作り、吉本芸人にちょっと儲けさせただけ。 それよりアソコ、今、息してんの??

とにかく、維新のやることは全て同じ。「今だけ、カネだけ、仲間の業者が儲ければいいだけ」。だから、「コケる前に工事行っとけ」ということ!
維新の万博、失敗してもいいが、これ、税金やで。おい。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

4月24日(木)夕刻、尾﨑美代子さんが京都で冤罪テーマの講演を行います!

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

5月11日までのキックボクシング  4つの興行の見どころ!

堀田春樹

今回は4つの興行をピックアップしています。
武田幸三と立嶋篤史の共通点はChallenger!
立場は違うが、初メインイベンターの山本太一と木下竜輔、インパクトある展開を魅せるのはどちらか。

◆爆発シリーズvol.2 / 4月26日(土)後楽園ホール17:15~
 主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

NKBライト級3位、山本太一(ケーアクティブ)は初メインイベンターとして、ジャパンキックボクシング協会フェザー級1位、皆川裕哉(KICK BOX)と対戦。山本太一は青コーナーだが、実績で優る皆川裕哉を赤コーナーに迎え討つ。

皆川裕哉は去年11月24日、勇成(Formed)に3ラウンドKO負けで王座転落し、5ヶ月振りのリングとなります。

山本太一は去年12月14日、利根川仁(Realiser STUDIO)と連続ノックダウン奪われる劣勢から逆転のノックダウン奪う見せ場を作るも、更に攻め込まれ3ラウンドTKO負け。今回はライト級から、フェザー級まで落とす準備はあるという59.0kg契約での出場。どちらもここを踏み台に上昇気流に乗りたい戦いとなります。

今年2月22日、NKBライト級王座決定戦で、棚橋賢二郎(拳心館)と引分け(公式記録)るも、延長戦で優勢点を受けて王座獲得となった乱牙(=蘭賀大介)が、廣野孝文(KING LEO)と対戦。

廣野はRISE、DEEP KICKなどで活躍し、今回NKB傘下初出場。お互いパンチの打合い必至の攻防が観られそうである。

NKBバンタム級5位、兵庫志門(テツ)が杉山三兄弟の三男・海瑠(HEAT)と対戦。

爆発シリーズvol.2、山本太一と乱牙は牙城を守れるか


《主要6試合》

●第11試合 メインイベント 59.0kg契約 5回戦
 ジャパンキック協会フェザー級 1位.皆川裕哉(KICK BOX)
        vs
 NKBライト級3位.山本太一(ケーアクティブ)

●第10試合 セミファイナル 63.0kg契約3回戦
 NKBライト級チャンピオン.乱牙(=蘭賀大介/ケーアクティブ)
        vs
 廣野孝文(KING LEO)

●第9試合 バンタム級3回戦
 NKBバンタム級5位.兵庫志門(テツ)vs 杉山海瑠(HEAT)

●第8試合 60.0㎏契約3回戦
 JKイノベーション・スーパーフェザー級5位.夢叶(エムトーン)
        vs
 KEIGO(TOKYO KICK WORKS)

●第7試合 スーパーウェルター級3回戦
 清水武(sbmTVT KICK LAB)
        vs
 郷野聡寛(元・全日本キック連盟ヘビー級Champ/リングスジャパン)

●第6試合 59.0kg契約3回戦
 JKIフェザー級4位.都築憲一郎(エムトーン)vs 堀井幸輝(ケーアクティブ)

以下、アンダーカード6試合(ノーランカー、新人戦、アマチュアオヤジキック)

[左]山本太一は皆川裕哉を迎え討つ初メインイベンター/[右]皆川裕哉は山本太一を捻じ伏せられるか

※               ※               ※

◆NJKF CHALLENGER.8(2025.2nd) / 4月27日(日)後楽園ホール17:15~
主催:(株)オフィス超合筋 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟

2月2日のCHALLENGER.7のリング上で、武田幸三氏よりバンタム級とスーパーバンタム級でトーナメント開催が発表。各4名参加の王座争奪トーナメントが行われます。王座決定戦は6月8日予定です。

昨年11月10日のNKJF祭として行われたKICK BOXING JAPAN CUP 55kg級8名参加トーナメントといったイベントとは違う、本来のチャンピオンシップ制度のトーナメントとなります。当初出場が決まっていた大田一航は負傷欠場の為、祖根亮麻が代打出場します。

昭和からの現役生活、伝説のチャンピオン立嶋篤史が出場。53歳で100戦を超える、負け込んでも拘りの挑戦と、デビュー当時と変わらないフェザー級を維持して来た戦いに注目が集まります。

立嶋篤史がポスターになる、未だカリスマ的存在

アンダーカードでは過去新日本キックボクシング協会で活躍した第6代日本ミドル級チャンピオン、喜多村誠が出場。現在の昇龍チャンピオン、小林亜維二との世代間の差26歳差の戦いが行われます。

WBCムエタイ日本バンタム級トーナメント参加メンバー、嵐の存在感が引き立つ

●第9試合 WBCムエタイ日本バンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦
 1位.嵐(NJKF同級Champ/KING)
 vs
 2位.山脇飛翼(K-1ジム心斎橋チームレパード)

●第8試合 WBCムエタイ日本バンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦
 4位.JIN(MA日本同級Champ/楠誠会館)
 vs
 3位.星拓海(IDEAL)

●第7試合 フェザー級 5回戦
 立嶋篤史(第11、13、15代全日本フェザー級Champ/ASSHI-PROJECT)
 vs
 NJKFスーパーバンタム級4位.前田浩喜(CORE)

●第6試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦
 3位.繁那(R.S)vs 祖根亮麻(大和)

●第5試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦
 7位.中島凛太郎(京都野口)vs 藤井昴(KING)

●第4試合 69.0kg契約3回戦
 NJKFウェルター級チャンピオン.小林亜維二(新興ムエタイ/2006神奈川県出身)
 vs
 喜多村誠(/リアクトジム湘南/ステラ恵比寿/1980.7.22福岡県出身)

●第3試合 NJKFフライ級次期挑戦者決定戦3回戦
 2位.永井雷智(VALLELY)vs 3位.高木雅己(誠至会)

●第2試合 スーパーフェザー級3回戦
 NJKFフェザー級6位.新人(E.S.G)
 vs
 NJKFスーパーフェザー級5位.豪(GRATINESS)

●第1試合 50.0kg契約3回戦
 S-1女子世界フライ級覇者.真美(Team ImmortaL)
 vs
 佐藤”魔王”応紀(元・聖域東北ライトフライ級覇者/PCK連闘会)

以下、アマチュア2試合

NJKFスーパーバンタム級トーナメント参加メンバー

※               ※               ※

◆絆 XVI / 5月11日(日)
 春日部ふれあいキューブ OPEN 15:00 / START 16:00
 主催:PITジム / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟

16回目の絆興行、大月謙会長が率いる興行3年目となります。過去、新日本キックボクシング協会で活躍した第9代日本フライ級チャンピオンの石川直樹が春日部出身の地元で4年連続の出場。首相撲とヒザ蹴りのしぶとさ見せるか。大岩竜世は昨年12月8日に赤平大治(VERTEX)に僅差2-1の判定勝利。一歩ずつ王座を目指す中での石川直樹と対戦となります。

佐々木勝海も王座挑戦に近い存在として注目される存在です。

昨年の絆のリングでの石川直樹、今年も華麗に登場か

《主要3試合》

●第8試合 メインイベント  スーパーバンタム級3回戦
 石川直樹(元・日本フライ級Champ/Kickful)
      vs
 WBCムエタイ日本スーパーバンタム級6位.大岩竜世(KANAROA)

●第7試合 セミファイナル  63.0㎏契約3回戦
 NJKFスーパーライト級3位.佐々木勝海(エス)
 vs
 ペレー・サンライズジム(サンライズ)

●第6試合 58.0kg契約3回戦
 蹴登(クローバー)vs 横山みさと(MY)

以下、アンダーカード7試合(ノーランカー、新人戦)

PITジム主催「絆」4年連続出場は石川直樹

※               ※               ※

◆TITANS NEOS 36
 5月11日(日)後楽園ホール17:15~
 主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会

新日本キックボクシング協会のエース格に浮上した木下竜輔出場。3月2日にジョニー・オリベイラを飛びヒザ蹴りで倒してインパクトを残した王座獲得後の第一戦。どんな成長が見られるか。細川裕人は2月2日にRyu(クローバー)にヒザ蹴りを効果的に使って判定勝利しています。他団体交流と選手出場が大半となる新日本キックボクシング協会において木下竜輔に掛かる期待は大きいでしょう。

TITANSシリーズも初期から20年、新たな時代へ突入

《主要4試合》※ラウンド数は変更の可能性あり

●メインイベント スーパーフェザー級3回戦
 日本スーパーフェザー級チャンピオン.木下竜輔(伊原/1996.2.12福岡県出身)
        vs
 NJKFスーパーフェザー級7位.細川裕人(VALLELY)

●セミファイナル スーパーバンタム級3回戦
 ポンパン・エスジム(タイ)vs 鰤鰤左衛門(CORE)

●女子ミネルヴァ・アトム級3回戦(2分制)
 ミネルヴァ・ピン級4位.杉田風夏(谷山・小田原)vs KANA(Bonbo Freely)

●スーパーミドル級3回戦、マルコ(イタリア/伊原)出場予定

以下、プロ7試合、アマチュア4試合予定。

※               ※               ※

世間的にはまだまだマイナー競技と位置付けられるキックボクシングでは、一部のビッグイベントを除いて一般的な注目度は低いところ、ファンが注目する好カードは多数存在します。

山本太一vs皆川裕哉の互いの戦略、立嶋篤史の衰えぬ闘志と存在感、石川直樹の首相撲からのヒザ蹴りが見られるか、木下竜輔のチャンピオンとしての初戦など、見どころある立ち振る舞いが注目です。木下竜輔に山本太一と皆川裕哉が絡むカードは難しいか。期待は出来ないが、そんなマニアックな展開にも期待したいものです。

新チャンピオンとなった木下竜輔、責任重大のメインイベンター

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

広島8・6平和記念式典 パレスチナ国含む全ての国・地域『案内』へ 市長は米国忖度路線の修正加速を!

さとうしゅういち

広島市は、2025年から8月6日の平和記念式典について一部の国を「招待」するのではなく、すべての国と地域を「案内」する方針に変更しました。

松井市長は4月11日の定例記者会見で「式典の原点に立ち返ろうと考えた。式典への参列は当然、被爆者への慰霊があるが、同時にヒロシマの心への理解を深めるという視点もありこれをより明確にするべく見直しをしている」と述べました。そのうえで「紛争をしている国のどっちを呼ぶ、呼ばないというような次元ではないと伝えたい。そういうことを超えて、理想的な世界のために式典や被爆の実相を見ていただくことに尽きる」としました。

広島市は2022年以降の式典にはロシアとベラルーシを招待しませんでした。『10.7』後の2024年にはイスラエルは招待するのにパレスチナ国は招待しない式典の在り方に市内外から疑問の声が出ました。

また、2023年のG7広島サミットを前に『はだしのゲン』や『第五福竜丸』が平和教材から削除される事件も発生。さらに、原爆について米国政府が謝罪も反省もないまま、平和記念公園とパールハーバーの姉妹協定が締結されました。広島瀬戸内新聞と筆者は『米国・バイデン大統領への忖度ではないか』と疑問を呈してきました。

24年の式典は入場に当たって関所を2か所もクリアしなければなりませんでした。これについて、広島瀬戸内新聞と筆者は過剰警備・過剰規制ではないかと指摘もしました。

また、実際に行政を動かすためにネットで署名運動を提起。2024年7月30日に広島市に対して「パレスチナ国を含む全ての国を平和記念式典に招待してください」という趣旨の署名1万1524人分を広島市に提出。同年9月の広島市議会には同様の趣旨の陳情を提出しました。皆様のご署名も、広島市長を動かす背景になりました。

2024年7月30日に広島市に対して「パレスチナ国を含む全ての国を平和記念式典に招待してください」という趣旨の署名1万1524人分を広島市に提出

地方自治体としての広島市が主催する平和記念式典は、(国家の政治的意図とは一線を画し)やはり、世界中の人々と原爆犠牲者への追悼とともに核兵器廃絶・世界恒久平和への思いを共有する場である。松井市長の今回の方針転換は、その原点に戻る一歩です。改めて、署名活動にご協力をいただいた市民の皆様に深くお礼申し上げます。

被爆80周年でもある2025年。広島瀬戸内新聞は、世界最初の戦争被爆地・広島の庶民派メディアとして、核兵器廃絶、そして、ウクライナ・パレスチナを含むすべての戦争の終結と平和構築へ、皆様とともに先頭に立って参ります。

◆米国、ロシア、イスラエル、ハンガリー、朝鮮の『権威主義の五角形』、米国忖度の前提すら崩壊

筆者は、平和記念式典はあくまで地方自治体の開く行事であり、日本政府とは一線を画すべきと考えています。ただ、いまや、米国に忖度する前提も崩れているのではないでしょうか?

まず、米国こそがいま、ロシアのプーチン大統領(ICC=国際刑事裁判所が逮捕状を発行)にすり寄っています。そして、ウクライナの領土はロシアに、鉱物資源は米国にという分割を行おうとしています。

また、4月中旬にロシアのミサイルでウクライナ市民34人が死亡したとされる事件ではトランプさんは「ロシアのミスがあったと聞いている」としてロシアを擁護しています。

また、プーチン政権を批判したロシアの女性研究者の米国への再入国が米当局により拒否されるという事件も起きています。トランプさんの差し金で、プーチンさんに忖度したとみられてもおかしくはない。

既報の通り、こうした中でロシア軍の撤退を求める国連総会決議にはロシア、ベラルーシだけでなく、イスラエル、米国、ハンガリー、朝鮮(金正恩さん)も反対しました。ロシア肩入れという意味でこれら米露イスラエルハンガリー朝鮮という五角形の連携ができつつあります。こうした中で日本政府も米国忖度の大義名分を失いつつあります。一方、中国やインドはウクライナ問題に関する決議ではロシアに配慮はしているものの、欧州やウクライナが出した決議には反対もせず、棄権としています。米国こそ、親イスラエルに加え、最大の親露国家となっています。

なお、ウクライナのゼレンスキー氏は、10.7当初はネタニヤフ被疑者を全面支持していましたが、ネタニヤフ被疑者に完全にはしごを外された形です。ともかく、米国に忖度してロシアを除外、という大義名分は失われました。

◆欧州のイスラエル寄り姿勢に変化

一方、イスラエルは、2023年10月7日のハマス政権による攻撃に対する反撃すると称してガザで5万人以上の子どもを含む市民を虐殺。ただし、イスラエルは10月7日以前も、毎日のように、どこかでパレスチナ人の家を燃やし、畑を奪い、車を壊す。そんな暴挙を続けていたのです。

そして、2025年1月にはいったん停戦合意がされたものの、イスラエル側は3月には侵略・虐殺を再開し、停戦合意を崩壊させました。また、イスラエルはシリアやレバノンにも攻撃を繰り返しています。

イスラエル首相のネタニヤフ被疑者は、国際刑事裁判所から逮捕状が出ています。こうした中で、バイデン時代にすでにイスラエルの侵略反対のデモをしていた学生への弾圧は始まっていましたが、トランプさんがそれをさらに強化しています。

4月15日現在、米国永住権獲得済みの留学生や研究者がイスラエルを批判しただけで拘束されたり国外追放になったりしています(当事者が裁判で反撃中)。こうした中、以前は、イスラエル寄りだった欧州が次々とパレスチナを国家承認する動きを見せています。2024年のアイルランド、ノルウェー、スペインに続き、2025年6月にもフランスがパレスチナ国を承認する予定です。

◆トランプ関税で広島も『被害』

また、対中輸入に対する125%に加え、日墨加が主の自動車もトランプ追加関税の対象です。台湾が主な米国にとっての輸入先である半導体もトランプさんから『台湾の工場を米国に移せ』と要求される始末です。

トランプ氏は安全保障を盾に、日本や台湾に無茶な要求をする可能性は今後も高い。日本に対しては米国製の武器をもっと買え、というのがメインになるでしょう。ただ、日本や台湾、あるいは韓国もビビってはいけません。かつて、1980年代から90年代にかけて、日本は自動車や半導体などで米国に大幅譲歩しました。しかし、米国が『コラえて』くれたでしょうか?答えはノーです。エスカレートするだけでした。

そもそも、日本や韓国が米国製の武器をたくさん買っても中国と本気で軍拡競争になったら勝てるでしょうか?冷静に考えて答えはノーでしょう。また、台湾についても、半導体産業が台湾に集積している限り、それを破壊するような武力侵攻など愚かな真似はしないでしょう。

そもそも、長期的な西洋の没落の流れがあるのに、特に地元の岸田総理の時代、G7広島サミット開催があったにしても、米国に忖度しすぎていました。『米国忖度路線』が変化することを期待するとともに、過剰警備・規制など式典の在り方やパールハーバーとの姉妹協定関連事業についても、引き続き注視します。

さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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SAMURAI WARRIORS 原点回帰から挑戦へ!

堀田春樹

昨年から連続出場のオーシャン・ウジハラ(=氏原文男)は韓国のテクニシャンに判定負け。
期待の広翔も韓国のテクニシャンに首相撲で力及ばず判定負け。
全日本キックボクシング協会が大韓ムエタイ協会と提携、新たな戦略拡大へ。

◎SAMURAI WARRIORS挑戦 / 3月28日(金)後楽園ホール17:30~20:45
主催:全日本キックボクシング協会

◆第11試合 60.0kg契約3回戦

オーシャン・ウジハラ(=氏原文男/無所属/1986.10.12高知県出身/ 59.8kg)
28戦13勝(8KO)15敗
VS
大韓ムエタイ協会フェザー級チャンピオン.Flash(=權賢佑クォン・ヒョンウ/2000.11.25韓
国出身/59.75kg)11戦9勝2敗
勝者:Flash(=權賢佑) / 判定0-3
主審:椎名利一
副審:勝本剛司28-30. 竜矢28-30. 少白竜27-30

初回の權賢佑の重いパンチの連打。関係者の噂にあった「氏原文男は1ラウンドで倒されるかもよ!」という予想が当たるのかと思われる守勢。だが、氏原もボクシング経験あるパンチも得意として、体勢を立て直し、気の強さでアグレッシブな攻防戦へ持ち込む。

オーシャン・ウジハラを上回るスピードと多彩な技を持った權賢佑、ヒザ蹴りで攻める

第2ラウンドには權賢佑のスピードあるパンチと接近戦で、バックヒジ打ちが氏原の右瞼をカットした。氏原は流血しながらも闘志衰えず、ラストラウンドもパンチと蹴りで粘り強い前進。權賢佑も蹴りとパンチ、組み付いてヒジ打ちも繰り出し、互角の展開を見せて終了。

權賢佑は昨年5月17日に「NO KICK NO LIFE」で鈴木宙樹に2ラウンドKO勝利しており日本では2連勝。試合後、「オーシャンは気持ちが強かったです。今日は勝てて嬉しいです。」と語った。K-1やONE Championship出場が目標としているという權賢佑である。

終盤はジワジワ攻めたオーシャン・ウジハラ、長丁場で発揮したいテクニック

◆第10試合 バンタム級3回戦

広翔(稲城/ 53.45kg)5戦3勝(1KO)2敗
      VS
Joker(=朴秀浩パク・スンホ/2002.9.13韓国出身/ 54.4kg/880g超過、減点1)
6戦2勝(1KO)4敗
勝者:Joker(朴秀浩) / 判定0-3
主審:和田良覚
副審:勝本剛司27-29. 竜矢28-29. 椎名26-29(朴秀浩に減点1含む)

パンチと上下の蹴りで様子見の両者。広翔の蹴りに下がらず蹴り返してくる朴秀浩。首相撲に移ると朴秀浩のウェイト掛ける状態からヒザ蹴りの優勢を保つ流れ。

自分の距離を掴みたい広翔だが、一旦離れても朴秀浩が広翔の動きを読んで高い蹴りも出して来る。ジワジワ攻める朴秀浩に広翔もスタミナ奪われる展開。

自分の距離を保って攻めたい広翔、単発だったが攻勢も見られたパンチもヒット

ラストラウンド、広翔は組み合った際のパンチヒットか、朴秀浩も鼻血を流す苦しい攻防。終盤には広翔も自分の距離に持ち込み右ストレートヒットを見せるも時間切れとなった。880グラムオーバーの影響がどれほどあったか分からないが、朴秀浩が大差となる勝利を掴んだ。

朴秀浩はプロ戦績は不振だが、タイでの試合が殆どで、アマチュアでは先月の大韓ムエタイ国家代表選抜戦で優勝しています。

広翔は試合後、「相手は思ったより首相撲が強くて、一発を狙い過ぎて、蹴りも思うように出せなかったです。自分の力も足りなくて、対策とかいろいろ考えて変えなきゃいけないと思います。」とコメント。

組み付いたら離さない首相撲のしつこさが目立った朴秀浩のヒザ蹴りが広翔を苦しめた

◆第9試合 フライ級3回戦

横尾空(稲城/ 50.6kg)4戦2勝1敗1分
      VS
小池空(I DEAL/ 50.5kg)2戦2勝(1KO)
勝者:小池空 / TKO 1ラウンド 2分12秒
主審:少白竜

互いのローキック中心の牽制から横尾空の首相撲からの崩し転ばし優勢を印象付けるも、蹴りの距離で小池空の左前蹴り(三日月蹴り)が横尾空のレバーにヒット。
ノックダウンを喫し結構苦しそう。更に小池がボディーを狙った左フックで横尾が下がったところで左ハイキックを横尾の顔面にヒット。バッタリ倒れてノーカウントのレフェリーストップとなった。

小池空のハイキックが横尾空を襲ったヒット、一瞬の油断だったか

◆第8試合 スーパーフライ級3回戦

HIROKI(AKIRA ~budo school~/ 52.0kg)6戦3勝(1KO)3敗
        VS
井上蓮治(パラングムエタイ/ 52.15kg)2戦2勝(1KO)
勝者:井上蓮治 / 判定0-2
主審:勝本剛司
副審:和田29-29. 少白竜28-29. 椎名29-30

蹴り中心に様子見の両者。首相撲に移る際に左ストレートヒットさせた井上蓮治。第2ラウンドもやや前進する井上が蹴りで攻めるがHIROKIもしっかり蹴り返し、第3ラウンドも流れは変わらぬまま僅差の判定で井上蓮治が勝利した。

井上蓮治がフェイント掛けての前蹴りがHIROKIの顔面を何度か襲った

◆第7試合 ライト級3回戦

山田旬(アウルスポーツ/ 61.05kg) 4戦3勝1分
      VS
生野逸晟(WSR三ノ輪/ 60.7kg)6戦1勝1敗4分
引分け 三者三様
主審:竜矢
副審:和田29-28. 少白竜28-29. 勝本剛司29-29

山田旬のサウスポーからの左ミドルキック、パンチを含めて生野逸晟をロープ際に追い詰める。ヒット数も優るも生野も負けずに出て、山田のパンチをやや被弾しつつも巻き返して来た。ラストラウンドは分かれる採点となって、結果的に三者三様の引分けとなった。

◆第6試合 スーパーフライ級級3回戦

福僚太(健成会/ 52.4→52.16kg)4戦1勝(1KO)2敗1分
      VS
風間祐哉(WSR三ノ輪/ 52.1kg)5戦1勝3敗1分
勝者:福僚太 / KO 2ラウンド 2分53秒
主審:椎名利一

初回、福僚太が蹴りパンチで風間祐哉をやや下がらせるも、風間も間合いを見てハイキックなどで応戦。第2ラウンドには福僚太がパンチで風間をコーナーに追い詰め連打でノックダウンを奪い、更に連打で二つのスタンディングダウンを奪って、3ノックダウンとなって福僚太のノックアウト勝利。

福僚太が長身の風間裕哉にハイキックで攻め、パンチへ繋いでKOを導いた

◆第5試合 フェザー級3回戦

中村健甚(稲城/ 56.9kg)4戦1勝(1KO)1敗2分
      VS
斎藤鷹也(TRIM/ 56.9kg)5戦3敗1分1NC
勝者:中村健甚 / KO 1ラウンド 2分57秒
主審:少白竜

中村健甚はパンチからハイキックで勢い有る攻勢から始まった。斎藤鷹也はパンチ蹴りで返すも中村が様子見ながら躱し、右ヒジ打ちで斎藤の左額辺り側頭部をカット、更に接近戦で中村のヒザ蹴りが斎藤のボディーヒットするとノックダウン。相当苦しかったか、そのままテンカウントを聞いた。

中村健甚も多彩に攻める中で攻勢を維持、ヒザ蹴りのKOへ繋いだ

◆第4試合 ウェルター級3回戦

Katsuya Norasing family(Norasing family/ 67.05→66.65kg)4戦2勝(1KO)2敗
        VS
田山朋希(まっちゃんFIGHT CLUB/ 67.1kg/420g超過、減点1)1戦1敗
勝者:Katsuya Norasing family / TKO 2ラウンド 2分25秒
主審:和田良覚

開始から静かな攻防だったが、第2ラウンドにKatsuyaがノックダウン奪ってからアグレッシブな展開に移った。赤コーナーに詰まったKatsuyaが右アッパーか、田山朋希からノックダウンを奪い、飛びヒザ蹴りでプレッシャーを与え、首相撲で体勢俯き気味の田山に右ヒジ打ちを落とし、ノックダウン奪うとほぼノーカウントのレフェリーストップとなった。

Katsuyaがハイキックで田山朋希を追い詰め、パンチ、ヒジ打ちでKOへ繋いだ

◆第3試合 スーパーウェルター級3回戦

KENTA PUAKUTA SHONBIN(スポーツジム67 S/ 70.4→70.3kg/450g超過、減点1)
3戦1勝1敗1分
        VS
蘆立亮太(Ysk YAMAGAT / 68.7kg)1戦1勝
勝者:蘆立亮太 / 判定0-3 (27-29. 28-29. 27-30. KENTAに減点1含む)

◆第2試合 81.0kg契約3回戦

オマル・ファーレス(稲城/ 80.2kg)2戦2敗
      VS
星のケースケ(百足道場/ 80.5kg)1戦1勝
勝者:星のケースケ / 判定0-3 (28-30. 28-30. 28-30)

◆第1試合 フェザー級3回戦

KAI×A.K.G(A-BLAZE×KICK/ 57.0kg)1戦1勝(1KO)
      VS
安田和幸(中島道場/ 56.7kg)1戦1敗
勝者:KAI×A.K.G / KO 1ラウンド 1分53秒

蹴りの勢い優ったKAIは安田和幸をコーナーに詰め、左ストレートから飛びヒザ蹴りでノックダウンを奪う。更に蹴りで追って飛びヒザ蹴りで二度目のノックダウンを奪い、コーナーに詰め、ヒザ蹴り入れたところでレフェリーが割って入り、3ノックダウンとなる形でレフェリーストップとなった。

第1試合のKO、顔は隠れるが、飛びヒザ蹴りで二度のノックダウンを奪ったKAIの攻勢

《取材戦記》

前日計量で三名の計量失格があった模様。計量減点1点と2オンス大きいグローブハンデとなっています。オーバーウェイト、相変わらず結構多いなあという印象。ペナルティーの在り方も難しい議論があるようです。「グローブハンデは大きいグローブ使用が逆に有利になっていないか?」とか、減点与えては短い3回戦制で接戦の勝負に興味が薄れるなど。

全日本キックボクシング協会は、新人中心の地味な興行が続く中、ジワジワと着実に進化し、新たにノラシン・ファミリージムが加盟と、旗揚げ2年目は韓国との国際戦。2月16日に栗芝貴代表と役員が渡韓して、大韓ムエタイ協会と提携、今回の交流戦に進みました。

氏原文男は過去の実績から存在感あるだけに今後も出場可能なら、しぶとい技を見せて、全日本キックボクシング協会での初勝利を期待したいところです。

今回の韓国選手2名はFlashとJokerというリングネームでした。「日本でもファンに分かり易いように」という意味合いがあるようですが、古い気質の世代から考えれば、逆に分かり難い気がします。顔と名前が一致し難いとか、英単語のリングネームでは、今後幾らでも変更可能であり、同名の二代目三代目も出て来ることも考えられます。

韓国語は日本語の音読みと近い発音があり、「權賢佑=クォン・ヒョンウ」「朴秀浩=パク・スンホ」。そうは聞こえないという人は大多数かもしれませんが、日本の単語と比べたり、韓国語を習ったりすると、似ていることに気付く人も居るかと思います。特にプロボクシング世界戦に絡んだ過去の選手。輪島功一と戦った柳済斗は「りゅう・さいと」と当時は日本の音読みで呼ばれましたが、現地的には「ユー・チェド」。畑山隆則と戦った崔龍洙は「チェ・ヨンス」でした。

1月24日に井上尚弥と対戦し敗れたキム・イェジュンは“金芸俊”と各スポーツ新聞ではカタカナ表記と漢字名が載っていました。さすがに大手新聞社は徹底した記載です。

最近のキックボクシングはどこの団体、プロモーションも韓国選手名はカタカナ表記が多くなっていますが、偏見ながら今後も昔に返って本名、もしくは現地の漢字名で発表して欲しいと思うところなのです。

次回の全日本キックボクシング協会興行は6月20日(金)に後楽園ホールに於いて、「SAMURAI WARRIORS挑戦」二ノ陣が開催されます。二ノ陣かvol.2か2ndか、発表されていませんが、今年二回目の興行で、瀬川琉が出場予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

『紙の爆弾』創刊20周年に際し、私たちの想いをまとめ、同誌5月号(20周年記念号)に掲載しました!

鹿砦社代表取締役会長 松岡利康

同誌5月号に4ページ割いてもらい、同誌創刊20周年に際しての私たちの想いを書き連ね掲載しています。

本来なら、発売まもない号の一部を転載することはめったにありませんが、同誌を購読されていない方にもぜひお読みいただき、これを機会に他の記事もお読みいただくためにご購読をお願いいたします。

私たちのこの20年の軌跡は4ページに収まるものではありませんが、創刊当時の出来事など概略はつかめるかな、と思います。

マツダ車にも25%のトランプ関税! 広島はG7サミット以来の「米国忖度都市」から引き返そう!

さとうしゅういち

日本時間の2025年4月3日、米国のトランプ大統領は、米国製以外のすべての自動車に25%の関税をかける、と発表しました。また、日本など(米国にとっての)諸外国は「非関税障壁」で米国からの輸入を妨害していると決めつけ、「相互関税」と称して自動車以外についての完全を一方的に決定しました。対中華人民共和国が34%、対台湾34%、対日本24%、対EU20%、対イスラエル17%などです。

広島でも例えば、米国に日本から輸出されるマツダ車にもマツダの米国工場が日本から輸入する部品にも関税がかかることになります。

◆米国自身が最終的には打撃を受ける

ただ、そもそも、米国はIT関係や宇宙関係、農業や金融は別として、多くの産業が空洞化しています。いまさら、輸入品に関税をかけたとしても、米国産業が復活するとは思えません。そもそも関税は米国に輸出する日本企業が払うものではなく、米国の輸入企業が払い、最終的には米国の消費者が負担するものです。

米国政府の税収は増えるでしょうが、凄まじい物価高騰で米国の消費者が打撃を受けるだけです。

◆トランプ体制永続化へ、関税でパフォーマンス?

1980年代末の冷戦構造崩壊後、米国は、ブッシュ父─クリントン─ブッシュ息子の歴代大統領が約20年にわたり、自由貿易を金科玉条としたグローバリズムを進めてきました。それによって、一部の米国の大金持ちが儲かったのも事実ですが、多くの庶民が格差拡大で取り残されてしまいました。それに対する不満が強まったのが、2008年のリーマンショックで、民主党のオバマ大統領は格差是正を掲げて当選。ところが、十分な成果が上がらず、2016年の大統領選挙でトランプさんがいわゆるラストベルトの労働者層の支持も集めて当選。

ただし、一期目のトランプさんが思ったほどの成果がなく、2020年の大統領選挙では民主党のバイデンさんに大統領の座を奪われてしまいました。しかし、2024年大統領選では、バイデンさんの途中リタイヤという民主党側のアクシデントにも漬け込む形でトランプさんが復活。効果が本当にあるかどうかは別として「グローバリズムに対抗しているパフォーマンス」として関税があるのではないでしょうか?

ただ、合衆国憲法上、トランプさんは三期目の大統領にはなれません。だからパフォーマンスの意味はないように見えます。しかし、次はトランプさんが副大統領として立候補し、大統領には当選後すぐにやめてもらい、トランプさんが昇格という抜け穴を使うのでは?という説もあります。トランプさんは、イスラエルのガザでのパレスチナ人虐殺を批判した外国人学生への弾圧も強めています。令状なしでいきなり拘束された外国人研究者もおり、事実とすれば中国等よりも酷いと思われる状況が一部で生じています。こうした『独裁』はいずれ、『トランプさんたちが気に入らない』米国人に対しても向かうでしょう。そうした独裁体制を続けるためにも、関税で求心力を高めることは必須なのかもしれません。

◆G7広島サミットで「忖度」も米国に完全にコケにされた広島

広島市では地元選出の岸田文雄総理(当時、爆心地の広島1区が選挙区)が主導して2023年にG7広島サミットが開催されました。このころから、広島の米国への忖度が加速しているように思えます。具体的には、2023年度から平和教育の教材から「はだしのゲン」や「第五福竜丸」が削除されています。

サミットで採択された「広島ビジョン」は西側のみの核兵器保有を正当化し、核兵器の先制不使用にすら踏み込まない、西側、特に米国のご機嫌取りの文書でした。

また、サミット後には当時のエマニュエル駐日大使が主導する形で広島市=平和記念公園と米国政府=パールハーバーの姉妹協定が結ばれてしまいました。米国はいまだに、原爆投下への反省も謝罪もありません。しかし、この姉妹協定で『米国は広島に原爆投下を許してもらった』というイメージを広げてしまっています。

2024年8月6日、平和記念式典でエマニュエル駐日大使に頭を下げる松井一實広島市長。同大使SNSより

さらに、広島市は2022年2月のロシアのウクライナ侵攻開始以降、8.6の平和記念式典にロシアとベラルーシを招待していません。原爆を投下しても謝罪も反省もない米国や、2023年の〈10.7〉以降、パレスチナ人の虐殺を加速させているイスラエル、日本とは正式な国交のない朝鮮(金正恩氏)は招待しているのと比べても奇異に映ります。パレスチナ国を招待していないことと併せ、米国忖度と言われても申し開きは出来ますまい。2024年の8.9平和祈念式典にイスラエル招待は見送り、パレスチナは招待した長崎市と比べても、異常です。

だが、これらの『忖度』にもかかわらず、2024年5月には、当時のバイデン政権が臨界前核実験をしていたことを公表。そして、トランプ政権に交代してからは、マツダ車に25%の関税をかけられてしまいました。まさに、踏んだり蹴ったりです。

◆ロシア・イスラエル・ハンガリー・朝鮮との「権威主義の枢軸」へ突き進む米国

既報の通り、ウクライナ和平では、トランプさんはロシアのプーチン大統領の肩を持っています。そして、欧州やウクライナが提出しているロシア軍の撤退を求める国連総会決議案にロシア、米国、イスラエル、ハンガリー、朝鮮が反対をしました(欧州や日本は賛成、インドや中国、アラブ諸国の多くは棄権)。独裁的な体制のことを「権威主義」とも言いますが、まさに、米国はロシアやイスラエルやハンガリー、朝鮮など「権威主義」の国とお仲間になったのです。もはや、建前であっても自由や人権の側に立つ米国政府は存在しません。

◆広島は米国忖度路線から脱却を、日本政府は冷静に対策を

広島市や広島県は、今回のトランプ関税を契機にサミット以来の米国に忖度する路線を卒業するときです。米国は、甘い顔をすればするほど、結局増長するだけ、ということは皆様もお分かりになったと思います。核兵器廃絶については、ここ2、3年のような米国政府に忖度する姿勢は捨て、平和首長会議加盟の世界の自治体やNGOなどとの「横のつながり」を重視しようではありませんか。

他方で、筆者は米国に報復を!という論調に対しても慎重です。米国についてはなるべくスルーし、その間に、日本自身の立て直しに全力を尽くすべきです。

まず、第一に、日本政府は財政出動により、日本国内産業への打撃を押さえるべきです。また、減らしすぎた大学予算を見直しなどして研究開発を活性化していくべきです。日本政府自体、非正規雇用増加など、この30年ほど、企業が労働者の給料を減らすことに依存するようになる政策をずっと続けてきました(1995年の日経連の「新時代の日本的経営」)。今回の関税騒ぎを契機に、改めていくべきです。

第二に、日本としては、行き過ぎた自由貿易至上主義、あるいはグローバリズムがトランプ政権という化け物を生んでしまったことの反省に立ちつつ、トランプ政権とは違い、公正な話し合いでグローバリズムからの転換する方向性を提案すべきです。

第三に、中国・インドやいわゆるグローバルサウス諸国との関係強化です。米国がロシアや朝鮮と「お仲間」になりつつある中、どこもかしこも「敵」に回してしまえば日本は「詰み」です。その状態では、日本がいくら軍拡をしようとも追いつきません。そもそも、米国自体が中華経済圏全体(大陸・台湾双方)に高関税をかけているのです。米国に頼らない国際経済体制作りというところでは一致点が見いだせるのではないでしょうか。

さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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4・5「鹿砦社反転攻勢の集い」、成功裡に終了! これを転換点として苦境を突破し次の10年に向けて再スタートしました! 鹿砦社代表 松岡利康

去る4月5日、東京日比谷・日本プレスセンターで開催された「鹿砦社反転攻勢の集い」は、新年度始めの慌ただしい中、実数105名のご参集にて開催されました。

以下は、当日会場にて配布した私の挨拶文です。ご笑読いただければ幸いです。

私の開会宣言ののち、足立昌勝先生が、志途上で亡くなられた方々を追悼し『紙の爆弾』『季節』の継続発行、鹿砦社の復活を願い献杯の音頭を取られ会がスタートしました。

リレートークの冒頭は、かの重信房子さんの発言で会場がざわめきました。重信さんとは面識がなかったのですが、先輩に知っている方がいて興味津々、彼女が東京拘置所勾留中、面会に行ったり公判を傍聴したり、ささやかながらカンパ(私の経験から、勾留されていると収入がないわけで、なにかと物入りなのです)したりしたことのお礼ということで参加されました。重信さんを冒頭に持ってきたのは、特段意味がなく、この後、彼女の母校・明治大学土曜会の集まりがあるので中座せざるをえないという理由からです。

なお、当日の司会は、北は網走から南は沖縄まで全国の刑務所、少年院を回り獄内(プリズン)コンサート500回超の実績(もっと評価されて然るべきです)を持つ女性デュオPaix2(ぺぺ)さんが行ってくださり、重信さんは八王子医療刑務所在監中にPaix2さんのコンサートを観て感銘を受けたということでした。
4・5の報告は適宜行っていきます。

◇     ◇     ◇     ◇     ◇

『紙の爆弾』創刊20周年/『季節』創刊10周年に際して開催された本日の集いを、生前サポートされた方々の遺志を汲み反転攻勢への一大転機に! 鹿砦社代表 松岡利康                 

本日は年度始めの慌しいところ、鹿砦社にとって重要な集いに駆けつけていただき有り難うございます。肩の力を抜いて歓談し共に有意義な時間を過ごしましょう!

以下、私の個人的な想いも盛り込みつつ、『紙の爆弾』創刊20周年についての感慨、及び、長年サポートいただきながら志途上で亡くなられた方々の名を挙げ、その遺志を汲み、反転攻勢を勝ち取ることを決意表明いたします。

『紙爆』20年間の軌跡は、出発時から「名誉毀損」に名を借りた大弾圧で強権的にペシャンコにされ、その後、復活しつつも、新型コロナという、予想だにしなかったパンデミックにより、創刊時とは違った形でどん底に落とされ、もがきながら本日を迎えました。正直のところは、10周年の時のように余裕を持って迎えたかったです。

20年という月日は、たとえ小さな雑誌とはいえ読者の皆様方に確固とした信頼を培い、この5年の苦闘を支えていただきました。あらためてお礼申し上げます。

20年の想いは『紙爆』5月号120ページから4ページにわたり中川と共に記述しましたので、ぜひお読みください。この20年の軌跡は4ページに収まるものではありませんが……。

小なりと雖も、一つの雑誌を続けていくことは大変なことで、これまでの意義と反省点などを捉え直し、皆様方のご意見、アドバイス、また叱咤激励をいただき、次の10年に向けて私たちの想いを真に理解される皆様方と共に再出発したいと願っています。

◆当社に関わってくださった方々を追悼します

私たちが決して忘れてならないことは、生前多大にお世話になった方々のご厚意です。

コロナ直前の2019年秋に鹿砦社創業50周年の集いを東京、関西双方で行いました。その際にも少なからずの亡くなられた方々を追悼いたしました。

その後コロナが蔓延した時期に入っていくわけですが、このかんも、ゆかりのあった方々が亡くなられました。以下の通りです。──

中道武美さん(弁護士) 1990年代初めから関西の事案を依頼。主な事件に『タカラヅカおっかけマップ』出版差止事件、アルゼ名誉毀損(刑事)事件など。別紙記事参照。
                   
内藤 隆さん(弁護士) 東京の事案を依頼。本年1月6日急逝。「大学院生リンチ事件」(いわゆる「しばき隊リンチ事件」)加害者から、本日ご参加の森奈津子さんと共に提訴された訴訟を受任いただき係争中でした。内藤さんをめぐる象徴的なエピソードとしては、別途記事にも書かれていますが、デモで機動隊の暴虐を監視に行って、そのあまりもの暴虐に抗議したら逮捕され日弁連が抗議声明を出したということで、熱血漢の内藤さんらしいと思いました。主な事件に、1996年に東京地検特捜部に刑事告訴された日本相撲協会八百長出版事件(不起訴)、これ以来のお付き合いで、アルゼ名誉毀損(民事)事件を担当。別途記事参照。

北村 肇さん(毎日新聞記者→『週刊金曜日』発行人) 松岡と学年が同じことで意気投合、鹿砦社の出版活動の強力な理解者。生前は『金曜日』と鹿砦社の橋渡しをされ、毎月(毎週の時もあり)1ページ広告を掲載。北村さんが亡くなってから『金曜日』から広告掲載を拒絶され絶縁宣言をされました。

山口正紀さん(ジャーナリスト) 「名誉毀損」出版弾圧事件の訴訟の公判を、東京から毎回傍聴、そのレポートをその都度『金曜日』に寄稿。のち「大学院生リンチ事件」でも、裁判所に意見書(本日販売の『暴力・暴言型社会運動の終焉』に収録)を提出されたり準備書面作成にもご協力、本日ご参加の黒薮哲哉さんと共に積極的にご支援いただきました。

白井 順さん(経済学研究者) 1980年初めに出会う。私よりも1歳下ということもあり弟分的存在。学識があるにもかかわらず出世欲がなく生涯家庭教師やアルバイトで糊口をしのぎ、好きな分野の研究に専念。鹿砦社からは『思想のデスマッチ』の著書があります。もっと彼の学識を活かしてやれば、と悔やみます。

鈴木邦男さん(思想家) 1980年代前半に出会い、以降、鈴木さんの名を論壇に知らしめた『がんばれ!新左翼』はじめ当社から数々の書籍を出版、出版社としては今でもその数は一番多いです。「大学院生リンチ事件」で被害者側に立つ私と決裂、残念ながら歩み寄りなきまま逝去されました。

上記のように、ここ5年余りで私たちは、長年にわたり訴訟や言論における強力なブレーンとなっていただいた方々を失いました。この喪失感は私たちにとって大きいです。

もう私の時代も終わった感があります(とはいえ、現実問題、そうは問屋が卸しませんが)。今後は、次世代を担う中川が新たなブレーンを開拓、形成していくことになりますので、皆様方のご協力をお願いいたします。

本日お持ちした書籍を販売いたしますが、この一覧を見て、よくぞこれだけの本を作ってきたな、という想いにかられました。このリストの大半が私が直接担当したものですが、どの本にも思い入れがあります。ぜひお買い求めいただき、お読みいただければ幸いです。

最後になりますが、本日の集いは、今年74歳になる私にとって、いわば最後の檜舞台であり、このような日本のジャーナリズムを代表する会場で 私たちの出版活動をご理解いただいている皆様方と共に有意義な時間を過ごせる機会を与えられたことに心より感謝いたします。有り難うございました。

(松岡利康)

『紙の爆弾』2025年5月号に寄せて 『紙の爆弾』編集長 中川志大

5月号では、開戦3年を過ぎたウクライナ戦争を“終わらせない勢力”の存在をジャーナリスト・田中良紹氏が指摘。現在を含め、戦争終結に向かう動きを封じ込めてきたネオコン勢力と、その影響を強く受けつつ世界を席巻する“リベラル・デモクラシー”に切り込みました。日本国内では、自公少数与党をなぜか打倒しようとしない野党勢力を国際政治学者の植草一秀氏が分析します。なぜ、昨年衆院選で国民が自公に鉄槌を下したにもかかわらず、政権交代の機運が早々に途絶え、自公政権存続の方向性が直ちに定まったのか。今国会の焦点のひとつであった高額療養費制度改悪とアベノミクスの関係、またそれが凍結ののちに、次期参院選の重要なキーポイントとなること。また企業団体献金禁止を妨げる野党勢力についても明らかにしています。

全国で「財務省解体デモ」が盛り上がる中、財務省が持つ“異常な権力”について、『消費税という巨大権益』『本当は怖い税金の話』などの著作を持つ元国税調査官・大村大次郎氏が徹底解明。「日本の財務省は先進国ではありえないほどの巨大な権力をなし崩し的に保持している」と断言する大村氏の言葉は、問題意識を持つ人のみならず必読です。さらに“減塩信仰”の嘘と「塩の効用」を神戸・ナカムラクリニックの中村篤史医師が解説。健康に関する情報としてはもちろん、私たちが日々いかに“洗脳”の中にあるか、考えるきっかけとなるものです。

本誌発売後に開催される「大阪・関西万博」で、石毛博行事務総長は“成功”の基準を問われ、「想定来場者の2820万人は想定であって目標ではない」と答えています。そもそも万博は、宣伝して客を呼ぶ商業イベントではないとは思っていましたが、人が来ないということは、関心を持たれていないということ。つまり、計画当初から問われていた「開催の意義」が、万博そのものにはやっぱりなかったということです。結局のところカジノ万博であり、加えて今月号で植草一秀氏は「産廃と淡路島」に言及しています。福島第一原発事故で国と東京電力旧経営陣を免罪した最高裁判事の顔ぶれを明らかにしていますが、危険が明らかな原発や失敗が明らかな万博を止められない政治・社会の構造をなんとか変えることこそ、いま求められていることです。

本誌はついに創刊20周年。編集長を務める私自身が「右も左も」どころかゼロから出発し、試行錯誤を繰り返してきました。いま、書店の減少がなお加速し、コンビニも雑誌を扱わない店が増えました(本誌はもともと書店のみですが)。一時は隆盛を見せた保守系雑誌も発行部数を減らしているといいます。ただし、経済的な意味での需要の減少は避けられないとしても、社会的需要=言論としての価値は増えていると感じています。課題は山積みです。『紙の爆弾』はそこにより深く楔を打ち込むとともに、読者に迫るメディアであろうと考えています。  全国書店で発売中です。ぜひご一読をお願いします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2025年 5月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年4月7日発売
戦争を終わらせないのは誰か ウクライナ戦争の真実 田中良紹
自公少数与党と対決しない 維新・国民民主・立憲民主の裏側 植草一秀
元国税調査官・大村大次郎インタビュー 財務省を解体すれば日本は確実に良くなる
道義平和国家・日本の矜持を取り戻せ!シリア「政権の空白」で何が起きているのか 木村三浩
減塩で糖尿病・がん・心筋梗塞・肥満リスク増「塩の効用」を考える 中村篤史
SNS言論封じ法「情報流通プラットフォーム対処法」の言論統制 足立昌勝
「米露同盟」と「ヨーロッパ再軍備」アメリカの多国籍軍NATOの崩壊 広岡裕児
福島第一原発事故「国も東電経営者も責任なし」と判断した最高裁判事たち 後藤秀典
「コメ価格急騰」への影響も 誘拐被害者が語ったミャンマー詐欺拠点の実態 片岡亮
トランスジェンダー論争にみるキャンセル・カルチャーの実態 井上恵子
「Black Box Diaries」伊藤詩織監督映画上映妨害は言論弾圧だ 浅野健一
マスコミ幹部を飼い慣らした「みのもんた伝説」本誌芸能取材班
鎌倉「ヴィーナスカフェ」問題から闇を覗く ハマのドンと横須賀のドン 青山みつお
NHK廃止のための思想の準備作業「公共放送」の「公」をラジカルに問い直す! 佐藤雅彦
環境省の“犯罪黙認”沼津市による「特定有害物質」不法投棄問題 青木泰
シリーズ日本の冤罪 耐震偽装事件 片岡健
『紙の爆弾』創刊二十周年にあたって——創刊の頃、そして現在

〈連載〉
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
「ニッポン崩壊」の近現代史 西本頑司

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