ピグマリオンとゴーレム

ピグマリオン効果とゴーレム効果、という言葉が教育の世界にある。
親や教師など周囲の者が、「この子供はきっとよくなる」と期待して接すると、よくなる、というのがピグマリオン効果だ。
逆に「悪くなる」と思われていると、悪くなる、というのがゴーレム効果だ。

私が、小学6年生の時、家族は引っ越しした。中学には、誰一人知った者がいない。
おっちょこちょいの三枚目から、きりっとした優等生にイメージチェンジしようと、私は目論んだ。
小学生の中頃までの私の通信簿はオール3だったが、高学年になって勉強するようになり始めていた。石ノ森章太郎の本に、マンガ家になるには勉強が必要だ、と書いてあったからだ。

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ミャンマーの『民主化』は本当か!? ヤンゴンで生活してみた 10

私のビジネスパートナーであるミャンマー人のNは、尻を叩かないと約束時間を守れない。しかし、Nのミャンマー国内における商業的手腕は、確かなものである。
その証拠に、ミャンマー(ビルマ)周遊旅行では、Nの選んだ宿泊施設、観光地、日本語通訳ガイドは、すべて現地で最高レベル。Nが抜かりなく、旅行の進行を指揮した。社会的インフラが不足するミャンマーで、大きなトラブルなく個人旅行ができたのは、Nが普段からミャンマー社会で地を這うような人脈を築き、それを活用しているからだ。この社会で、ものごとを進めるには、まず第一にコネがいる。第二に賄賂かもしれない。

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『地獄で生きたる! ー死刑確定囚、煉獄の中の絶叫』【ブックレビュー】

死刑囚も、オナニーする。もう「女を抱く」ことは絶対に望めないだけでなく、明日にも命が絶たれるかもしれない身でありながら。
死刑囚が書いた本は、これまでに幾冊もある。だが、その心の隅々まで明かされたのは、初めてだ。
尾塚野形著『地獄で生きたる! ー死刑確定囚、煉獄の中の絶叫』(鹿砦社)が、それだ。

放出の瞬間は、こう書かれている。
「俺、いや、男子死刑囚にとっては、この数秒間だけが唯一生きていることを体感できる時なのである」
明日が分からぬ儚い身だからこそ、オナニーするのだ。

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社長が夜逃げ! あるIT企業社員の手記 (9)

堀口については警察を呼ぶことも検討したが、たいした額ではないので「手切れ金と思っとこか」という土方さんの言葉で追求はしない事にした。

堀口の他にも数人、いい加減な仕事をしていた人間は同じようなかたちで退社していった。尚坂は技術者として土方さんに認められて、会社に残った。
「今更社長は変わらないっしょ。俺は前の会社辞めた時に、社長から直接請われて雇われたから辞めにくいんだけどさ。まあ、社長のためというより土方さんに期待するかな」
職場に来る前から社長の友人だった尚坂は、辞め辛かったのだろう。今では私より不満を漏らしているが。

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会田誠の真の危険性

市民団体に批判されてる? なんだなんだ、と見に行ってしまったマヌケの一人が私である。
六本木ヒルズの森美術館でやっている、会田誠展「天才でごめんなさい」だ。
展覧会自体はおもしろかった。会場に入ってすぐのところに、無数のデリヘルのチラシを貼り合わせた巨大な作品があった。エロライターだった頃に、同様のチラシを私もやはり無数に所蔵していたが、このような作品に仕立てるということは、考えつきもしなかった。ライターだから、どうやってもこういう作品にはできないが、確かに天才だよな、と思った。

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十二代目市川團十郎が逝く

「おおらかな人柄とダイナミックな演技で、多くの人たちに愛された歌舞伎俳優でしたね。息子の海老蔵のことを最後まで気にしていました」(歌舞伎関係者)
江戸歌舞伎を代表する名門、市川團十郎家当主で、人気を博した歌舞伎俳優、十二代目市川團十郎が2月3日、肺炎のため死去した。
市川團十郎は昨年12月、京都・南座での「吉例顔見世興行」出演中、風邪による体調不良で休演。「肺炎の兆候がみられる」との診断を発表して療養に専念し、4月の歌舞伎座開場公演に備えていた。平成16年には急性前骨髄球性白血病が判明し、一時復帰するも17年に再発。20年には妹の市川紅梅さんから骨髄移植を受けるなどして克服し、舞台に立ち続けていた。

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内柴被告と園田監督の2大事件に揺れる柔道界

「柔道のイメージがひじょうに悪くなる。内柴も園田監督もこれからの人生をまっとうに生きてほしいね」(都内柔道家)
全日本柔道連盟の上村春樹会長は2月1日、有罪判決を受けた内柴正人被告を、除名処分に相当する会員登録の永久停止処分とする意向を示した。近く懲罰委員会を開いて検討し、臨時理事会で正式決定するという。全柔連は、12年1月に会員登録停止処分としていたが、判決を受け、全柔連の競技者規定の最も重い処分に切り替えるとした。
「柔道教室には、ただでさえ生徒が集まらない。この事件でも3人の生徒が去っていった。『柔道』のイメージがこれほど損なわれたことはいまだかつてない。本当に頭にくるね」(都内の柔道教室講師)

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セブン・イレブンでコーヒーカフェ導入、雑誌はどうなるか

「まいったな。雑誌を置くスペースが削られないだろうか。これ以上、棚が縮小しては置く雑誌の数が減り、困ったことになる」(出版社社員)
セブン-イレブン・ジャパンは店内FF(ファストフード)コーヒー「セブンカフェ」の全国展開へ本格的に乗り出すと発表した。8月末までに全国約1万5000店に導入する計画で、1日1店当たり60杯、全店で年間約3億3000万杯を目指す。北海道など先行地域では女性が増えて客数が伸びたほか、力を入れるスイーツなどと併売効果が高いなど成果が出ているという。コーヒー豆にはアラビカ種を100%使用し、1杯ごとにペーパードリップで提供できる専用のコーヒーマシンを開発、高い品質のコーヒーを1杯100円で提供するという。

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ミャンマーの『民主化』は本当か!? ヤンゴンで生活してみた 9

ミャンマー(ビルマ)は、7つの政府管区と7つの少数民族州で形成されている。少数民族州の1つ、カチン州で、昨年12月よりミャンマー政府軍による空爆攻撃が行われている。
多民族国家のミャンマーでは、多数派のビルマ族と、ほか少数民族との対立・軍事衝突が絶えないでいる。カチン州における、ミャンマー政府軍とカチン族の人々による武力衝突は、1961年から始まっている。1994年にミャンマー政府軍とカチン独立軍(KIA)の間で停戦協定が結ばれたものの、2011年に協定は破たん。紛争再開によって多数の難民が発生した。
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雨の演出が活きる、映画『ストロベリー・ナイト~インビジブル・レイン』

誉田哲也の小説を、竹内結子主演で映画化した『ストロベリー・ナイト~インビジブル・レイン』を見た。2010年に放送されたスペシャルドラマから始まり、2012年の連続ドラマをへて、今回ついに映画化されたものだ。原作では、警察の腐敗ぶりや官僚の傲慢さが、これでもかと描かれている。

今作では、連続殺人事件の捜査にあたる女刑事・姫川玲子(竹内結子)と、菊田(西島秀俊)ら部下4人からなる“姫川班”の活躍が描かれる一方で、玲子が落ちてはならない男、牧田(大沢たかお)と恋に落ちるなど、ドラマからのファンの興味をかきたてるエピソードが盛り込まれている。メガホンをとったのは、ドラマから演出を務めてきた佐藤祐市監督。なんとこの映画は、ほぼすべてのシーンが雨である。

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