日本の「新幹線」輸出で最初から破綻が運命づけられていた台湾高速鉄道

台湾の高速鉄道(新幹線)が財政破綻必至だという。(『フォーカス台湾』2014年12月29日付

台北と高雄間345キロを結ぶ高速鉄道は日本の新幹線技術をそのまま採用し2007年に開業した。車両は日本で見る「新幹線」そのもので、正式名称は「台灣高速鐵路」だが台湾現地でも「新幹線」と呼ぶ人がいるほどだ。切符の自動販売機が台湾独自の機械だったが、台湾語(中国語)を読めない人間にも購入が可能なように工夫が凝らされている。

高速鉄道が走るまで、台北と高雄の移動は飛行機がメインだった。列車では最速でも4時間半かかったからだ。松山飛行場は台北市内にあり、中心部からも至近なこともあり、かつては国際空港だったが今では国内線中心の空港になり、国内移動の手段として飛行機は日本より気軽に利用されている。特に台北ー高雄間は便数も多いから忙しい時には切符なしで空港に駆けつけ離陸20分前に切符を買って搭乗する、1本乗り遅れれば次の便は数十分待てば乗ることができるという感覚だ。だがここ数年は幸い起きていないものの、台北ー高雄間航空路線では、定期的と言ってもいいほど墜落事故が起きていた。何度もこの路線には搭乗したが確かに気流のためか、航空機の機体の具合かわからないけども激しい揺れが必ずやってくる。

そんな事情もあってか、高速鉄道は「安全性」や運賃が安価なこともあり、利用者数は毎年順調に増えていた。それでも財政的に破綻が避けられそうにないという。いったいどういう背景があるのだろうか。

◆李登輝の威光で日本の「新幹線」採用が決まるまでの紆余曲折

台湾高速鉄道の導入にあたっては紆余曲折があった。そもそも台湾は自国の技術だけで高速鉄道走らせることができなかったので、運用実績のあるフランス・ドイツ勢と日本を競合させ一時はフランス・ドイツ連合がが落札しかけていたのだけども、台湾総統も務めた親日派の実力者李登輝の威光で日本の「新幹線」採用が決まったと言われている。

国土交通省やJRは大喜びだった。が、実際に工事に入ると思わぬ困難が待ち受けていた。鉄道の線路を敷設するためには線路や枕木の他に多量の銅線を使う。工事を行って次の日現場に行くと銅線が見事に盗まれているという事件が連続して発生した。銅は転売の価値があるので盗人が後を絶たなかったのだ。その陰で当初の工期が大幅に伸び費用もかさんでしまった。総工費は日本円にして2兆近くになったが、高速鉄道はなんとか運行開始にたどり着いた。

乗客者数は毎年増加しているのに破綻の危機に直面している背景には、負債の返済期限問題がありそうだ。前述の通り2兆円の工費とその他の技術料などを含め高速鉄道を運営する「台湾高鉄」は470億台湾元の負債がある。そしてその償還期限は当初より35年とされていた。利用者が支払う運賃と負債をはかりにかけると、1日に30万人が利用しないと計算が成り立たない。これはどだい無理な計算である。1億2千万の人口を抱える日本でも東京ー大阪間の新幹線利用者は、1日に約40万人だ。総人口2300万人の台湾で1日に30万人の利用者を想定するのは、最初から破綻を織り込んでいたのでは、と疑われても仕方がないどんぶり勘定だ。

同様の無茶な試算による実質的破綻は我々の近くでも起きている。関西空港だ。関西空港は官民共同出資による「関西国際空港株式会社」により、設立運営されたが、高すぎる着陸料ややはり高額すぎる空港ビルのテナント料などが災いし乗り入れ航空会社が伸びず赤字が続いた。5万円で売り出した株価は1円になり、実質的に破綻して、伊丹、神戸両空港と合わせて「新関西国際空港会社」として近く売却が予定されている(詳細は『紙の爆弾』2月号の本山美彦京大名誉教授「アベノミクスと株式民主主義の欺瞞」をご参照頂きたい)。

◆関空、神戸空港と同じく最初から破綻が運命づけられていた

安価に建設できる「浮島工法」があったのにそれを採用せず、わざわざ費用の高い「埋め立て工法」を採用した関西空港は今でも毎日数センチずつ地盤沈下している。大阪中心部から不便な和歌山近くの海の上に土を盛り上げ散々環境破壊をして「日本初の24時間空港」、「アジアのハブ空港」と実現する道理のない絵空事を並べた関西空港だったが、肝心の空港へのアクセス=鉄道は最初から24時間運行する気などさらさらなく、「ハブ空港」として機能するためには施設面でも航空会社にとっての利便性からも全く話にならない代物で、案の定後発の韓国「仁川空港」にその役は持っていかれた。

また、神戸空港はこともあろうに「阪神大震災」後、ろくろく復興も進んでいないのに「市営空港」としてこれまた、神戸の海の上に建設された「元より破綻が運命づけられていた」空港だ。

関西空港当初の建設費用は1.8兆円だったというが、それが正しい数字である確証はない。また神戸空港がどうして震災復興を後回しにして関西空港から見えるような至近距離に造られたのか、そして伊丹空港を含めた3空港を運営する「新関西国際空港会社」が売りに出され、おそらくは外国資本が運営権を入手するであろうことは、単なる1企業の運営権にとどまらない。国内外の航空行政を政府がコントロールできなくなり、企業の意向が優先することを意味する。

台湾の高速鉄道が破綻しても、日本に住む私たちが即困ることはないけれども、身近で同様の「破綻」が起きていることは知っておくべきだろう。そしてその破綻の原因には「無策」もあろうが「政治的思惑」がはっきり見て取れることも認識しておくべきだ。たとえば台湾高速鉄道の運営権に中国資本が参入したらどうなるかを想像してみれば様々な想像が湧くだろう。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

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「イスラム国」人質事件で暗躍──胡散臭い仲介人やブローカーたちの罪と罰

政府は穏やかな発言をしている一方、イスラム過激派「イスラム国」に人質2名を殺害されたことで警視庁にはっぱをかけ、千葉県警に合同捜査本部を立ち上げ、海外の情報機関と連携したテロ対策に乗り出している。

◆警視庁が追う「仲介人のニセガイド」

「殺された後藤健二さんは仲介人のニセガイドによってイスラム国に売り渡されたと見られます。それでまずはこの人物の行方を追う作業が始まっています」と警視庁を取材した大手新聞記者。

後藤氏は去年10月25日に「イスラム国」の支配地域にシリア人のガイドと2人で現れたことが確認されている。検問所で一度は制止されたが後藤氏はバスに乗り1人で「イスラム国」の中枢に入った。しかし、これがニセガイドだったとみられる。

「仲介人は自分たちに敵対する国の人間を渡せば、ひとりあたり50万円ほどの金になるといわれてます。ただ、ライバル業者が多いことから一度、仲介すればその名前が知れ渡ることも多く、その情報をまた売り渡す人間もいます。今回の仲介人は一説にはアメリカやイギリスにすでに目をつけられていた人物ともいわれ、エジプトに逃亡したという話も聞かれます」(同記者)

本来、後藤さんが手配したかった現地ガイドは「コーディネーター」とも呼ばれ、運転や通訳、宿泊などの手配を時間計算のギャラで請け負うものだが、トラブルになったときに活躍するのは現地事情に詳しい地元有力者。テロ組織とも交渉できる立場にあるため、こちらは「ネゴシエイター」(交渉人)と呼ばれることもある。今回はこうしたコーディネーターやネゴシエイターらに人脈があるとして、複数の自称記者らが政府に交渉の窓口にと名乗りを上げていた。

◆人質奪還交渉をした事実だけを作りたがる政府の弱みに付け込む

元海外駐在員のジャーナリスト、藤堂香貴氏によると「中東で人質事件があると、政府が奪還交渉した事実だけは作りたがる。それで政府から莫大な手数料を狙った中東ブローカー(交渉人)が出没する」という。

「現地では事件に乗じて金儲けしようと口利きを申し出る者がいるので、ブローカーはその仲介役として暗躍。手付金として数千万円を支払う交渉をして、政府が支払うことになれば、その2~3割をブローカーが手にする仕組み。シリア人のガイドは周囲に“ビジネスになると思って検問所まで同行したが違った”というようなことを話していたという話も囁かれていて、もしかするとガイドは後藤さんをブローカーだと思って接触したところ、ただのジャーナリストだと知って人質に売ることにしたのかもしれません」と藤堂氏。

実際、後藤氏は消息を絶つ直前、知人に「ガイドに裏切られた」と電話をしている。いずれにせよ危険地域では金目当ての自称ガイドが横行しており、これに騙されるジャーナリストが続出している。

さらに危ないのは仲介人とネゴシエイターがグルになっている場合だ。

「人質を取る側と交渉を請け負う側が出来レースをしていると、人質が返ってくる見込みがないのに手付金をもっていく」(藤堂氏)

ほかにもトラブルを装ってガイドの身元バレを防ぐ巧妙なケースもある。ガイドが運転中にわざと事故を起こして、通りがかったテロリストが助けるふりをして人質をさらっていくものだ。この場合、人質は生きて戻れてもガイドの裏切りに気付かないままだというから恐ろしい。

◆外務省に群がる報酬目当てのブローカーたち

テロリストが問題なのは当然ながら、国の混乱に乗じて儲ける連中が後を絶たないことも事態を悪化させている。最新の情報によると日本政府は今回、アドバイザーとして「中東在住の元FBI有力者」を臨時で頼ったという話もあるが、こういう人物もここぞとばかりに報酬目当てで群がってくるともっぱら。藤堂氏によると「実際に役立つのは10人に1人もいないと外務省の人間が漏らしていた」という。

「本来はブローカーに頼らず日本人の工作員がいるといいんです。こういう事態に備えて世界各国に動ける人間を置いておけば、いざという時に頼りになるし、そうしている国は後進国でさえたくさんあるんです。ただ、島国の日本はスパイなど潜入活動に遅れをとっていて、人材育成の段階にすらない」(藤堂氏)

◆世界中に露呈された「海外の危機に弱い日本政府」

結局、動いたのは国内の防犯組織である警視庁。今回はかなりの予算と人員を割いて大がかりなテロ対策に動くようだが、海外事情に精通したスペシャリストは不足していると聞く。

アメリカ政府からは今回、極秘裏に「ヨルダン政府に頼りすぎるな」というアドバイスが日本政府にあったというが、そもそも海外での犯罪捜査に弱い日本は打つ手が限られていた。

かくして、「民間」の自称交渉人が入り込む隙間があったわけだが、まったく役にたたなかったのはごらんの通り。日本政府が海外での危機に弱いことが世界中に露呈したことは、それこそ今後のテロ被害につながりそうだ。北朝鮮の拉致問題が呑気に長い歳月を費やしてしまっているのも頷ける。[ハイセーヤスダ]

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多様性に不寛容な日本が「外国人」を無原則に受け入れるとどうなるか?

私たちが海外に出かける時は、空港や港の出国窓口で入管職員からパスポートに「出国印」を押してもらう。特別永住者や在日外国人の方であれば「再入国手続き」承認の確認が行われる。そして目的地の国に着くと入国窓口でやはりパスポートに何やらスタンプが押される。これは入国時即発行のビザが発行されたことを意味し、そのスタンプに明記されている期間合法的に当該国に滞在することが許される。

このように渡航前に取り立てて手続きをしなくとも空港や港でビザを発行してもらえる国は手間も時間もかからずに便利なのだが、事前に在日本大使館や領事館にビザの申請を行っておかなければ入国が認められない国もある。これは外国から日本に来られる方も同様で、両国で了解が成立していて空港や港でビザ(Visa on Arrival)が発給される約束を結んでいる国同士は大雑把に言って関係が良好だと言える。

だが、ビザは必ずしも双方向に平等ではない。日本国籍の人が中国や韓国をはじめとするアジア諸国に出かける際はほとんど事前のビザ申請は不要だがつい数年前まで中国からの来日は基本中国当局が許した団体旅行だけであったし、韓国からでさえ日本に来るのには毎度毎度大使館や領事館で事前にビザ申請の必要があった。

また日本人でも短期の滞在ではなく現地での長期滞在や留学などで渡航する時はその国の定めによる査証を申請しておく必要がある。

と、ここまでは海外旅行の経験がおありの方であればご存知の事であろう。

◆激しく簡素化された留学ビザ

外国籍の方が日本にやってくる場合、日本は23種類のビザのいずれかを取得できていないと入国を認めない。23種類の中には「短期滞在」があり、これが「観光ビザ」と呼ばれることの多い最も取得が容易なビザである。事前に日本大使館や領事館でビザの申請の必要がない国からやって来られる方が空港や港の入国審査で押されるスタンプは「短期滞在」ビザである。

一方、ビザの種類によっては取得にかなり手間がかかるものもある。「興行」ビザは主として芸能関係の仕事で来日する人が取得するビザだが、かつては外国人女性を売り物にする飲み屋などがこのビザを利用してアジアから多くの女性を招き入れていた。とは言え飲み屋で「興行」ビザを取得するためには、ショースペース(「興行」で来るのだから何らかの芸を披露できる人であることが前提)の面積や店内の照明の明るさなどを子細に説明する書類の提出が要求された。

今ではそんな煩わしいビザを取得せず、来日している女性が多いと聞く。

私が大学に勤務し始めた当初、海外からの留学生が日本の大学で学ぶために必要な「留学」ビザは、現実的には書類を揃えるのが不可能なほど審査が厳しく、提出を求められる書類の数も呆れるほど多かった。日本で万が一生活費を払えなくなったり問題が起きた際に責任を取る「身元保証人」を立てることが留学生には求められていた。しかしこの「身元保証人」制度は全く現実味を欠き、更に悪徳業者を蔓延らせる原因となったため、現在では廃止されている。

知り合いもいない国に勉強をしに行くのに、「万が一の際は生活費やその他一切を私が保証します」などと名乗り出てくれる人は余程の篤志家か、さもなければ下心のある人間だ。実際当時大学に入学してきた留学生に保証人との関係を聞いてみると、どうも腑に落ちない話が多いので、一度何人かの「身元保証人」の方にお会いしたことがある。全員があっせん会社により紹介を受けた「赤の他人」だった。

「留学」ビザについては、その後入国管理局が大幅な方針転換を行い、大学などの「合格通知」(入学許可書)と顔写真だけあればビザが取れるようになった。激しすぎる簡素化に「こんなに乱発して大丈夫なのか」とかえって心配になった記憶がある。

◆「外国人積極的受入れ」という大転換

さて、ここからは近未来の話だ。日本の人口が急激に減少していることは読者の皆さんも耳にされていることだろう。そこで政府は人口減少を穴埋めする手段として「外国人の積極的受入れ」をどうやら内定したようだ。これは個人だけでなく社会全体、また来日する外国人の方に多大なな影響を及ぼす政策の大転換なので、本当はもっとマスコミが取り上げてもよさそうなテーマであるのに、あまり話題になっていない。

政府の表面上の理屈はこうだ。

「近い将来日本では介護職、看護職をはじめとして、労働人口の不足が確実であるので、社会保障制度維持のためにも海外から労働力を受け入れやすくする方向で検討する。また、高度な技術や能力を保持する外交人については国益の観点から在留期間の延長を可能と出来るよう検討する」(情報筋)

とうものらしい。つまり単純労働や知的労働にかかわらず、労働人口が減るので「使える外国人はいらっしゃーい」ということだ。

日本の入国管理制度の問題についてはその差別性について古くから批判があった。その観点から言えば門戸が広がることは一見望ましいことのようにも受け取られかねない。しかし政府の本音はそんなヒューマニスティックなものではない。

現在給与所得者の40%近くを非正規労働者が占めている。企業や行政は人件費を「コスト」と平然と語る時代になり、更なる「コスト削減」=「人権費削減策」はないものかと思案した時に目を付けたのが「外国人労働者」だ。

既に「研修」と言うビザで多くの実質的「外国人労働者」が日本で働ているが、彼らは名目が「研修」なので給与など待遇面について日本人の労働者と同等の権利が認められていない。いわば「潜りの出稼ぎ労働者」だ。

それでは限界があるので、ほぼすべて「オープンにしましょう」と言うわけである。

◆外国人労働者から「国民健康保険」「年金」を徴収する日本国

多様な人種が生活する社会はお互いが平等な条件で生活でき、かつ相互理解が成立すれば「成熟した社会」となるが、現在の日本に果たしてその資格があるだろうか。政府や企業経営者の腹の内は単純に「安くて使いやすい労働力の海外からの供給」だ。日本人の間で所得格差が広がり、将来の雇用が全く不安定な中に、外国人労働者がやってくればどうなるだろうか。

残念ながら、待遇の悪い境遇で働かざるを得ない日本人が外国人労働者を温かく迎えるとか考えにくい。いや、非正規の日本人労働者より更に安価で雇用できる外国人労働者が採用されると、日本人労働者の解雇が増えるだろう。そうなれば個人に責任はないのに不要な「外国人差別」が助長されるだろう。

欧州ではすでに経験済みの事だ。安価な外国人労働者に職場を奪われた人々が極右団体に集結し外国人排斥を叫ぶ。

日本ではそんな事態はまだ起きていないのに、これでもか、これでもかと「外国人排斥」が叫ばれているではないか。こんな状態で外国人労働者を迎え入れて、穏便に事が運ぶはずがないではない。更に来日した外国人労働者を待ち受けているのは差別的な社会保障制度だろう。現在でも日本に半年を超える滞在をする外国人には「国民健康保険」への加入が義務付けられている。怪我や病気で医者にかかった時「自費での治療」は高額すぎるので、このように健康保険への加入が義務づけられているのだ。この判断は合理的である。だが将来の外国人労働者が急増した時にも、この制度は維持されるだろうか。

それにもまして、数年あるいは10年を超える期間、日本に滞在し労働する外国人労働者の「年金」はどうなるのだろうか。現在国民年金の受給資格は25年以上国に年金を納めている人に限られる。25年ではあまりにも長いので短縮すべしとの議論があるものの結論は見ていない。だが私から見れば納付期間の長短に関わらず、既に年金原資は枯渇している。10年後65歳で国民年金を受け取れる人は皆無だと思う。

そこへ外国人労働者を持って来て、政府はおそらく「将来の支払い」と言う空手形と引き換えに外国人労働者からも「国民年金」を徴収するだろう。義務と言われれば支払いは拒否できないし、給与からの天引きであれば事情が呑み込めない外国人労働者は「ボッたくられる」だけのことだ。

目先の「人件費」=「コスト」削減しか頭にない、政府や経営者団体が社会全体に起こる変化に細かく対応する覚悟があるとは到底考えられない。

1月26日から始まった通常国会でも、この問題は議論の端々に語られることだろう。注目していきたい。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎イスラム国人質「国策」疑惑──湯川さんは政府の「捨て石」だったのか?
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テロリズムを遠ざける最良の手段は「強者」の側に身を置かないこと

イスラム国の人質になっていた後藤健二さんが殺害されたようだ。まずご遺族、関係の方々にお悔やみを申し上げたい。

結局日本政府は湯川さん、後藤さんの解放に関して「全く無力」だった。同時にマスメディアも問題の本質を突く報道は少なく、連日政府の無策振りを「膠着状態か」と報じるばかりで、独自の視点や取材からの報告は目につかなかった。

後藤さん殺害の情報に接して、安倍は目に涙を浮かべて「テロリストたちを決して許さない。罪を償わせるために国際社会と連携する。日本がテロに屈することは決してない」と述べている。

誤解を恐れずに言おう。

湯川さん、後藤さんの殺害を安倍は内心ほくそえんでいるに違いない。

◆「テロ」との戦いに「勝利」は絶対にない

時あたかも「有事法制整備国会」開催中である。お二人の犠牲は最大限安倍に利用されるだろう。そしてそれを報道が後押しするだろう。野党も全くあてにはならない。共産党が「集団的自衛権」に沈黙する(容認する)可能性だってあろう。

だから非力なこのコラムでは精々挙国「反テロ」ファシズムに異を唱える。

「テロ」との戦いに勝利は絶対にない。

「テロ」の根源は何か?

「テロリズム」の本質とは何か?

「戦争」と「テロ」はどのように違うのか?

「戦争」は許されるけども「テロ」は絶対悪なのか?

これらの問いに1つの誤りもなく、正確な回答を出せないようでは「テロリズム」を語る資格はない。

◆テロリズムに栄養を与える要素が世界中には溢れている

爆弾を爆発させてビルを壊したり、拳銃を乱射して多数の死者を出しても、その行為自体が目的であれば「テロリズム」とは呼ばない。単なる「爆弾犯」や「乱射犯」だ。

「テロリスト」とは何らかの目的を持ち、それを獲得するために行われる、破壊活動・実力行使活動を意味する。「白色テロル」や「赤色テロル」といった言葉が使われたのは正に実力行使に、それぞれの立場からの政治的目標があったからに他ならない。

とすれば、「テロリズム」を根絶するためには、暴力や武力を用いても「獲得したい」政治的目標を消滅させる他に手段はない。

そのようなことは不可能だ。世界はそれほど単純ではなく寛容でもない。歴史を背景とした長年の抑圧や資本による蹂躙など「テロリズム」に栄養を与える要素は世界中にあふれている。民族、宗教、資本のせめぎあい等は時に交渉を拒絶する。

「テロリズム」からなるべく離れた場所にいたいならば、最低限今日的世界における「強者(抑圧者)」の側に一方的に身を置かないことだ。他に手はない。

最悪の選択は構造的に勝利がありえない「テロ」と戦うなどと宣言することだ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

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渡辺昇一の「朝日憎し」提訴原告数が「在特会」構成員数とほぼ一致

まだ生きていたのか! 1月27日の新聞報道を見て声に出してしまった。本当は奴が生きていることは書店で質の悪い月刊誌の表紙などで名前を目にするから知ってはいたのだけども、懲りもせずにまたぞろいじましい老醜をさらしているので、徹底的に叩かせていただく。

歴史改竄主義確信犯で、差別者、日本財団(元日本船舶振興会)の理事を務めたこともある渡辺昇一だ。渡辺は『知的生活の方法』で名前が売れた後に、これでもか、これでもかと歴史改竄運動の先陣を走り続けてきた人物だ。80年代には「またあのアホが」程度にしか相手にされなかったけれども、世情の変遷と共に不幸なことにこのような「法螺吹き」が堂々と闊歩する時代になってしまった。渡辺は「南京大虐殺の被害者は40人から50人」、「沖縄戦での集団自決は左翼に先導された人が騒げば金が出ると堕落した結果」、「ヒットラー、ムッソリーニは共産主義者」、「適度の放射能とは、実際にどのくらいか。著者はおそらく毎時20ミリシーベルトと毎時50ミリシーベルトの間にあるのではないかと推定している」(ちなみに毎時20ミリシーベルト被爆すると全員が死亡する、民間人の法定上限は「年間1ミリシーベルト」だ)などの真顔で述べる人間だ。

◆相も変わらずの「何が何でも朝日新聞憎し」

奴を団長に8700人余名が笑わせてくれる提訴を1月26日、東京地裁に行った。新聞の見出しではこうだ。

「朝日慰安婦報道で国民名誉傷つけた」

ほー、どんな訴えなのだろう記事によると、

「朝日新聞従軍慰安婦報道について、8700人余りの市民が『誤った事実を国際社会に広め、日本国民の人格権や名誉を傷つけた』として、同社に一人1万円の慰謝料と謝罪広告の掲載を求める訴えを起こした。原告には研究者やジャーナリスト、国会議員らも含まれている。追加訴訟で原告数は最大で1万3千人程度になる見込みだという」そうだ。

さらに「訴状では『日本の官憲が慰安婦を強制連行した証拠はない』と主張。朝日新聞が1980~90年代に報じた故・吉田清治氏の証言に基づく記事などを挙げ≪日本軍に組織的に強制連行された慰安婦≫というねじ曲げられた歴史を国際社会に広めた原因になった』と指摘した」としている。

そして原告団長の渡辺昇一は、「朝日新聞が国民に恥ずかしい思いをさせていることに心から怒りを感じている」と述べている。相変わらず渡辺の「何が何でも朝日新聞憎し」の姿勢は変わらないようだ。

私は渡辺昇一の30年来の言論活動に「心から怒りを感じている」。正直早く帰天なさればと思う。

誣告罪(虚偽親告罪)は刑法にしか適用されないから、この提訴は原告敗訴で終わるだけだろうが、にしても税金を使ってまったく意味のない裁判が行われることに「怒りを感じる」。

◆政府と「歴史改竄主義者」の妄動こそが国際社会では恥

「スラップ(SLAP)訴訟」という概念がある。大企業や政府などの力の強い、また経済的に圧倒的な強者が弱者や権力のない個人に対して恫喝や発言の封じ込めを目的に提訴する裁判を意味する。読売新聞が頻繁に利用する手法だ。渡辺らの行動は権力者のそれではないものの、奴らは明確に「表現圧殺・歴史改竄=歴史殺し」を目的としている。原告数を組織動員し学者や国会議員なども加えてることを勘案すれば、この訴訟は分かりやすい「権力者」や「強者」のそれではないけれども、目的と性質は限りなく「スラップ訴訟」に近い。悪質極まりない。

本コラム「『朝日新聞叩き』で進行する『原発事故の本質』隠し」 の中でも触れたが、朝日新聞の「慰安婦報道問題」は全く枝葉末節の事実誤認であり、朝日新聞は謝罪する必要すらない。何故ならば「慰安婦問題」については報道機関ではなく日本政府や日本軍による証拠書類が多数残されており、吉田清治氏の証言は一民間人の発言に過ぎないからだ。

日本国内だけでなく、国連も「慰安婦」についての調査結果を1996年に報告書として発表しており、その際に吉田発言は全く引用されていない。実は昨年10月、外務省の高官が国連に派遣され1996年の国連調査を「訂正してくれないか」と願い出たが、「バカなことを言うな」と国連に一蹴されている。この件は日本国内ではほとんど報道されていないけれども、菅官房長官の意向で「報告書訂正願い」が行われたのだ。ニューヨークタイムスでは「国粋主義者安倍の意向を受けた」や「歴史改竄主義者」と散々な書かれ方をしている。

国際社会で恥をかかされているのは朝日新聞報道ではなく、政府を含めた「歴史改竄主義者」の妄動であることが明確にわかる。

笑わせてくれるのは、「国際社会で恥をかかされたから一人1万円慰謝料を払え」というユスリ同様の要求だ。今8700余名が原告に名を連ねていると言うが、その人々全員の氏名をどこかのサイトで公表してもらえないものだろうか。また、最終的に追加訴訟で原告数が1万3千人程度になる見込みらしいが、その数が不思議なことに「在特会」の推定構成員数と一致しているのはどういう偶然だろうか。

国際社会で恥をかかされて慰謝料が請求できるという論理に則れば、政府の不祥事は全て請求対象になるではないか。殊に東京オリンピックで招致スピーチで完全な嘘を発言した安倍には1億2千万人全員が慰謝料請求を行わなければならない。

歳を取ってボケが進行しているのだろうが、馬鹿もたいがいにしろ!渡辺!

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎イスラム国人質「国策」疑惑──湯川さんは政府の「捨て石」だったのか?
◎人質事件で露呈した安倍首相の人並み外れた「問題発生能力」こそが大問題
◎安倍内閣は「人質の身代わり」に大臣を派遣すべし!
◎「イスラム国」人質事件で見えてきた「人命軽視」の安倍外交
◎「シャルリー・エブド」と「反テロ」デモは真の弱者か?

イスラム国人質「国策」疑惑──湯川さんは政府の「捨て石」だったのか?

諸情報を総合すると残念ながら湯川遥菜さんがイスラム国によって処刑された確度が高そうだ。湯川さんはPMC(Private Military Company)JAPANという会社の社長で、この会社は「民間軍事会社」と名乗っている。あくまで国外での軍事的人命救助や防御を「業務目的」にしているが、「業務実績」はない(国内で「民間軍事会社」は当たり前だが憲法、法律違反だ。目的の如何を問わず「軍事行動」を行えば「内乱罪」や「凶器準備集合罪」で重刑に処される)。

◆二人の人質を繋ぐライン

この会社のサイトには現在も人質として囚われている後藤健二さんの写真や湯川さんと後藤さんが一緒に移った写真が掲載されている。それだけでなく、湯川さと後藤さんが昨年5月イラクで共に現地メディアの取材を受けている動画も掲載されている(応対をしているのは英語が話せる後藤さんで、おそらく湯川さんが映像を撮影したと思われる)。

さらに、英語を中心として構成されている同社のHPには「INDEPENDENT PRESS」というタグがあり、これをクリックすると昨年5月シリア、トルコ国境で後藤さんが撮影した写真を掲載した後藤さんの所属する(実質的には後藤さんの個人の)事務所住所などが掲載されたページへ飛ぶ。

湯川さんは同社HPの中に「CEOブログ」を持っていて活動内容などを記載している。田母神俊雄との交流や彼自身の国際観が綴られており、湯川氏の歴史観や世界観は田母神氏に近いようだ。

◆後藤健二さんとJICAの関係

先の本コラム記事で短く「なぜ今回の人質事件では『自己責任』論が政府から語られないのか」と書いたが、その後の取材でいくつかの事が明らかになった。湯川さんと後藤さんは昨年少なくとも複数回以上イラクやシリアを二人で訪問している。湯川さんは軍事業務目的というよりは取材(もっと言えば単なる訪問)で、後藤さんの取材アシスタント的色合いが濃かったこと(湯川さんは英語もアラブ語も話せないが、ビデオカメラの撮影は手慣れている)。

後藤さんは「子供」の救済などをこれまで中心に手掛けてきたと報道されてるが、紛争地帯の取材経験も少なくない。また紛争地帯を取材するフリージャーナリストが子供に想いを馳せて写真集を出したり、活動することも珍しいことではない。昨年の度重なるイラク、シリア訪問は紛争地取材が目的だったことなどだ。その一部は「報道ステーション」などテレビでも放送されている。また後藤さんは過去、次のような仕事もなさっている。

・JICA研修/広報DVD・ビデオ 『現場に見る人間の安全保障 Ⅱ』和英版
(英版『PROMOTING HUMAN SECURITY IN PRACTICE Ⅱ』)
2007年05月 JICA(国際協力機構)
・JICA研修/広報DVD・ビデオ 『現場に見る人間の安全保障 Ⅰ』和英版
(英版『PROMOTING HUMAN SECURITY IN PRACTICE Ⅰ』)
2006年05月 JICA(国際協力機構)
・外務省 安全対策管理ビデオ 『脅威から我が身を守れ!』
2005年04月 NHKプロモーション

◆「最初から湯川は捨て石だった」

そして、政府と近い消息筋からは意外な言葉が漏れてきた。

「最初から湯川は捨て石だったんだ。その為に国が相当額を出資している」

この発言がどこまで信憑性を持つか私には判断できない。だが、日本政府は昨年8月頃には既に湯川氏が人質となった事を知っていたはずだ。そして湯川氏が社長のPMC JAPANは1月31日現在もHPを開設したままだが、この内容を犯行グループが見れば、解放など望めないことは素人でもわかる。何故不利な証拠以外の何物でもないHPを放置した(させた)のだろうか。

湯川氏がAK47の試射をしている映像までもがいまだに掲載されたままだ。余談だがそこからは彼が武器の扱いに慣れてないことが伺われる。セミオートとフルオートでの試射だが最新型AK47は少年でもそれほど反動を受けないのに、湯川氏はセミオートの単射でも衝撃を体に強く受けて肩を後ろに反らしている。

このシーンを撮影したのはおそらく後藤さんだろう。

英語も話せない湯川さんが、紛争地帯取材に赴くことは、極めて不自然だ。だから後藤さんの同行という形にしたのだろうけれども疑問は残る。湯川さんは中東でも「民間軍事会社社長」を名乗っている。

消息筋に質問してみた。

「捨て石ってまさか、最初から殺されたり人質になることを想定していたのか?」
「そんなことは答えられるはずがないだろう。でも現実が一番雄弁に事実を語ってるだろう」

私個人で真相を探るのには限界がある。金も人手もあるマスコミこそ金太郎飴のように毎日代わり映えのしない報道をしていないで、真相に迫る事実を暴き出そうとは思わないか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎人質事件で露呈した安倍首相の人並み外れた「問題発生能力」こそが大問題
◎安倍内閣は「人質の身代わり」に大臣を派遣すべし!
◎「イスラム国」人質事件で見えてきた「人命軽視」の安倍外交
◎「シャルリー・エブド」と「反テロ」デモは真の弱者か?
◎イオン蔓延で「資本の寡占」──それで暮らしは豊かで便利になったのか?
◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理
◎リクルートの「就活」支配──なぜ国は勧告指導しないのか?
◎2015年日本の現実──日本に戦争がやってくる

イオン蔓延で「資本の寡占」──それで暮らしは豊かで便利になったのか?

イオングループが不振であるようだ。日本経済新聞(2015年1月9日付)によると「価格政策など消費増税後の対応を失敗した」(岡崎双一=イオン専務執行役)そうで、「消費者の支持を得られなかった」という。結果、食料品や衣料品などを幅広く扱う総合スーパー(GMS)事業の不振からイオンの連結営業利益は493億円と前年同期から48%減少。連結対象に加わったダイエーの業績悪化も響き、営業損益で289億円の部門赤字(前年同期は65億円の黒字)を計上した。

◆「AEON」増殖風景の気持ち悪さ

それにしてもあっという間に「AEON」の看板や店舗が日本全国にあふれるようになった。イオンは「イオンモール」を経営する「イオン株式会社」もと「イオンリテール株式会社」が中核をなす。大型ショッピングモールを経営するのは「イオンモール株式会社」で、スーパーマーケット等小規模店舗を経営するのが「イオンリテール株式会社」である。

同社のHPによると、営業収益6兆3951億円(3期連続で日本小売業営業収益NO.1)で、モール型店舗は国内外で168、小型店舗は611に上るという。「イオン」を名乗らないけれども「TOP VALUE」や「ダイエー」と言った小売店も資本系列としてはイオン傘下なので、全国に展開する「イオン」関連の店舗数は数を数えるのが難しいほどだ。

元は「ジャスコ」の名前でさほど派手な印象はなかった「イオン」だが、大規模「イオンモール」を全国に展開し始めてから俄然存在感が高まった。当初は土地の安い都市部から遠隔地に大規模モールを建設し、専ら自動車利用の顧客中心の店舗展開だったが、その後駅前など利便性の高い場所への出店も相次ぎ、「営業収益6兆3951億円」企業へと成長した。

関連会社は、銀行から保険不動産まで。財閥の体をなしてイオンであるが、その増殖振りはやや気持ち悪い。

長距離移動の電車に乗れば10分とおかず、車窓からは「イオン」の名前が目に入って来る。そしてイオンモールを訪れると、どの店も同様の仕様で建築されていて、専門店街に入っているテナントの種類も大差ない。

専門店街テナントは高級ブランドというわけではなく、価格的には中間層のやや上から低所得者層を想定しているようだが、平日に訪れると、イオン自体はともかくテナントに集まっている客がことのほか少ないことが分かる(程度の差こそあれ私が訪問した10店舗ほどのイオンモールは全国いずれもそうだった)。

聞くところによるとテナントとして入るにはかなり厳しい審査があるほか、テナントで働く人々への管理も相当うるさいらしい。更にテナント料が高く、一度は出店したものの、収益が期待期待できず撤退するテナントが後を絶たない。

まあ、それは「イオンモール」内のいざこざだ。本質的な問題はこのように巨大かつ画一的な「ショピングモール」が出来てしまえば、個人商店など到底太刀打ちできないことだ。東京、大阪といった大都市でも駅前商店街には閉店した店が並ぶ。地名を上げて申し訳ないけれども、岐阜などは駅前商店街がほとんど死滅状態だ。

◆つくづく感じる「資本の寡占」

個人商店の危機は深刻というレベルを通り越している。かつて「ダイエー」が栄華を誇った時代に、ダイエーの発祥の地である神戸では「ダイエーが神戸を壊した」と言われた。安価な大規模小売店は商店街や個人商店を直撃し多くの商店主が職を失った。しかし皮肉なことに飛ぶ鳥を落とす勢いで中国進出を本格的に画策していた「ダイエー」は経営破綻に陥りイオンの傘下に収まっている。近く「ダイエー」という屋号も消えるという。

コンビニエンスストアチェーンや「イトーヨーカードー」そして「イオン」を見ていると、何かしら「画一的な購買」しか許されていないような気がしてくる。

品ぞろえは確かに豊富だろうし、価格だって大量仕入れだから高い訳ではない。価格では個人商店より確実に優勢だ。

でも、顔見知りの魚屋さんで、おやじに「今日は何がいい?」と聞いたら「今日はハマチがええよ、お造りでばっちりや」、「ほなそれ貰うわ」といったやり取りや、こちらの嗜好とと懐具合を知り尽くしている店主に「お勧めを」任せられるような買い物は大型店では出来ない。イオンモールのような「怪物」が続出すれば、地域に根付いている商店文化も壊滅してゆくだろう。

資本の寡占が進むというのはこういうことだと「AEON」のロゴを目にするたびに感じる。商店街が懐かしく思い出される。

私たちの生活は本当に便利で、豊かな方向に向かっているのだろうか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」
◎リクルートの「就活」支配──なぜ国は勧告指導しないのか?
◎人質事件で露呈した安倍首相の人並み外れた「問題発生能力」こそが大問題
◎安倍内閣は「人質の身代わり」に大臣を派遣すべし!
◎「イスラム国」人質事件で見えてきた「人命軽視」の安倍外交
◎2015年日本の現実──日本に戦争がやってくる
◎なぜテレビはどこまでも追いかけてくるのか?

《大学異論30》リクルートの「就活」支配──なぜ国は勧告指導しないのか?

今日4年制大学の学生が卒業後一般企業への就職を考えているならば、彼らが勉学に集中できる期間は2年あまりしかない。就職先を見つける活動を遅くとも3年次の中盤には(それでも遅いという説もある)始めなければ、「内定」を得ることは難しい。これが短期大学生になれば更に忙しことになり、ろくろく勉学をしている時間などない。

大学側は企業経営者連中に対してもう少し常識を持った「採用活動」を要請すべきだと私は思うのだが、そのような声を耳にすることは少ない(一部国立大学が経団連に要請を行ったことはある)。時期が多少ずれはしたけれども、かつては大学と企業の間に「就職協定」と呼ばれる「約束」が一応結ばれていた。例えば「学生の企業訪問解禁は4年生の10月1日とする」といった具合に、就職活動によって学生の学業への影響が出ないように配慮がされていた。水面下ではそれより早時期にが学生と企業の接触があり「青田買い」も起きてはいたが、それでも一定の節度が建前としてはあった。

◆一民間企業が学生に内定獲得の「苦行」を強いている現実

ところがなし崩し的に「就職協定」は廃止にされ、前述の通り、今の大学生は2年もかけて「就職活動」をしなければならない。しかもその方法も煩雑を極めている。「エントリーシート」なるフォーマットに自身の情報や志望動機を書き、企業へ提出するところから「就職活動」は始まるらしいが、その後も「SPI検査」(正確な名称は「SPI総合検査」)、筆記試験を経てようやく面接にたどり着く。面接は大企業なら最低3回はクリアしなければならず、学生が「内定」を得るのは苦行とも言える。またそれに要する費用も大きな負担となっている。

しかしこのような形態での「採用活動」や「就職活動」は自然発生的に定着してきたわけではない。ここまで私は敢えて使わなかったのだけれども学生の間で「就職活動」が「就活」と呼ばれるようになって久しい。私は日本人が不要と思えるほどに言葉を略して使う傾向があると以前から感じていたが「就職活動」を「就活」と言い換えるのはまさにその典型だ。そして自然発生ではない「就活」方法及び言葉としての「就活」は「リクルート」と言う一企業によって操作され作り出されたものだ。

◆「SPI検査」という「士商法」

大学生には入学直後から就職を意識した「キャリア」指導が行われる。ここで言う「キャリア」も正確な英語の意味から大きく外れているうえに、学生がどうして企業の目を意識して学生生活を送らなければいけないのか頭をかしげてしまう。そして多くの大学で行われている「キャリア」指導は的が外れている。企業就職を目指そうが、学者を志そうが大学時代に経験しておくべきは最低限基礎的な学問であり、自分の興味を持つことに時間を割き打ち込むことだ。大学1年生にとって「企業研究」や経済のにわか勉強など全くと言っていいほど不要である。そんなものにしか興味の持てない学生は結果として希望するような就職はできない。

にしても「リクルート」の罪は大きい。進学情報の根元を握っている同社は元々教育機関をメインの顧客に想定していたが、その対象を学生と企業にも広げ、両者の最も敏感である「採用活動」=「就職活動」を新たな儲けのターゲットとした。学生は「リクルート」を儲けさせているという意識はないのだが、前述の「SPI検査」を実施している母体は実質「リクルート」である。この試験が近年相当な存在感を持ってきたために、採用活動においては企業だけでなく地方公共団体も利用している。書店に行けば分かるが「SPI検査」対策の書籍が膨大に出版されている。

大学でも「SPI対策講座」などが行われる。テキストを販売しているのは「リクルート」だけではないがこれだけ「SPI検査」が社会認知を得ると受験対策テキストからの収入だけでも相当な儲けになろう。

「士(さむらい)商法」と呼ばれる手口がある。通信教育で資格取得を目的に教材を販売する商法だ。資格の多くには「税理士」や「行政書士」のように末尾に「士」が付くので「士商法」と呼ばれている。過去幾度も社会問題化しているこの商法、適当なテキストだけ作って売っておけば儲かる仕組みだ。

試験の実施母体がこの「士商法」を利用すればどうなるだろうか。試験を実施する企業や地方公共団体からは「試験問題」料金を徴収できるし、それを受験する学生は準備のためにテキストを購入する。テキストだけでなく「SPI検査トレーニング」を謳うセミナ―なども開かれており、中には参加費が20万円以上するものもある。

加えて「エントリーシート」はインターネット上で行われるのだが、そのフォーマット自体を特定サイトからしか記入できない仕組みを採用している企業が多い。そのサイト名は「リクナビ」、これまた「リクルート」である。企業も大学も学生も「就職活動」に関わる行程を「リクルート」に支配され、加えてリクルートはその過程ごとに儲かる仕組みになっている。

◆リクルート商法と巨大利権の闇

リクルートは江副元社長が贈賄で逮捕された過去を持つ会社だが、「就職活動」に関わる「リクルート」過剰ともいえる支配と商法は明らかにあくどい。単に露骨な金もうけに走っているだけではなく、学生生活の貴重な時間を奪い不要に長い「就職活動」を強制していることも許しがたい。

一民間企業の過剰支配にどうして厚生労働省や文部科学省は勧告や指導をしないのであろうか。また大学側もなぜ声を上げないのだろう。

巨大利権の裏に常に横たわる「政治」がここでも暗躍しているのではないかと疑われても仕方が無かろう。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎《大学異論29》小学校統廃合と「限界集落化」する大都市ニュータウン
◎《大学異論28》気障で詭弁で悪質すぎる竹内洋の「現状肯定」社会学
◎《大学異論27》「学ぶ権利」を奪われたマスプロ教育の罪──私的経験から
◎《大学異論26》「東大は軍事研究を推進する」と宣言した濱田純一総長声明文
◎《大学異論25》ロースクール破綻の無策と「裁判員裁判」の無法
◎《大学異論24》日本テレビが喧伝する「箱根駅伝」の不平等

 

1.17と3.11を忘れない!鹿砦社の震災・原発書籍

 

人質事件で露呈した安倍首相の人並み外れた「問題発生能力」こそが大問題

たった二人(うち一人は既に処刑されたとの報もある)の人質解放に対して、現政権はこれほどまでに対応能力がなかったのかと多くの方々が呆れていることだろう。

◆子どもの感想と変わらぬ発言を繰り返す安倍首相

対策本部をヨルダンに設置してみたところで、実際には何の成果もない。人質交換は「自国の人間が優先だ」とヨルダン政府が発表した通り、日本の存在は完全に無視されている。現地本部の面目は見事に潰された形だ。安倍は人質の画像公開されるたびに「許しがたい暴挙だ。今すぐ人質を解放すべきだ」と繰り返しているが、子供の感想と変わらない。首相なのだから感想を述べている暇があれば解決に向けて尽力して欲しい。

などと、安倍に望むのは間違っている。安倍には問題解決能力はない。人並み外れた「問題発生能力」を備えているが、自分のまいた種で問題が発生すると立ちすくんで小学生並の感想を述べることしかできない。安倍だけでなく現在の自民党はそういう政党であり、公明党も同様だ。さらに言えば野党各党もこの種の問題に対する能力という点では大差ない。共産党の志位は同党の池内沙織衆院議員がTwitterで安倍政権の人質問題対応を批判したことについて「政府が全力を挙げて取り組んでいる最中だ。今あのような形で発信することは不適切だ」と述べ発言を削除させた。さすが「民主集中制、日の丸つけた「スターリン主義政党」の本領発揮だ。

◆ISIS人質事件でなぜ「自己責任論」は語られないのか?

政治家は大方が外交現実対応において必要な能力や経験を備えていないことが分かる。

外交対応能力とは、外国語が話せることを意味しない。むしろ語学力などは二の次だ。世界には多様な価値観が存在し、私たちが「正しい」と考える判断も別の文化では「間違い」にあたることがあること。口頭の「約束」はほぼ必ず破られることが原則であること。「賛同」や「同意」は一時的なものでしかないこと。日本の常識がある国では「死刑」に該当する場合もあること。国際的に「日本人は交渉に弱い」と思われていることを知っておくこと。対応策は1つではなく最善策がダメな場合を想定し最低2つの次善策を用意しておくこと。など民間の大学職員であった私ですら経験的に学んだものだが、政府の対応にそのような痕跡は見られない。

外交評論家と自称する人々で的を得た指摘をしている人がどれほどいるだろうか。東京都知事のねずみ男は国際政治が専門の東大教員だったが、「世界各国回っていてわかったことは、どの国でも売春婦の値段は大学新卒給与の3分の1程度なんですよ」としたり顔で語っていた事を思い出す。売春婦の値段調査に世界中を回っていたのがねずみ男だ。その程度の人間が東大で国際政治を教えていたのだから卒業生である官僚たちの国際感覚も推して知るべしだ。

言い方は悪いが「たった二人」の人質解放に直面してこの体たらくだ。しかも現在人質にされている方は政府の意向でシリアに出かけた可能性が高いと消息筋の未確認情報もある。なるほど、だから今回は「自己責任論」が全く政府側から語られないのか。

◆安倍政権に「集団的自衛権」を担う能力はないことが露呈した

「集団的自衛権」=米国追従の「どの国に対してもの『宣戦布告』」は今回の人質事件と同様の、いや更に困難な事件を多発させるに違いない。それに政府は対応能力が全くないことを今回露呈した。

運転免許書を持っていないのに運転目的で自動車を購入するようなものだ。エンジンをかけて数分後にはどこかにぶつかるか、悪くすると死亡事故を起こすだろう。

勘弁してくれと言いたい。そんな連中が操縦桿を握るあやふやな船で一緒に沈没させられるのは御免だ。

願わくば今回政府の「無為無策」を多くの国民が認識し、それが経済政策や社会保障政策にも通底していることに気がついてほしい。こんな出来の悪い連中に執権を握らせていたら本当の破滅を招き入れる。それを希望する人はいないだろう。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎安倍内閣は「人質の身代わり」に大臣を派遣すべし!
◎「イスラム国」人質事件で見えてきた「人命軽視」の安倍外交
◎「シャルリー・エブド」と「反テロ」デモは真の弱者か?
◎2015年日本の現実──日本に戦争がやってくる

粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」

マクドナルドの売り上げが思わしくないらしい。世界中に店舗を展開しコカ・コーラやディズニーと並んで、米国の代名詞に近いマクドナルド。関東では「マック」関西では「マクド」と呼ばれすっかり日本の外食社会に浸透して日の浅くない同社だが、昨年末には店頭で販売するポテトが品薄になり一時「S」サイズしか販売できなくなった、とニュースで報じられていた。

なんで、たかがファーストフードチェーンの商品販売ごときがニュースになるのか、とパソコンの画面を眺めながら、アホ臭いなぁと思っていたが、どうやら業績全体もかなり落ち込んでいるようだ。

◆マクドナルドを成功に導いたのはアメリカ料理のレベルの低さ

日本マクドナルド初代社長の藤田田が「親の舌をハンバーガーに馴染ませたら、子供も食べに連れてくる。徹底的に日本人の舌を変える」と宣言した通り、ハンバーガーは日本で日常的に買える商品になった。開業当初はハンバーガー1つが300円以上していたけども、デフレに合わせて100円バーガーを販売すると、中高生の利用者が爆発的に増え店舗数も3000を超えている。店内には無線インターネット環境も整えられ、ジャンクフードを食べながらそこで長時間過ごすことが出来る、ある種の独自空間にもなっている。

ところが、販売製品に異物が混入したり、他社との競争で劣勢に陥るなど、マクドナルドは全体に元気がない。

喜ばしいことだと思う。

ハンバーガーはきちんとしたハンバーグを作り、それを質の良いパンにはさんで新鮮な野菜を添えて食べれば立派な「料理」といえるが、マクドナルドで売っている、くず肉を使いどこで取れたのかわからない原材料を混ぜこぜにして出来上がった、薬の匂い臭いハンバーガーを喜んで食べるのは自由だけども、それが国民食になるような代物ではない。

この商売が米国で生まれ、そこそこ成功したのにはわけがある。商売方法のうんぬん以前の話だ。

米国には「まずい」食べ物が溢れていて、その中でマクドナルドは、比較的ましな味であったからだ(同様の現象は「ケンタッキーフライドチキン」にもあてはまる)。

多くの方はお気づきだろうが、「フランス料理」や「イタリア料理」、あるいは「地中海料理」などを耳にすることはあっても「アメリカ料理」という言葉を聞いたことはない。米国にちょっと滞在すればすぐにわかる。南部の黒人が独自の「ソウルフード」を伝統としている以外に、米国には「人に出せるような味の料理はない」ことを。

料理にかけて、米国のレベルは世界中でもかなり下位にランクされるだろう。これはひょっとしたら使用言語との関係があるのかもしれないと私的には感じている。英国、豪州、ニュージーランドでも「美味しいその国オリジナル料理」を聞いたことがない。つまり英語を母国語としている国共通の現象なのだ(私の限られた経験からは)。だからそれらの国では中華料理を筆頭に、和食、フレンチ、イタリアン等「外国料理」の店が繁盛する。

◆「アメリカ的」文化への憧憬が消滅すれば、ただ不味いだけのシロモノ

日本にマクドナルドが初出店したのは1971年だ。大阪万博の翌年で、庶民レベルでは文化的にも経済的にも米国はまだ憧憬の的だった。日本人はたぶん「味」にではなく「雰囲気」に惹かれてマクドナルド文化に引き寄せられていったのだろう。またソ連時代のモスクワに1990年マクドナルドが開店した時、何時間も待つ客の列が出来た。これも心象は日本と同様に「アメリカ的」な物への興味が為させた現象だったと想像できる。

マクドナルドの衰退は、他の米国資本のハンバーガーチェーンの日本参入や、コンビニエンスストアの爆発的増加など複合的な原因があろうが、私に言わせると、過剰に流行りすぎたのである。

あんなまずいも、そして体に悪いものを子供の食べさせてはいけない。

手造りのお握りを食べさせている方が余程体にいいだろう。

よくそこまでマクドナルドの悪口が言えるなぁとの声が聞こえてきそうだけども、これは私だけの尺度ではない。

「世界遺産」に「和食」が指定されたではないか(「世界遺産」などという胡散臭い権威を私は微塵も信じてはいないけれども)。

子供の頃からマクドナルドのハンバーガーを与えられて、味覚が形成されてきた方々にも一度試していただきたい。

「これは本当に旨いのか」と疑いながらマクドナルドで最も安いハンバーガーを買う。そして店内に腰かけて周りを見回す。交わされているのはどんな会話だろう。漂っているのはどんな匂いだろう。隣の人はどんな顔をしているだろう。くさぐさ面倒くさいことを敢えて考えた挙句に、覚悟を決めてハンバーガーにかぶりつくのだ。

そこから先のご感想を誘導するつもりはない。私も昔はマクドナルドを食らっていたのだし。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎安倍内閣は「人質の身代わり」に大臣を派遣すべし!
◎「イスラム国」人質事件で見えてきた「人命軽視」の安倍外交
◎「シャルリー・エブド」と「反テロ」デモは真の弱者か?
◎2015年日本の現実──日本に戦争がやってくる

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