前回に引き続き、吉松育美対谷口元一裁判の証人尋問の模様をレポートする。
吉松さんの訴訟代理人である西川紀男弁護士が日本テレビ内での谷口氏と吉松さんのやりとりについて質問が続く。
◆私は会いたくないと言いました
西川紀男弁護士 (谷口氏から)あなたに対する暴行はありませんでしたか?
吉松育美 ありました。生放送の番組が終わった後、スタッフの誘導により、私は控室に行きました。でも、そのすぐ後ろに本来ならば、付き添いであったテーラー氏が私のすぐ後ろにいなければならないのに、彼を無理やり押しのけて(谷口氏が)私の方に近づいてきて、控室まで追いかけてきました。そして私は控室に怖くなって入った瞬間に後ろから谷口さんが右腕をつかみ、私を控室から連れだそうとしました。
西川紀男弁護士 その前に確認したい。甲38号証を示します。これは星野陽平さんの『芸能人はなぜ干されるのか?』という本なんですが、最後の「あとがきにかえて――」というところで、石井さん、ご存じですか? (K-1の)石井館長。その石井さんが「われわれが日本の芸能界の掟を決めている。芸能の仕事をしたければ、バーニングプロダクションの周防郁雄社長の許しを得なければならないと諭した」とありますが、これは事実ですか?
吉松育美 はい。
西川紀男弁護士 で、その次に308ページ下の段落に自分と周防の親しい友人であるケイダッシュの幹部、谷口元一と面会することを求めたとありますが、これも事実ですか?
吉松育美 事実です。
西川紀男弁護士 で、面会するように求めたことに対してあなたは拒否されたということで、いいんですね。
吉松育美 私は会いたくないと言いました。(中略)
◆とても怖いし、どんな手を使ってでも、人を追い詰めてくるようなという印象がありました
西川紀男弁護士 最初に初めて谷口さんと会われた時に、谷口さんがどういう方か、あなたは知っていた?
吉松育美 面識はありませんでしたが、噂は聞いていました。とても怖いし、どんな手を使ってでも、人を追い詰めてくるようなという印象がありました。
西川紀男弁護士 腕を掴まれたとおっしゃいましたが、その後、どうされましたか?
吉松育美 何するのよと悲鳴を上げて振り払いました。
西川紀男弁護士 谷口さんは結局、どこまであなたのところに来たのですか?
吉松育美 細かく言うと、控室の中まで入ってきました。そして、谷口さんの後ろにいたテーラーさんがその状況を見て、危険と判断し、谷口を無理やり、押しのけて、すぐ控室のドアを閉めました。そのやり取りはほんの一瞬ですが、提出した録音記録の中にも残っています。
西川紀男弁護士 その時、谷口さんはあなたに対して、新しいマネージャーをつけるからねとか、そういった趣旨のことは言っていたんですか?
吉松育美 その後、テーラー氏が谷口さんを控室から追い出した後、関係者に事情を説明しているやりとりがありました。私はそのやり取りをドア越しに聞いていたのですが、その中で「本当のマネージャーじゃない、本当のマネージャーを用意した」とか、また日テレのとても力のあるような人の名前を出したり、自分の会社であるケイダッシュの名前を出したり、とても、自分には力があるということ言って周りに圧力をかけようとしていました。
西川紀男弁護士 「私の事務所を知ってるね」と谷口さんが言った言葉は聞きましたか? どういう趣旨でしょうか?
吉松育美 先程も言いましたように、インターネットには谷口さん、また関連する事務所は、反社会組織と深いつながりがあると言われていました。ですから、その名前を出すと、業界関係者であれば、誰でもが怖がってしまう状況が簡単に想像ができます。なので、彼はあえて自分の名前や名刺を差し出して、そういった名前を関係者に言ったのだと思います。
◆(日本のマスコミは記者会見に対して)ほとんどゼロに近い反応でした
西川紀男弁護士 そういった趣旨のことはあなたの陳述書や司法記者クラブでの記者会見とか全部入っているんですが、司法記者クラブでこういう会見をした、あなたの目的は何ですか?
吉松育美 私の目的はそのような自分自身の経験により、社会の中には泣き寝入りをしている多くの女性、また、ストーカーの被害者がたくさんいることを知りました。なので、私は日本人初の世界一のミス・インターナショナルとして、この自分に陥った状況を自分の使命だと感じて、私が立ち上がらなければならないと思い、記者会見を開きました。
西川紀男弁護士 記者会見、司法記者クラブでの記者会見、日本のマスコミでの反応は?
吉松育美 ほとんどゼロに近い反応でした。でも、私の記者会見には多くの、ほとんどといっていいほどのメディア関係者が取材に来ていました。質問も多くいただき、感覚としてはみなさん、興味を持たれている、これは報道されることなんだなという印象でした。
西川紀男弁護士 海外は?
吉松育美 海外の反応は日本の反応とは真逆で、私が記者会見をした数分後からアメリカを中心に世界中に私の言ったことが報道されました。
◆電話口で谷口氏は(母親に)「育美さんが川田亜子さんのようになることを心配しています」と言いました
西川紀男弁護士 あなたのご両親、ご両親に対して、谷口さんのいろんな行為があったと?
吉松育美 ありました。まず、父親の携帯番号を知るはずのない谷口さんから職場にいた父親へ連絡がありました。また、谷口さんは私の実家にまで私のスキャンダル記事やテーラー氏(と谷口氏)の裁判資料、そして、私が嘘をついているという主張をして、とても両親は怖い思いをしました。
西川紀男弁護士 実家の住所とか、電話番号をどうして知ったのでしょうか?
吉松育美 分かりません。父親の携帯番号も私の実家も、公に公表しているものではないので、どうしてどうやって調べたのかと、父親は怖い、気持ち悪いという思いでいっぱいでした。
西川紀男弁護士 谷口さんは、郁実さん、さらにその先の郁実さんのお父さんやお母さんと関係ないじゃないですか? つながりとか、心当たりは?
吉松育美 谷口さんの行為を正当化する理由というのは特に思い当たりません。
西川紀男弁護士 お母さんはこの裁判で陳述書をお書きになっている。もちろん、あなたも読んでいますね? 非常に心配されている。苦しんでいる。
吉松育美 そうですね。母親も情報ソースがインターネットしかないので、谷口さんのことを調べると、さっきも言いましたように川田亜子さんの自殺の件が出てくる。そして、電話口で谷口氏は「育美さんが川田亜子さんのようになることを心配しています」と言いました。なので、いくら言葉が丁寧でも、インターネットに書かれているようなに自殺に追い込まれてしまうとか、もしくは自殺と見せかけて誰かに殺されてしまうのではないか、娘の命までなくなってしまうんじゃないかという恐怖で眠れぬ夜を過ごしたと言いました。その気持は私も同じです。(続く)
◎[参考動画]日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(日本外国特派員協会=FCCJ公式チャンネル2013年12月16日公開)
▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。
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