大和魂シリーズvol.5 / 2015年12月12日 / 後楽園ホール17:30~21:30
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆竹村哲 vs マサ・オオヤ──ラストファイトを勝利で飾ったSNAIL RAMP竹村哲!

メインイベント67.0kg契約5回戦
NKBウェルター級チャンピオン.竹村哲(ケーアクティブ/44歳/67.0kg) vs? 同級8位.マサ・オオヤ(八王子FSG/41歳/67.0kg)
勝者:竹村哲 / TKO 4R 2:18 / カウント中のレフェリーストップ / 主審 前田仁

竹村は2002年に31歳でキックデビュー。同時に1995年結成のSNAIL RAMP(スネイルランプ)というスカパンク、メロディック・ハードコアのバンドでも活動中です。今年4月に元・全日本ライト級チャンピオン.爆椀・大月晴明に1ラウンドに左フックでブッ倒されるも、過去の対戦相手の中でも最強との試合はファンの記憶に残る好ファイトで価値を残しました。今回のラストファイトの相手は、過去に引分けていて自ら指名したマサ・オオヤ。対戦相手でありながら、40歳を超えた彼にも王座挑戦へ奮起して欲しい願いがありました。

スカパンク竹村哲チャンプのラストファイト!マサ・オオヤ戦

試合はスロースターター気味に徐々に詰める竹村ペース。第4ラウンドに入ってラッシュし、パンチ連打からヒザ蹴りで倒しました。

渡辺代表より労いの言葉で感涙!

「大怪我から手術とリハビリと3回も繰り返し、身体機能の低下から練習レベルが落ち、こんな姿をジムの後輩に見せて勘違いさせてはいけないと、現役引退を決意しました。自分のファイトスタイルは批判されることあるんですけど、渡辺代表からは、『それでいいんだ、それを貫けばいいんだ』といつも言ってくれました。」と試合後の引退式でコメント。

メインイベント最終試合後の長いセレモニーとなった引退式。かなり多くのファンが残って最後まで見守っていました。引退する選手を送るセレモニーとして、過去の対戦者、ジムメイト、連盟役員一人一人から御祝儀とメッセージが贈られた最後、渡辺代表の興行だけではない渋い声の御挨拶。昭和の旧・全日本キック世代(昭和44年~56年)を彷彿する存在だけあって“親父の威厳感”がありました。

ベイビーレイズJAPANが応援に駆けつけた!

しかし覚えてきたセリフを珍しく途中忘れた感じで「とりあえずお前はよく頑張ったな…。長い間御苦労さん」と苦笑いでいきなり自然な会話ぽく語りだし、前もって考えたセリフより温かみがありました。

竹村の挨拶中、運営係員のトランシーバーの通信音声が丸聞こえ、「引退式もいろいろあるなあ」と言ったり、「渡辺会長から貰った記念品の楯(写真入)、結構重いんすよ、けど遺影みたいで…」と笑わせた後、竹村はテンカウントゴングに送られました。

最後に記念撮影、音楽関係で友好関係あるベイビーレイズJAPANも応援に駆けつけていました。35分あまりのかなり長くなった引退式で、後楽園ホールから撤収作業を促されている状況の、31年に渡る渋い団体が竹村哲のキャラクターで皆がリズムを崩し、いちばん笑える引退式だったかもしれない、緊張感解れる締め括りとなりました。

連盟役員、各ジムオーナーと引退記念写真

◆高橋亮 vs 松永亮──高橋三兄弟で一番先にチャンピオンとなった次男・亮!

セミファイナル NKBバンタム級王座決定戦5回戦
1位.高橋亮(真門/53.5kg)vs 3位.松永亮(拳心館/53.0kg)
勝者:高橋亮 / TKO 4R 1:54 / 2度目のダウンでレフェリーストップ / 主審 川上伸

過去2勝している相手ではあったが、一発逆転の突進力を持つ松永だけに油断はならなかった。しかし、当て勘の良さと手足の長さを利しての伸びるパンチと蹴りは終始優位に進め、第1ラウンドに1度、第2ラウンドに2度ダウンを奪い、次第に松永から闘争心を削っていき、4ラウンドにも蹴りの連打で2度ダウン奪って圧倒して仕留めた。

三兄弟の中で一番先にチャンピオンとなった次男・亮。本人が語るように「これからがスタート、ここからが勝負」というようにチャンピオンとなってからは他団体チャンピオンと比較され、未知の強豪との対戦も回ってくる。まさにここからが亮にとっても、話題の三兄弟にとっても勝負の年でしょう。

高橋亮vs松永亮

◆2016年新春興行は2月7日後楽園ホールで開幕!

来年2月興行の主役たち、左から安田一平、折原陽子(11代目連盟マスコットガール)、石井修平、大和知也

新春興行は2月7日(日)後楽園ホール17:30開始で、竹村哲が返上した王座の、第13代NKBウエルター級王座決定戦、1位.石井修平(ケーアクティブ) vs 2位.安田一(SQUARE-UP)が行なわれます。ライト級で夜魔神(SQUARE-UP)に挑戦に敗れたあと、ウェルター級で竹村の後に続きたい石井修平と、夜魔神に続くSQUARE-UPジムからのチャンピオンを獲りたい安田一平の対戦です。

もうひとつの主要イベントはNKBライト級チャンピオン.大和知也(SQUARE-UP)が日本人相手8戦8勝(6KO)のWPMF世界スーパーライト級チャンピオン.ゴンナパー・ウィラサクレック(タイ)と対戦。今年の大和魂シリーズの主役でありながら苦戦が続いた大和知也の引き続く主役級大冒険となるカードです。この団体での久々の第一線級ムエタイボクサー登場に、それだけで驚きの感がありますが、興行運営3年目の小野瀬邦英体制の成果が年々上がってきている状況です。

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない。」

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