被災者住宅が、いわき市内につぎつぎと建設されている。
福島県いわき市の渡辺敬夫市長は4月上旬に、記者会見で、いわき市に避難した福島県の住民について「東京電力から賠償金を受け、多くの人が働いていない。パチンコ店も全て満員だ」と発言し、今もなおネット掲示板で物議を醸している。

地元の新聞記事には、渡辺市長のもとには、いわき市の市民から「避難者は仕事もせずにパチンコばかりしている」という声が寄せられているとも書かれている。地方自治体の首長が原発事故の被災者の行動を批判するのは、極めて異例の事態だ。

ネット掲示板では「なかなか踏み込んだ発言だな」と、渡辺市長の発言に驚く声が多い。また「なんでそんなにパチンコ好きなんだ、他に使いようあるだろ」など、賠償金をギャンブルに使ってしまう避難民の”程度”を疑う声もある。
「そういうが、仕事も原発事故でなくした。時間だけがあり、狭い仮設住宅で何をしろというのか。市長も一度、ここで暮らしてみろよ」(被災者住宅の人)

市は入居世帯にガスのカセットコンロや食料などを提供。日本赤十字社はテレビや洗濯機などを寄贈している。
だが私は、「被災者は甘やかされている」という大上段にかまえた意見が好きではない。
「自分の家に住めない」状態は過酷そのものだ。被災者住宅はどう見てもプレハブのそれに近い。

市は入居世帯数を2300戸と見込んでいたが、市内外から2600件以上の申し込みがあった。高齢者らの世帯を優先し、民間住宅も借り上げている。
確かに、取材してみても高久町あたりのパチンコ屋は、連日満員のようだ。
しかし渡辺市長は、パチンコがよほど嫌いなのか、それとも市民税の収入が激減するのを恐れているのか、働いていないことを批判する。

それならば、雇用を促進したらどうだろう。
新しい自然エネルギー発電、たとえば地熱発電所などを作ったらどうだろうか。
被災者住宅の住民は語る。
「なにも好きこのんで住んでいるわけではない。6人家族に2LDKで住んでみなよ。戦後じゃねえって。壁が薄くて冬は寒いしよ」

もうひとつ。「エコハウスで仮設住宅を」などとビジネスに走った会社があったが、論外である。
いわき市の被災者住宅では、ところ狭しと住居が立っているが、もともとは公園や学校の校庭、市の施設であった場所だ。原発事故のせいで遊びたい子供が我慢し、市の機能はある程度、止まっている。
政府よ、復興のスピードをあげたほうがいい。消費税増税政局で自民党とジャブの打ち合いをしている場合ではないぞ。

(渋谷三七十)