民主党の小沢一郎元代表は5月31日、国会内で開かれたグループ会合で「国民の理解と支持は、われわれにあると確信している」と述べ、改めて消費税増税関連法案に反対する姿勢を明確にしている。
おそらくもう1回くらい会談があると、永田町では言われている。
よく聞かれることなので、今回は、本人になりかわって一気に説明しよう。
すなわち、小沢一郎の本音である。まあ、頭の中で小沢一郎が話しているのを想像してほしい。
「野田はバカじゃないのか。あれだけ2009年に俺たちが煉りに練ったマニフェストを反故にするだけならまだしも、行政改革も道半ば、無駄使いもほったらかしで、『消費税増税』と本気で考えているのか。どうせ官僚らにあらゆるデータを示されて洗脳されて『増税しないと日本が沈む』と思い込んでいるのだろうな。まあ野田は日本新党から来た男で、民主党の存続よりも消費税を増税して少なくとも歴史に名前を残したいのだろう。そんなことはさせないぞ。なにしろ俺には100人の仲間がついているのだからな。消費税の増税そのものは反対ではないぞ。その前に無駄を省くべきことが、たくさんあると言っているのだ。それにいやらしい言い方をすれば、今反対しておかないと選挙のときに大損するからな。野田よ、輿石を俺の間に1枚入れて、俺をコントロールしていると思い込んでいるようだが、コントロールされているのは野田のほうだぞ。お前が俺を操ろうなんて、10年早いのだからな。今から自民党に泣きついて、なんとか消費税の増税の審議に入るつもりだろうが、そうはさせない。自民党にだって俺が粉をかけている連中がたくさんいるんだ。自民党との連携がうまくいかなくなって解散してみろ、それこそ自民党の思うツボだぞ。だから俺の言うとおりの人事にしておけばよかったんだ。田中真紀子の旦那に本当に大臣が務まると考えたのか。人事に八方美人ぶりを発揮するとそうなる。聞くところによると、岡田副総理は自民党の幹部と密会して、俺を斬ろうという動きをしているらしいじゃないか。政策よりも政局か。野田よ、君は政治というものがわかっていない。なぜ裁判中の俺に、いまだに100人もついているのかよく考えてみるといい」
民主党番の夕刊紙記者は言う。
「野田首相は、まわりが見るよりもはるかに策略家だが、小沢から見れば子供のようなものだ。しかし野田首相は、鳩山内閣ができたときに冷遇されて、ひとことではすまない恨みつらみがある。財務副大臣という役職にあったが、ほとんど立場はなかったのだから」
私は小沢が好きではない。だが、「政局のために小沢を斬る」と、もし安易に考えているなら、野田総理は大馬鹿者である。
野田は、なぜ小沢一郎がこれだけ、検察やメディアに叩かれながらも仲間が多いのか真剣に考えたことが、一度でもあるのだろうか。私はその答えを持っているが、下手な解説はやめておこう。その最終的な答えは、歴史が証明していくのだろうから。
(渋谷三七十)