4月29日(金)、国会議事堂前にて〈T-ns SOWL〉(Teens Stand up to Oppose War Law)が安倍政権の退陣を求める抗議行動を行った。同グループは安保法制に反対することを目的として立ち上げられたもので、高校生や10代の若者が主なメンバーだ。首相官邸前で行われている反原発連合の活動を取材した筆者は、少し遅れて国会議事堂前に到着。国会議事堂と警察、大勢(30名超)の取材陣を前にした〈T-ns SOWL〉が、一見して熱のこもった声を上げていた。

「集団的自衛権はいらない」「戦争反対」などという聞きなれたシュプレヒコールに加え、あるいは練習を重ねたのではと思われるような、新鮮でリズミカルなオリジナルコール。それに答えるメンバーは、白色に統一された拡声器を握り締め、しっかりと声を出していた。

暴力性を帯びがちなかつてのデモ活動に比し、〈T-ns SOWL〉の活動からは「フラットな民主性」が感じられた。それは、彼らの用いる言葉やその服装が「社会的一般」を外れていないという事実に依るところが大きいと思う。

より多くの社会構成員に働きかけることを目的のひとつとして認めるのであれば、一般的な言葉で語りかけるというのは非常に重要なことである。この観点からすると、彼らの態度はメンバーの若年性を考慮せずとも評価さるべきものである。

もうひとつ感じたことを述べる。これは〈SEALDs〉についても言えることなのだが〈T-ns SOWL〉のデモ活動からは、浮き足立っているような、言わば「部活動」的な印象を受けた。これはそのメンバーの多くが生活を持たないという点に起因するものであろうが、あるいは不可避的なものだとも言えよう。重要なのは、そういった印象を与えるということを自覚しているかということと、その自覚を持った上で為すべき仕事を追求しているか、ということである。これは私見だが、彼らの仕事は「半ばほども社会参与していない高校生ですら問題意識を持つ安保法制とはいったいなんだろう」といった手順で問題意識を惹起させることだと思う。

大学生主体の〈SEALDs〉に次いで現れた〈T-ns SOWL〉は、メンバーが高校生であるという点が最も特徴的であり、その特徴はメディアにとって格好の要素である。先述した通り、現場にはその「ネタ性」を証明するように筆者を含めた報道関係者が詰めかけている。メディアは〈T-ns SOWL〉とその活動を資本に変換すべく様々な調理を試みるだろう。そういった社会の利害関係に絡め捕られることなく、自分たちの立場と為すべき仕事を認識し、主体的に行動できればと願うが、非常な困難が伴うであろう。まずは今後の動向を眺めようと思う。

[撮影・文]大宮浩平

▼大宮浩平(写真家)
1986年東京生まれ。
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抗うことなしに「花」など咲きはしない『NO NUKES voice』Vol.7