「週刊新潮」には、あいた口が塞がらない。なんせ業界用語でいう表紙2(表紙裏)に見開き2ページで、日本航空のPRページがカラーで掲載されていた。しかも先週・今週(6日発売)と二週連続のヨイショ掲載なのだ。

「驚きましたね。週刊新潮はかつて日本航空の闇を徹底的に描き、200万部を超えるベストセラーとなった山崎豊子の『沈まぬ太陽』を連載。山崎氏が得意とする徹底した取材にもとづいて創作された小説です。『日本航空』は作中では『国民航空』となっていましたが、モデルとなった人物が特定できるほど、現実と酷似していたのです。もちろん85年の単独機の事故として史上最悪の死者を出した日本航空123便墜落事故も、山崎氏は遺族側に立って真摯に執筆していました。しかし日本航空は『沈まぬ太陽』を快く思わず、連載中からJAL機には週刊新潮を追放する装置がとられたのです。またようやく実現した映画化について、ご遺族の中には映画化を快く思っていない方もいるとして、映画化反対のコメントを出したのです」(映画関係者)

渡辺謙が主演、09年に公開された映画は日本映画アカデミー賞をはじめ、邦画界の主なタイトルを総なめにした。ところが「週刊朝日」によると、映画化を巡っては日本航空から角川映画に対し「名誉毀損の恐れがある」と警告文を2度送り、角川は「映画は全くのフィクション」であると主張した。

映画化に関しては「『沈まぬ太陽』が映画化されれば、本の売り上げにつながりますから、当然のことながら新潮社は映画化を推しました」(週刊誌デスク)
この十数年間、新潮社と日本航空が犬猿関係であったことは事実だ。

しかし時は流れ、週刊新潮は週刊誌不況に喘ぎ、日本航空は破産したものの、今では再上場間近と今や立場は完全逆転した。
「のど元過ぎればなんとやらで、カラー広告を掲載して過去でも清算しようというのでしょうか。なんか離婚したけれど、金がなくて一緒に暮らしている夫婦を見ているみたいで嫌だねえ」(大学教授)

一説には、日本航空から「旅行の際は、会社として団体割引をします」というバーターが新潮社に対してあったという説や、新潮社の広告部の体制が変わったから、日本航空の広告が復活したという見方もできる。
新潮社よ、日本航空よ! あなたたちのような風見鶏的な生き方がはびこるから、日本が沈むのでないのか。日本航空は会社更生法が適用され、国のカネで運営されている「肩身が狭いご身分」である。とりわけ、週刊新潮は以前中部電力の広告を垂れ流したように、言論機関の体をなしていない。「沈みゆく太陽」とタイトルを変えて反省文を出せっ!

(鹿砦丸)