関西で、ある人気ラジオ番組の打ち切り問題が波紋を拡げている。
その番組とは、毎日放送(MBS。TBS系列)の『たね蒔きジャーナル』だ。今月いっぱい(具体的には9月28日まで)で打ち切りが決まった。現在の報道をめぐる状況にあっては、なかなか骨のある番組で残念だ。
この番組には、小出裕章助教が頻繁に登場され、反原発の立場が明確で、昨年の3・11以来人気を博している。日々この番組を要約してネットに配信する奇特なファンもいるほどだ。
『たね蒔きジャーナル』の打ち切り問題が表面化した際、私はすぐに、もう20年近く前になる、ある番組打ち切り事件を思い出した。
『たね蒔きジャーナル』のメインキャスターを務める水野晶子アナウンサーが、以前にも受けた事件だ。当時は大騒ぎになったが、今では、覚えている人も少ないと思われる。
映画にも造詣が深い水野アナウンサーは、同僚の三上智恵アナウンサーと『シネマチップス』という深夜番組をやっていたが、ここで著名作家・椎名誠氏監督の『白い馬』を批判、椎名氏側のクレームで『シネマチップス』は、今回の『たね蒔きジャーナル』同様、打ち切りの憂き目に遭い、三上アナウンサーは退職に追い込まれたと記憶している。これについては、作家の田中康夫氏が椎名氏を批判している。
この時、水野アナウンサーは、どういうスタンスを取られたのか、今回の『たね蒔きジャーナル』打ち切り問題と併せ、私が主宰している「鈴木邦男ゼミ」にお招きし、いちどお聞きしたいと思ったが、局の関係者を通して断られた(苦笑)。
「歴史は繰り返す」のか、「因果は巡る」のか……今回、水野アナウンサーには、アナウンサー人生を懸けて、徹底抗戦を貫いていただきたいと心から願っている。
この問題に対しては、小出裕章氏、山本太郎氏、湯浅誠氏はじめ多くの方々が番組打ち切りに抗議し、1千万円余りの浄財を集め番組存続を訴えるまでに拡大、20年近く前の『シネマチップス』打ち切り事件を遙かに上回る大問題になっている。今回こそ、水野アナウンサーは大見得を切り抵抗すべきだろう。小出、山本、湯浅氏らと共に! 私たちも応援している。
『たね蒔きジャーナル』については、まだ流動的な面もあるが、水野アナウンサーにはいつか、先の『シネマチップス』打ち切り事件と併せ、事の<真相>を語っていただきたいと思う。
尚、先の事件で退職に追い込まれた三上アナウンサーは、沖縄に渡り琉球朝日放送に入社、今でも沖縄で報道を職としておられるとのこと。三上アナウンサーの想いもぜひお聞きしたい。
今回の『たね蒔きジャーナル』打ち切り問題には何か因果、因縁があるように感じている。
(MT)