お笑いコンビ「ピース」の綾部祐二が来年春から本格的にハリウッド進出をめざすというが、これには報道されない「裏事情」があるという。
「昨年、第153回の芥川賞を『火花』でとった相方の又吉直樹の扱いが受賞以後はまったく変わり、コンビで一緒にいても、明らかにスタッフが先に又吉に気を使っているのが手にとるようにわかる。受賞以後はライブにしても、テレビ番組にしてもスタッフが又吉に『楽屋は寒くないですか』『ちょっと収録が押して(伸びて)いてすみません』といちいち断りを入れるように。いっぽうで綾部にはそうした気遣いはない。そうした空気を読み『もうあいつ(又吉)とはいっしょにいたくない』『なんか切なくなってくるわ』と後輩芸人や親しい関係者に漏らすようになった」(芸能関係者)
そして1年ほど前から「英会話のレッスンに通うなどして、本格的にハリウッド進出を考え始めた」という綾部は又吉と少なくとも『同格』をめざそうとする姿勢が基本としてある。
「相方と一緒にいると本当に自分が惨めになる」と綾部が漏らし始めるのは受賞後、綾部に対して『又吉先生はどれくらい忙しいですか』と出版関係者が接近して又吉と接触するためのクッション扱いされたり、軒並み親しい文化人が『又吉さんと対談したい』などという話がつぎつぎと舞うこんできたのは事実です。そのたびに綾部はうんざり顔で『事務所に相談を』と返すのですが、表情は暗かったです」(同)
かといって「ピース」としてコンビ間がギクシャクしたわけでも仲が悪化したわけでもない。ルミネtheよしもとなどで行う吉本興業主催のライブは、きちんとこなしていたし,コンビ間の連絡もスムーズにとれていた。
「それは表面的な話。ライブなどで強く突っ込んだり、トーク番組で又吉の知られざる一面を話すと、すぐに『綾部は又吉に嫉妬していると書かれる』と綾部がこぼしていたこともある」(同)
又吉が受賞したとき、その快挙に「相方として嬉しいですよ。でもみなさんが思っている以上に格差が半端ない。不安になってます」と吐露した綾部。
「受賞後に本のオファーも綾部にはたくさんあったが吉本興業に届くのは、『又吉のことを書いてくれ』という企画書ばかり。本人にはかなり見せていない企画書もある。だから吉本としては『なかったこと』として処理されているはず」(同)
綾部が又吉に決意を伝えたのは6月ごろ。又吉はかねて米国進出を勧めていただけに「行ったらええんちゃうん。勝負してきなさい」と即決したと報道されている。
だが綾部が最終的にハリウッド進出を決意したのは、又吉が所属している吉本興業に「綾部がアメリカにいる間、僕がそのぶん稼ぎますからと豪語したのを耳にしたからですよ」とお笑いに詳しい演芸ライターは言う。この話を伝え聞いた綾部は「よし」と即断。すべてのCMと番組を降板する腹を決めた。
昨年の秋に『 別れたら好きな人』(フジテレビ)で昼ドラ主演が決まりこの大抜擢について綾部は「又吉大先生のおかげです。ありがとうございます」と恒例のヨイショをしていたが、実際のところはやるせない気持ちであふれていたはず。
「このドラマでも打ち上げで『又吉先生のおかげでいいドラマに出させていただき』などと語っていたましたが、その目は笑っていませんでした。綾部はいい演技センスを見せることもあるから、ぜひ一発、ハリウッドで当てて帰ってきてほしい」(フジテレビ関係者)という声も。
綾部は又吉作品に「俳優として使ってくれれば」と自虐ネタで笑いをとっていたが、又吉が頭を下げて使いたくなるような役者となるか。
ジャラシーをエネルギーに変えて、『ハリウッドで成功したお笑い芸人』となり帰国する日を夢見て、残した仕事を綾部はこなしていく。
(伊東北斗)