ボクシングの東洋太平洋ライトフライ級タイトルマッチ12回戦がダイヤモンドグローブの主催で昨年12月8日、東京・後楽園ホールにて行われた。

ものすごいインサイドワークとハードパンチを併せ持つアマチュア出身の王者・拳四朗(BMB)が挑戦者の同級3位レスター・アブタン(フィリピン)に3回1分57秒TKO勝ち。

「作戦通りの展開に持ち込んだ。もっと強い相手とやってもよかったが、相手が大振りしてくれた。はっきりいってこれではスパーリングにもならないよ」(格闘技ライター)

拳四朗は初防衛に成功したが、死角もある。

「日本同級王座も保持する拳四朗はプロデビューから9連勝(5KO)としたものの、もし誰かが打ち合いに持ち込んで近距離で立ち往生したらどうするか。もしくは相手が極端にアウトボクシングをしてきたらどう立ち回るか、という点で作戦がまだ確立されていない」(同)

安全運転で適度な距離を保ち、冷静にフックや右ストレートを入れていく拳は、ややもすると「遊んでいるのではないか」と思えるほど。油断から1回はアブタンの大振りフックをもらう場面があり、リングサイドからは「しっかり見ろ。打ち返せ。足を使え」と檄が飛ぶ。

もはや2ラウンドからは、距離をとらずに相手を仕留めにかかった拳だが、やがて相手が大きく空振りしてふらつくと、その隙間を突いてジャブを打ち、離れぎわに一発打つという高度な、拳ならでは「離れ打ち」も披露しつつ、3ラウンドへ突入した。

3ラウンドに入り、やや疲れの見えたレスターに右カウンターをぶちこむと、ロープ際に追い詰めた拳。

レスターはたまらずダウン。左右の連打を浴びせて猛烈なラッシュをかけ、レフェリーストップになだれこんだ。「序盤が固かったので60点です」と反省しきりの拳四朗だった。

父で元東洋太平洋ライトヘビー級王者の寺地永会長は「春ぐらいにはできるように考えたいです。可能性はWBC(ガニガン・ロペス=メキシコ)かIBFの暫定(メリンド=フィリピン)が近いかも」と明かし、「世界戦はこっち(東京)でやって、防衛戦で(地元・京都に)錦を飾れればいいです」と話す。

果たして、世界戦が実現するか。
「まだまだクリンチされたら離れ方が悪いなど課題は多い」と陣営は言う。
「新世界王者」の誕生が近い予感がする。注目したい。

(伊東北斗)

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2017年2月号