「それって、民間企業の話ですよね」
この間お伝えしているように、『タブーなき原発事故調書 超A級戦犯完全リスト』(鹿砦社)を取り上げた、高校生向け進路情報番組「ラジオキャンパス」が、FM熊本で番組ごと打ち切りになった(FM秋田とFM新潟では、その部分のみが音楽に差し替えられ、FM仙台と青森、岩手、山形、琉球放送のAM各局では、改変されずに放送された)。

そのことを某夕刊紙の記者に伝えた時の反応が、冒頭の言葉である。
「ええ、民間企業ですよ」
一瞬、彼が何を言いたいのかが分からずに、そう答える。
確かにFM熊本は、熊本日日新聞が40%以上出資する民間企業である。
どうやら、民間企業だから放送内容は自由、と言いたいらしい。

反権力をスタンスとし、既存のメディアを「大マスコミ」と批判する夕刊紙である。
だから、『タブーなき原発事故調書』が取次から委託配本拒否されたことも、真っ先に伝えたのだが、スルーされた。
おそらく、その時から用意していた答なのだろう。
取次は民間企業であり、取り扱う本を決めるのも自由であると。
しかし、大手が大きなシェアを占める取次が委託配本を拒否すると、書店自らが注文しないと棚に並ばないことになる。
結果的には、検閲と同じだ。

「取次が委託配本を拒否すること自体が問題ですけど、それを公共の電波で取り上げようとしたら、番組打ち切りって、もっと問題だと思いませんか?」
重ねて問いかけた。

日本の電波法第1条には、「電波の公平且つ能率的な利用を確保することによつて、公共の福祉を増進することを目的とする」と、放送における電波の公共性が謳われている。
長年、高校生と向き合ってきた教育者の納谷正基氏が、『タブーなき原発事故調書』および、昨年刊行の『東電・原発おっかけマップ』が取次から委託配本拒否となった事実を伝えることに意味があると考えたのだ。
それを封じるのは、この電波法第1条には反しないのか。
FM熊本では、「コメントすることはない」「取材拒否」としており、番組打ち切りへの正当な根拠を示すことができないでいる。

その記者はなんと答えたか。
「だってムーブメントになってないじゃないですか。委託配本拒否で『タブーなき原発事故調書』は本屋にも並んでないわけだし」
全く驚いた答だ。人々の知らないことを知らしめるのが、メディアではないのか。
『タブーなき原発事故調書』にも書かれている通り、脱原発のポーズを取るメディアにも、最も重要なことは隠す、という原子力マフィアのメディアコントロールは利いているのだ。

取次を批判することは、ほとんどの出版社でタブーらしい。
しかし、批判した出版社の配本に手心を加えるなどということが、取次に許されるのか。そしてそんなことが実際にできるのか。考えてみたらいい。
やりもしないうちから、勝手に恐怖している。腰抜けなのだ。

先日、大飯原発再稼働反対デモ撮影の市民メディアOneness TVに、福井県警が家宅捜索に入り、パソコン、HDD、SDメモリーカードを押収した、という事実をお伝えした。
11月8日、敦賀警察署からOneness TVに電話があり、「全部お返しします」との連絡があったとのことだ。、「福岡のご自宅までお持ちしようと思いますが、いかがでしょうか?」と、驚くほど丁寧な口調だったという。
署名運動などの広がりに、警察も恐れをなしたのだろう。
Oneness TVの金子譲氏の言う通り、「民主主義の勝利」だ。
既存のメディアは、ほとんど張りぼて。市民メディアの活躍に、今後も期待したい。

今回、『タブーなき原発事故調書 超A級戦犯完全リスト』が書店に配本されるのは、事前に心ある書店からご注文いただいた冊数を指定配本するなど発行部数の一部(10数%程度)にしかなりません。できるだけ鹿砦社販売部(sales@rokusaisha.com)に直接ご注文をお願いいたします。直接お申し込みの方には早速発送します。送料サービス/代金後払いです(冒頭の表紙写真をクリックすることで、販売ページに飛ぶこともできます)。

(FY)