アグレッシブさは悠矢を上回ったジョーダン(左)のミドルキック

パンチの距離をもっとキープしたかった悠矢(右)

ジョーダン(左)の蹴り終わりを狙い続けた悠矢のローキック

狙い撃ちは上手だった宮越宗一郎(右)のカウンター

前日計量で、悠矢は体調の良さは強調しつつも、「いつもより2kg多いウェイトですが、リミットいっぱいいっぱいでスーパーフェザー級(58.9kg)だったら無理でした」と言うほど身体が大きくなった感じの様子。

また「僕はアグレッシブな戦いしますけど、ジョーダン選手がムエタイスタイルなら、僕とは初めて戦うタイプと思うので、日本のこと嫌いになっちゃうかもしれませんけど、全力で戦って明日は僕が勝ちます。」という激闘を匂わすコメントを送っていました。

◎NJKF 2017.1st / 2月19日(日)後楽園ホール 17:00~20:55
主催:NJKF / 動画配信: YouTube LIVE

◆61.0kg契約3回戦

WBCムエタイ世界スーパーフェザー級14位.悠矢(日本C/大和/ 61.0kg)
vs
同級11位.ジョーダン“デーカレック”コー(アイルランド/ 60.7kg)
勝者:ジョーダン”デーカレック”コー / 0-3
(主審 山根正美 / 副審 少白竜48-49. 松田48-50. 竹村48-49)

アグレッシブなのはコーの方でした。前蹴り、左ミドルキック主体に出てくるコー。ローキックで崩しに掛かりたい悠矢。後手になりがちで突破口を見出せないがローキックは次第に効いてきているはずも、コーはたじろがず表情にも表れない。コーの勢い衰えないまま悠矢はパンチ勝負に繋げず小差判定で敗れ去りました。コーはリングから降りる際もセコンドの肩を借り、右足太腿が痛々しくかなり効いていた様子。悠矢はWBCムエタイ・インターナショナル・スーパーフェザー級王座への前哨戦だった試合に敗れ、挑戦が一旦後退した現状で次戦はどうなるかは未定です。

負けられない立場の鈴木翔也(左)だったが、ほんの少し踏ん張り足りず

◆70.0kg契約3回戦

WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーウェルター級チャンピオン.宮越宗一郎(拳粋会/ 70.0kg)
vs
森本一陽(レグルス池袋/ 69.9kg)
引分け / 1-0
(主審 多賀谷敏朗 / 副審 山根29-29. 松田30-29. 竹村29-29)

2月12日で30歳になった宮越宗一郎が年内で引退をほのめかす中、森本一陽と引分け。森本の踏み込んで自分の距離を保ってのパンチ連打と蹴りを宮越は応戦し強い蹴りで上回るも森本の勢いを止めるには時間が足りなかったか。ラストラウンドは互いが流血になる中、激しい攻防の中での終了。

◆NJKFスーパーフェザー級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.鈴木翔也(OGUNI/ 58.97kg)
vs
2位.琢磨(東京町田金子/ 58.90kg)
勝者:琢磨 / 0-2
(主審 少白竜 / 副審 山根48-49. 多賀谷49-49. 竹村48-49)

琢磨が一度敗れている鈴木翔也に際どい接戦を制し第6代NJKFスーパーフェザー級チャンピオンとなる。

鈴木翔也(左)vs琢磨(右)。パンチを貰い過ぎたか印象点に響く

執念で王座奪回へ意欲的に攻めたYETI達朗(左)

◆NJKFスーパーウェルター級王座決定戦 5回戦

1位.YETI達朗(キング/ 69.7kg)
vs
4位.西岡和久(誠至会/ 69.7kg)
勝者:YETI達朗 / 3-0
(主審 松田利彦 / 副審 山根50-47. 多賀谷50-47. 少白竜50-47)

YETI達朗は昨年2月、白神武央(拳之会)に王座を奪われるも白神がひとつ上のWBCムエタイ日本王座を獲った為、返上されたNJKF王座に第6代王座決定戦で再挑戦し奪回に成功。

ヒジとパンチで優位に攻めたYETI達朗(左)

アグレッシブな矢島直弥を上回る能登達也(右)の先制攻撃がKOに結びついた

◆52.0kg契約3回戦

NJKFフライ級チャンピオン.能登達也(VALLELY/ 52.0kg)
   vs
WPMF日本フライ級チャンピオン.矢島直弥(はまっこムエタイ/ 52.10→52.0kg)
勝者:能登達也 / TKO 1R 0:57 / カウント中のレフェリーストップ
主審:竹村光一

◆55.5kg契約3回戦

前田浩喜(CORE/ 55.45kg)vs コンバンノー・エスジム(タイ/ 55.5kg)
勝者:前田浩喜 / TKO 1R 2:57 / カウント中のレフェリーストップ
主審:山根正美

他、4試合は割愛します。

◆取材戦記

能登達也が矢島直弥を豪快に1ラウンドでノックアウトし、4月1日開催の「KNOCK OUT vol.2イベント」に出場が予定される石井一成の相手として名乗りを上げました。インパクトあるノックアウト後に自らマイクアピールするのは効果的ですね。KNOCK OUT関係者が来場されていたかはわかりませんが、まず居なくても伝わることでしょう。

“格闘技界初”と発表された「観客へのサービスとして、後楽園ホールのリング上にて専任スタッフによる記念撮影サービスを実施」という催しも、リング上での撮影会はリング下に変更されていました。「ファンはリングに上がらないで」とは毎度の興行で後楽園ホール側からお願いされていましたから、「本当にやれるのか」と思いましたが、やはり当然の警告となったようでした。しかしNJKF は、2017年のスローガンをForTheFans とし、ファンが楽しむためのキックボクシングを提供することを目指しており、今回の企画に優る今後のForTheFansに期待しましょうか。

表彰選手と役員が揃う年に一度のイベント

セレモニーでは2016年度のNJKF年間表彰式が行なわれ、各賞が授与されました。

最優秀選手賞  宮越慶二郎(拳粋会)
殊勲賞     健太(E.S.G)
敢闘賞     テヨン(キング)
技能賞     MOMOTARO(OGUNI)
新人賞     二条司(誠至会)
年間最高試合賞 宮越慶二郎(拳粋会)vs 羅紗陀(キング)

ひとつの団体のみの10分あまりで終了した年間表彰式でしたが、2月10日には東京ドームホテルで恒例のプロボクシングの年間表彰式が行なわれており、2時間ほど掛けたそのスケールの差を感じますが、キックボクシングも業界で統一された年間表彰式があったなら昨年、タイの殿堂ラジャダムナンスタジアム・スーパーウェルター級王座を奪取し、現地で初防衛を果したT-98(今村卓也/クロスポイント吉祥寺)と同スタジアム・ライト級王座を藤原敏男氏以来の38年ぶりの奪取を果した梅野源治(PHOENIX)がトップを争うところでしょうか。更に那須川天心らが顔を揃える表彰ステージ上を想像してしまいます。来年はそんな形が少しでも実現に向かうような進展が見られたらと既存の団体や「KNOCK OUT興行運営」に期待したいものです。

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』