◆産経新聞「安倍日誌」の決定的情報

次々と安倍首相が「森友学園」不正払い下げに関与した疑いを補強する事実が明らかになってきているが、決定的な情報が明らかになった。全国紙は首相の動静を報じるが、2015年9月3日の安倍首相の動静を翌4日付産経新聞が実に緻密に報じていた。

産経新聞2015年9月04日付「安倍日誌」

2017年2月17日衆院・予算委員会

2017年2月17日衆院・予算委員会

2017年2月17日衆院・予算委員会

[以下同記事引用]
【午前】8時47分、公邸発。48分、官邸着。52分から9時33分、世耕弘成官房副長官。54分、官邸発。56分、国会着。57分、参院第43委員会室入る。10時、参院厚生労働委員会開会。
【午後】0時2分、参院厚労委休憩。同室出る。3分、国会発。6分、官邸着。2時2分から12分、内閣府の松山健士事務次官、黒羽亮輔賞勲局長。17分から27分、財務省の岡本薫明官房長、迫田英典理財局長。3時から21分、佐田玄一郎自民党道州制推進本部長。礒崎陽輔首相補佐官同席。22分から45分、斎木昭隆外務事務次官。4時1分から34分、伊原純一外務省アジア大洋州局長。37分から55分、二階俊博自民党総務会長らによる小笠原諸島の振興に関する申し入れ。5時4分から32分、北村滋内閣情報官。6時23分、官邸発。32分、東京・芝公園の東京プリンスホテル着。宴会場「サンフラワーホール」で自民党の政策グループ「きさらぎ会」の懇親会に出席し、あいさつ。7時19分、同所発。27分、公邸着。[引用了]

ご注目頂きたいのは「(午後2時)17分から27分、財務省の岡本薫明官房長、迫田英典理財局長」である。今話題沸騰の「森友学園」への不正売却疑惑を管轄しているのは近畿財務局だが、財務省はその上位官庁であり、しかも官房長、理財局長は極めて責務と権限の大きい役職である。

この日の動静には他にも多数の人物が登場するが、実は翌9月4日に安倍首相は国会開会中にもかかわらず、大阪へ出向いている。このことと併せ考えると、近畿財務局への指示や伝達の調整が首相と財務省の間で行われた可能性が疑われる。未だに近畿財務局が「非公開」としている森友学園への「借地」が始まったのは2015年だった。そして5日には森友学園の名誉校長に安倍昭恵夫人が就任している。この見事なまでの流れは偶然だろうか。

東京新聞2017年2月25日付

◆なぜ森友学園の売却額だけ「非公表」だったのか?

怪しい事実は更に明らかになってくる。2014年から2016年の間で財務省が国有地の売却額を非公表にしたのは693件の内、「森友学園」の1件だけであることが判明した。

以下は東京新聞(2017年2月25日付)の報道だ。

[以下同記事引用]
大阪府豊中市の国有地が学校法人「森友(もりとも)学園」(大阪市淀川区、籠池(かごいけ)泰典理事長)に評価額の14%の値段で売却された問題で、財務省が国有地の売却額を非公表にしたのは2014~16年度の693件のうち森友学園の事例1件だけだったことが分かった。政府は取引を透明化するために金額を原則公開しているが、異例の扱いをしていた。 

問題になっている国有地は、小学校用地として当初の評価額9億5600万円から8億円余りも安い1億3400万円で売却された。国有地の売却結果は、1999年の大蔵省(現財務省)の通達で原則公表することになっている。

近畿財務局(大阪府など二府四県を管轄)が実施した森友学園への売却は、適当な相手と考えられたり特殊な技術が必要な場合に行われる随意契約。財務省によると、近畿財務局は過去3年間に随意契約で国有地を36件売却したが、非公表は森友学園との取引一件だけだった。同時期に近畿財務局以外で行われた売却はすべて公表していた。

近畿財務局は非公表にした理由について昨年6月の契約の際、森友学園からの要請があったためとしている。財務省は「取引相手が公表に同意しない場合は公表していない」と説明している。

だが、この取引の不透明さが報道され、同財務局が今月(2月)10日に金額を公表した。一転して価格を公表したことについて財務省は「非公表のままだと、森友学園が国有地を不当に安く取得したという誤解を受けると判断し、公表に同意した」と話している。[引用了]

◆2015年9月名誉校長就任記念講演での安倍夫人が語ったこと

2015年9月5日付安倍昭恵氏Facebookより

さらに、安倍首相は「安倍晋三記念小学校」としての寄付集めを、「止めるように要請していた」と国会で答弁していたが、2015年9月に行われた「森友学園」名誉校長就任記念講演で安倍夫人は、

「こちらの教育方針は大変主人もすばらしいという風に思っていて、(学園理事長の籠池泰典)先生からは、安倍晋三記念小学校という名前にしたいという風に当初は言っていただいていたんですけれども、主人が、総理大臣というのはいつもいつもいいわけではなくて、時には、批判にさらされる時もある」

「もし名前をつけていただけるのであれば、総理大臣を辞めてからにしていただきたいということで……」

と語っていたことも明らかになった。

2017年2月17日衆院・予算委員会

◆パズルのピースは寸分たがいなく埋め込まれた……

全然断っていないじゃないか。「もし名前をつけていただけるのであれば、総理大臣を辞めてからにしていただきたいということで…」とは、断りではなく「総理大臣を辞めた後には『安倍晋三記念小学校』にしてね」と懇願していると理解するのが一般的な感覚だろう。

再度繰り返すが「この件に私や妻が関わっていたら私は、総理も国会議員も辞めます」と明言したのは安倍本人だ。ここまでの事実を前にどのように弁明するんだ。パズルのピースは寸分たがいなく「安倍は虚偽を述べている」事実を示している。もはや次のなる関心は安倍の辞任時期が何時かに移ったといっても急ぎ過ぎではあるまい。


◎[参考動画]2017年2月17日衆院・予算委員会

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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