12月2日に起きた、信じられないような事故。山梨県の中央自動車道の笹子(ささご)トンネルで天井のコンクリート板が崩落。9人が死亡、2人が怪我をした。
この事故を受けて4日、山梨県警は、トンネルを管理する中日本高速道路の本社(名古屋市)、八王子支社(東京都)や保守点検を担当する大月保全・サービスセンター(山梨県大月市)など計6カ所に家宅捜索に入り、資料を押収した。

このニュースを聞いて、「おやっ」と思った人々も多いのではないか。
笹子トンネルの事故も痛ましいが、フクシマの人々の暮らしを根こそぎ奪い、双葉病院の患者ら50名の命を奪い、今後、どのような健康被害を生み出すか分からない、福島第一原発事故を引き起こした、東京電力は、いまだに家宅捜索されていない。

なぜなのか。
東京地方検察庁に聞いてみると、「捜査はしているが、その内容は言えない」とのことだ。
しかし、東電を家宅捜索していないのは事実だ。
事故から1年9カ月が経とうとしている。
言うまでもなく、証拠を保全するために、家宅捜索はすみやかに行わなければ意味がない。
データ改竄を繰り返してきた、東電が相手なら、なおさらだろう。

なぜ、東電への家宅捜索が行われないのか。
原子力が国策であり、国家ぐるみの犯罪だからだ。
10月に来日した、ベラルーシの民間研究施設「ベルラド放射能安全研究所」のアレクセイ・ネステレンコ所長は言っている。
「日本は(避難区域の放射線量基準を)年間20ミリシーベルトとしていますが、これは国家による自国民に対する犯罪行為だと思います。20ミリシーベルトであれば国家にとって都合がいい。なぜなら、『20ミリシーベルトまでは安全』と言っておけば、対策をしなくて済むからです」

福島原発事故以前には、年間20ミリシーベルトというのは、特殊な放射線業務従事者が浴びていいとされる上限だった。
そこで、成長期の子供たちが住み続けていいわけがない。

3年前の「政権交代」。それは「店」の経営が、旦那から番頭に代わっただけだった。
旦那に戻したら、この国家犯罪は、より悪い方向で進むだろう。

(FY)