◎M-ONE 2017.1st
3月20日(月・祝)ディファ有明16:00~20:50
主催:(株)ウィラサクレック・フェアテックス / 認定:WPMF
この日行われたWPMF世界ライト級タイトルマッチは、チャンピオンのキャプテンケン・ナルパイ(タイ)が、昨年10月の岡山県倉敷市での翔センチャイジムを下した初防衛戦に続き、今回2度目の防衛に成功しました。安定した存在で「誰か勝てそうな日本人選手いませんかね」というタイ側の声もあります。
3ラウンドまでの採点を公開するシステムで、負けていることを意識した雷電は攻勢をかけるがキャプテンケンの牙城は崩れず、様子見から勝負を懸ける3ラウンド以降は膝蹴りも勢いが乗るタイ人選手特有の技術で試合運びの上手さが揺るぎませんでした。
若い鷹大のパンチと蹴りの多彩な攻勢で優勢に立つも、ベテランの経験値で山田は闘志衰えず要所要所狙って攻め返してきて大差は付かず、フェザー級に階級を上げた鷹大と、かつてはスーパーフェザー級でチャンピオン経験もある山田のパワーの差があったかもしれないが、それを感じさせない鷹大は蹴りで優るも圧勝できない内容に、挑戦者権は獲得しても「カッコ悪い内容で、フェザー級王座挑戦前にもう1試合挟みたい」という反省の発言。
土橋朋矢vs小嶋勇貴は手数多いが主導権奪うに至る決定打が少ない展開から小嶋の膝蹴りが目立ちはじめ判定で勝利を掴みスーパーフライ級王座挑戦権を獲得しました。
女子のベテラン、リトルタイガー(Little Tiger)は技で優るも、しぶとい代打のサーオマンコンにやり難さがあったか、倒せずも次第にヒットを上げていくベテランらしい判定勝利。2分制ながら5ラウンドまであれば更に圧勝を導いたであろう展開。
◆WPMF世界ライト級タイトルマッチ 5回戦
チャンピオン. キャプテンケン・ナルパイ(タイ/ 60.8kg)
VS
雷電HIROAKI(前・WPMF日本同級C/スクランブル渋谷/ 61.23kg)
勝者:キャプテンケン・ナルパイ / 3-0
(主審:ソンマイ / 副審 テーチャカリン50-48. ナルンチョン50-48. 北尻50-48)
◆WPMF日本フェザー級挑戦者決定戦3回戦
鷹大(前WPMF日本SB級C/WSR・F西川口/ 57.15kg)
VS
アトム山田(元・MA日本B級&SFe級C/武勇会/ 57.15kg)
勝者:鷹大 / 3-0
(主審:チャンデー / 副審:テーチャカリン30-29. ソンマイ29-28. 北尻29-28)
◆WPMF日本スーパーフライ級挑戦者決定戦3回戦
土橋朋矢(新宿レフティー/ 52.16kg)
VS
小嶋勇貴(仲ファイティング/ 52.16 kg)
勝者:小嶋勇貴 / 0-3
(主審:ナルンチョン / 副審:テーチャカリン28-29. ソンマイ28-29. チャンデー28-30)
◆WPMF女子日本ピン級3回戦(2分制)
WPMF&WMC世界ピン級チャンピオン.リトルタイガー(WSR・F三ノ輪/ 45.1kg)
VS
サーオマンコン・ポー・ラマイパカット(タイ/ 44.9kg)
勝者:リトルタイガー / 3-0
(主審:北尻俊介 / 副審:ナルンチョン30-28. ソンマイ30-28. チャンデー30-28)
◆55.0kg契約3回戦
WPMF日本バンタム級チャンピオン.隼也ウィラサクレック(WSR・F三ノ輪/ 54.65kg)
VS
ジャガペット・モー・ワッラーポン(タイ/ 55.0kg)
勝者:隼也ウィラサクレック / TKO 2R 1:26 / ノーカウントレフェリーストップ
(主審:テーチャカリン・チューワタナ)
◆スーパーフライ級3回戦
岩浪悠弥(JKIフライ級C/橋本/52.16kg)
VS
ニコームレック・トー・タワット(タイ)
勝者:ニコームレック・トー・タワット / 0-2
(主審:ソンマイ / 副審:ナルンチョン29-30. 北尻29-29. テーチャカリン28-29)
◆62.0kg契約3回戦
WPMF日本ライト級5位.津橋雅祥(エス/61.8kg)
VS
シリペック・ペッポートーン(タイ)
勝者:津橋雅祥 / 3-0
(主審:チャンデー / 副審:ソンマイ30-28. 北尻30-28. テーチャカリン30-29)
他、7試合は割愛しています。
◆取材戦記
タイでは国家イベントに起用されるWPMF世界戦ですが、日本では多くの団体タイトルに囲まれ、どうしても抜きん出る存在ではないのが現状です。すべての選手が目指している訳ではないこの“WPMF日本”の現状から、本来のムエタイ本家の力を発揮したいところでしょう。元々、日本支局が出来た2009年頃は活気があって将来性が期待できただけに惜しい気がします。
因みにタイ国ではWPMFの母体がタイ国ムエスポーツ協会(Professionalboxing Association of Thailand)であり、WPMF傘下のタイ国王座がこのPAT王座でもあるとされています。
またWBCムエタイにも同様の伸び悩みがあると考えられます。他にルンピニージャパンやWMCまであるムエタイ組織ですから、ただでさえ狭い日本のキックボクシング系競技人口の中、すべてが活気あるタイトルには成り得ません。
この日、出場予定でした2名の中国人選手と1名の日本人選手の欠場がありました。津橋雅祥選手と対戦予定でした末廣智明(大道塾)は練習中の負傷の為欠場。
隼也ウィラサクレック選手と対戦予定でしたLi Shuai(=リ・シュアイ/中国)とリトル・タイガー選手と対戦予定でしたWei RuYan(=ウェイ・ルヤン/中国)は「来日予定が直前になってビザが下りず来日不能となりました」というアナウンスでした。“直前になってビザが下りない”裏事情はわかりませんが、昨年9月のM-ONE興行でもあった,
日本で活躍するゴンナパー・ウィラサクレック選手がかなり強豪と知ると2日前になって「怖くて戦いたくない」といった中国人選手の、先々週テーマ記事に似たようなことだけは無いことを願いたいものです。末廣智明選手については確実に止むを得ない負傷欠場です。
今回のレフェリー5名=ソンマイ・ケーウセン、テーチャカリン・チューワタナ、ナルンチョン・ギャットニワット、チャンデー・ソー・パランタレー、北尻俊介。タイ人レフェリーは現役選手時代のリングネームを中心にしています。本名の場合もあります。昨年も言いましたが、公式アナウンスで“マット”や“ネー”といったニックネームはやめてもらいたいところです。
毎度、レフェリー名を明確に入れるのは、公正な競技たることを強調したい狙いのひとつである為で、入手できない場合もありますが、極力入れていくつもりです。
[撮影・文]堀田春樹
▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」