全国の暴力追放運動推進センターが、地域住民に代わって暴力団組事務所の立ち退き訴訟を起こせる制度が来年1月にスタートするのを前に、対応に悩んでいるという。
「住民のかわりに原告となるといっても暴追センターは社団法人か財団法人で、寄付金や賛助金で成り立っています。訴訟費用を捻出するにも限界があります」(警察関係者)
財政難から訴訟費用の捻出が難しいためだ。暴力団排除に取り組む住民らは「暴力団追放の切り札」と期待を高めるが、制度開始時に、訴訟を行うことができる「適格団体」の申請を行うセンターは少数にとどまるはずだ。

住民のかわりに、暴追センターが立ち退き訴訟の原告となれる。暴力団の嫌がらせを恐れて住民側が提訴できないケースがあることから、10月末施行の改正暴力団対策法に盛り込まれた。
来年1月30日から認定申請を受け付け、国家公安委が▽十分な組織力▽専門スタッフの有無▽安定した財政基盤――の3点を審査するという。

警察庁によると、過去5年間に住民らが起こした訴訟は全国で8件あり、暴力団関係者に刺されて負傷しながらも、2008年に鹿児島で住民訴訟を起こした住民もいる。
訴訟費用は最低でも1回300万円前後はかかるとされ、各センターは認定条件の「安定した財政基盤」づくりに苦慮している。

「警察から、あるいは自治体から予算を補助しないと難しいだろう。そもそも、なんのための暴力団追放センターかなのか。しっかり新政権で対応していただきたい」(住民)
暴力団対策法改正の意義が問われている案件である。

(鹿砦丸)