岡田逮捕を報じる8月6日付けロイター電子版

同じく朝日新聞8月7日朝刊

例年にない猛暑のさなか、今夏はいろいろなことが慌しく起きます。こちらも例年にないことです。特に『真実と暴力の隠蔽』出版以降、木下ちがや氏らとの座談会での同氏の発言問題、師岡康子弁護士メール問題、金明秀関西学院教授暴行・不正問題、M君リンチ事件控訴審、鹿砦社と対李信恵氏の訴訟……詳細はこれまでの本通信で報告していますので、ここでは省きます。

そうして、ここに来て、私、および鹿砦社にとって衝撃的なニュースが飛び込んできました。

13年前の2005年7月12日早朝、パチスロ・ゲーム機大手の旧「アルゼ」(現「ユニバーサルエンターテインメント」。UE社)の創業者(元)オーナーらによる、「名誉毀損」名目の刑事告訴で、神戸地検特別刑事部が鹿砦社本社、東京支社、松岡の自宅を一斉に急襲し大掛かりな家宅捜索を行い、私を逮捕したのです。以後私は192日間もの長期勾留、そして有罪判決、さらに民事訴訟でも600万円余りの損害賠償を下されました。突然のことでもあり、鹿砦社は壊滅的打撃を蒙りました。この年の4月、『紙の爆弾』を創刊したばかりで4号を出したばかりでした。

ちなみに『紙の爆弾』は、ただ一人残り踏ん張った中川志大によって維持され現在に至っています。中川が出版界で信用があるのは、逃げずにたった一人で踏ん張ったことによっています。仮に今後、『紙の爆弾』や鹿砦社に同様の弾圧が来ても、地獄に落され地獄を見た私たちは耐えれる自信があります。

松岡逮捕を報じる朝日新聞(大阪本社版)2005年7月12日付け朝刊

それまでに、鹿砦社はアルゼについて4冊の書籍を発行し、パチンコ・パチスロ・ゲーム機業界で話題になっていました。これは、ゲーム機大手SNKとアルゼの抗争で、当時SNK本社ビルの1~2階でパソコンショップを開いていて、アルゼによるSNKビルの差し押さえで閉店を余儀なくされた、鹿砦社の大株主A氏による情報提供によるものでした。詳しくは4冊の書籍をお読みください。

鹿砦社のアルゼ告発書籍

アルゼは当時、退職して間もない警視総監が顧問に就いたり、警察天下り企業として有名で、私が逮捕された時でもキャリアが雇われ社長で証人尋問にも出廷しました。もちろん、告訴人の岡田氏や女性元幹部も出廷し、私が「蛇蝎のような執拗さで」(女性元幹部の言)アルゼや彼らの名誉を毀損したということを白々と「証言」したのです。13年前の真夏の出来事が昨日のことのように想起され、思い出すだに涙が出ます。

今回の岡田氏の逮捕の詳細はまだ判りませんが、今後、起訴され有罪判決を受けるということにでもなれば(すでに起訴されていることもありえます)、フィリピン・マニラで進行中のカジノや、米国ラスベガスで取得しているカジノ機器製造・販売のライセンスは取り消しになる可能性もあります。特に米国のライセンスは厳格です。UE社の現幹部が一番懸念するのはこのことだろうと察せられます。

これまで、私たちも取材に協力したロイター通信や朝日新聞の報道でも一部明らかになっていますが、フィリピン・マニラでのカジノ開発では政府高官らへの賄賂が取り沙汰されてきました。FBIが動いたとの報道もありました。ロイターや朝日の報道はほぼ事実だと思われますが、うまく切り抜けてきました。

カジノ設置をめぐる不正を報じる朝日新聞2012年12月30日付け朝刊

このかん、岡田氏は香港に居を移し、フィリピン・マニラでのカジノ開発に専念していたと推察されますが、日本国内では水面下で、子飼いの幹部や実の子どもらによるクーデター計画が進行し、昨年の取締役会、株主総会で、みずからが設立し育てた会社から放逐されるに至っています。

ところで、「因果応報」という諺があります。人を嵌めた者は、いつか自分にはね返り、今度は人から嵌められる――古人はよく言ったものです。

岡田氏は、私や鹿砦社だけでなく、似たようなことをたびたび行っていたといわれます。岡田氏のUE社からの放逐、そして今回の逮捕劇にも蠢いた輩がいたものと思われます。

私の「名誉毀損」逮捕劇には岡田氏以外にも、驚くべき失脚劇がありました。「松岡の呪いか、鹿砦社の祟りか」と揶揄される所以ですが、2つの事例を挙げておきます。

2005年4月、大坪弘道検事が神戸地検特別刑事部長に赴任してきます。そして、最初にやった仕事が私の逮捕でした。その後、宝塚市長逮捕、神戸市議会の大物議員の逮捕と続き、大坪検事は大阪地検特捜部長に栄転しますが、厚労省郵便不正事件おいて証拠隠滅で現職の特捜部長が逮捕され失職するという前代未聞の事件に巻き込まれます。

大坪検事逮捕を報じる朝日新聞2010年10月2日付け朝刊

また、大坪特刑部長の下で主任検事として動き私に手錠を掛けた宮本健志検事(鹿砦社の地元甲子園出身!)は、私らの逮捕事件後、徳島地検次席検事に栄転したところ、深夜に泥酔し一般市民の車を破損させ検挙され(示談成立し立件されず)、戒告・降格処分を受けます。

宮本検事不祥事を報じる徳島新聞2008年3月26日付け朝刊

やれやれ〝立派な〟人たちに翻弄されました。幸いに心あるライターさんや取引先の方々のご支援で再興することができましたが、今は笑って当時のことを語ることができるようになりました。

岡田氏、および事件の今後の推移に注目したいと思います。

8月6日付けのUE社のメッセージ

『紙の爆弾』9月号