かつて鈴木宗男が辻元清美に「疑惑の総合商社」と呼ばれたことがある。ご両人ともに逮捕・拘留されたのだから、この手の泥仕合は国民にとっても国会にとっても「生産性」がないのは明らかだ。国会審議の邪魔になるのだからこそ、いますぐにも辞めて欲しい。ほかならぬ片山センセイのことである。
◎[参考動画]片山さつき疑惑:逢坂誠二・立憲11/21衆院・内閣委(article9 18/11/21公開)
◆裁判は始まったが、疑惑は増すばかりだ
片山さつき内閣府特命担当大臣(地方創生担当)が原告の名誉毀損裁判は、12月3日に初公判がひらかれた。原告が真面目に裁判をやるつもりなら、次々と明らかになってくる疑惑が活字化された件についても、訴状に補充してさらなる訴訟を提起しなければならない。
10月18日に「週刊文春」で国税100万円口利き疑惑に加えて、政治資金の収支報告書の訂正は40ヶ所以上、総額は500万円にのぼっているからだ。自身が支部長を務める自民党支部の使途不明金疑惑、および支部の南村元「私設秘書」名義物件への賃料支出。さらには著書の名前入り看板掲示、有料カレンダーの配布による公職選挙法違反の疑義と、疑惑は枚挙にいとまがない。
そしてここにきて、政治資金の私的流用疑惑まで持ち上がっているのだ。
◆政治資金の私的流用疑惑
すなわち「週刊文春」12月6日発売号によると、片山大臣の政治資金管理団体「山桜会」の収支報告書に「消耗品代」および「お土産用袋代」名目で3万円強の支出があるのだが、その領収書が「きぐるみアザラシバスボール」(入浴剤)10個、「開運だるま貯金箱」5個、「ヒアルロン酸ウェットティッシュ」など28パックだというのだ。およそ政治活動とは関係のない、私的な支出であるのは明白だ。政治資金を生活日用品の購入に充てているのだ。
あるいは、「お土産用袋代」名目ということは、後援会支援者や選挙民への「寄附行為」である可能性も否定できない。いずれにしても、税金と政治カンパからなる政治資金を、私的に流用していたのは疑いのないところだ。
そればかりではない。「週刊文春」が報じるところ、2014年から2015年にかけて不正経理の疑惑が浮上しているのだ。具体的にみていこう。片山大臣の政治団体「片山さつき後援会」から「自民党浜松支部」に支払われた6万円が、なぜか同支部の収入には記載がなく、「山桜会」に6万円の記載があるのだ。単なるミスではない証拠に、「後援会」と記載のある領収書が「山桜会」に130件550万円も計上されているのだ。
政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授の見解によれば、以下のとおりだ。
「収支報告書記載の根拠となっている領収書の宛先が別の政治団体というのは、政治資金規正法を遵守する気がないと言っていいでしょう。今回のケースは収支報告書の虚偽記載となります。仮に領収書がウソのものだった場合でも、提出すべき領収書を徴収できなかった不徴収ということになり、これも政治資金規正法違反の疑いがあります」
まもなくサラリーマン諸兄姉は、税金の年末調整の時期である。自営業者は確定申告の準備に入ることだろう。税金(歳費)と政治カンパで生活と政治活動をしている国務大臣がこの体たらくでは、納税を納める気になれないのではないか。
◆自民党、自分の事務所からも批判の嵐が
詳しくは発売中の週刊誌を読んでいただきたいが、本欄でも再三指摘してきたとおり、片山センセイの「上から目線」および「パワハラ」まがいの言動は酷いようだ。自民党の選挙では自分の「為書」が選挙事務所に貼ってないことに激昂したり、呼ばれてもいないイベントで自分をアピールする。
とりわけ現況の週刊誌報道では、選挙応援そのものが迷惑千番というものであろう。そして呆れた行状(秘書に「あんたは私の使用人だ!」=そうかも知れないが、その原資は税金なのに、ふつう言うか?)がここまで暴露されるのも、自業自得というものだ。ある意味では本気で自分のようなエリートは、何を言っても許されると思っているからだろう。次回公判は年明けの1月16日に行われる。
◎[参考動画]“未来の日本”スーパーシティ構想で方針まとまる(ANNnewsCH 18/11/26公開)
▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)