ジェネリック薬は、主剤が先発薬と生物学的同等性(血中濃度推移に統計学的な差がないこと)認められれば、認可されます。こうした、行政的な手続きより、本当に大切なのは、身体に対する作用が、同等なのか、そうでないかではないでしょうか?
前々回に書きましたが、薬とは、「体の中で起きたこれらの遺伝情報の発現に作用して、症状を抑えようというものです。高血圧を下げたり、前立腺癌の増殖を抑えたり、病気の状態に合わせて様々な働き」をするものです。遺伝情報の発現は、DNA→RNA→タンパク質という一方向の順に進みます。このRNAは、情報を伝えるという意味で、「伝令RNA」或いは「メッセンジャーRNA」(mRNA)と呼ばれています。この間に行われるのが「転写」と「翻訳」というプロセスで、最終的には、たんぱく質として体内で機能を発揮します。遺伝子情報の「転写」、「翻訳」が有効に進行すると、「薬が効く」ことになります。
ですから、薬の働きを調べるためには、遺伝情報の発現の過程を調べれば良いことになります。先ず、思いつくのが、翻訳されて作られたタンパク質を解析することだと思います。タンパク質について、ネットで検索してみますと、「20種類のアミノ酸から構成されており、その性質、例えば、水溶性であるとかないとかなど多様であるため、一つ一つのタンパク質の量とかを調べるのは極めて難しい」という、手間のかかることだと判りました。
次のターゲットとしては、mRNAです。これはDNAからの遺伝情報をタンパク質にするために、写し取られたものです。その情報は、ウラシル(U), アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)と呼ばれる4つの化学物質(塩基と呼ばれています)の並び方に中にあります。従って、その並び方(配列)を調べれば、遺伝情報としてどんな情報が伝えられているかが判ります。
こうしたU、A、C、Gの並び方解析は「RNAシークエンシング(配列解析)」と呼ばれています。ネット情報によりますと、RNA配列解析は、この10年で格段の進歩を遂げ、40億塩基の並び方を決めるのに、3-5万円できるようになったそうです。RNAは棒状なので、1本、2本と数えるのですが、約2,000万本のRNAの塩基配列を3-5万円で調べることができます。また、コンピューターの進歩により、40億本の塩基配列の解析でも、どのような遺伝子からどれだけ遺伝情報が発現しているかの解析は、数日でできるとのことです。
こうしたRNA配列解析は、細胞のがん化に関わる遺伝子の解析などに、最近、よく使われていることが判りました。そこで、私は、ジェネリック薬、遺伝子発現など、関係しそうな言葉で、色々検索したところYoutubeで、下記の動画を見つけることが出来ました。
◎[参考動画]遺伝子発現にみる先発薬と後発薬(安江博 2019/8/16公開)
この動画では、高脂血症治療薬である「シンバスタチン」と呼ばれる薬の先発薬とジェネリック薬を投与したとき、肝臓での遺伝子発現について調べています。私は、医学の難しい話はわかりませんが。でも、この実験によると「先発薬とジェネリック薬とでは、肝臓に与える影響が違う」ということが判明しています。肝臓に与える影響が、どのようなものなのか、また、どの程度なのか。本当は製薬会社がしっかり検証して、薬の副作用欄に記入するのが責任だと思うのですが……。
ジェネリック薬については、生物学同等性(血中濃度推移に統計学的な差がないこと)しか検査されていないわけですから、薬を飲んでいる側としては、不安になりますよね。ジェネリック薬のお陰で、また、別の病気になったのでは、薬の量が増えて、健康には決して良いとは言えないのでと思います。お金を節約して、命を削ることはやっぱりしたくないと思ってしまいました。
◎連載過去記事(カテゴリー・リンク)
赤木夏 遺伝子から万能細胞の世界へ ── 誰にでもわかる「ゲノム」の世界
http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=73
▼赤木 夏(あかぎ・なつ)[文とイラスト]
89歳の母を持つ地方在住の50代主婦。