1993年に起きた埼玉愛犬家連続殺人事件で、元夫の関根元とともに逮捕された風間博子。2009年に最高裁で死刑判決が確定している。
風間博子は殺人に関しては無実であり、死刑判決は不当であることを、筆者は『女性死刑囚』(鹿砦社)に記した。
筆者は風間博子の28歳の長女に会い、これまでの辛苦の道のりを聞いた。
その告白をまとめた記事、「獄中の父よ、母よ--28才長女の叫び『死刑囚両親の娘』に生まれて!」が、今発売中の『女性セブン』(小学館)2月20日号に載っている。

風間博子の逮捕の時に、長女は小学3年生。ペットショップで母と一緒にいた。
目の前で警察官に母親を連れ去られて、彼女の苦難は始まった。
親しくなった男性に親のことを打ち明けると、「人間、一度罪を犯したら直らない」と拒絶されるなどして、心を閉ざして生きてきた。
それも、両親ともに凶悪犯であると、信じてしまったからだ。

だが、介護の道で社会人になった頃から、彼女は母親の公判の記録などを調べ始める。
そして、共犯者である山崎永幸の法廷での証言に行き当たる。
「博子さんは無実だと思います」「人も殺していないのに、なんで死刑判決が出るの」
肉をサイコロのように切り刻み、骨を粉になるまで焼き尽くし、最大の証拠ともなる遺体を消滅させるという、凄惨な犯行。
警察と検察が頼りにしたのが山崎による供述であり、それによって関根と風間は逮捕された。
だが山崎は、風間に関しての自分の供述を、法廷の場で覆したのだ。

風間博子は現在、再審請求を行っている。その詳細は、『女性死刑囚』に記している。
立件された事件での被害者は、4人。最初の殺害で疑いを持った警察は、関根と風間が経営する「アフリカケンネル」の万吉犬舎などを監視していた。
その記録が、残された少ない証拠のうちの1つだ。
その記録は、風間の供述と一致している。そして彼女の供述を検証していけば、殺人に関する無実であることは明白なのだ。

関根は風間や彼女の連れ子に、ひどい暴力を振るい続けていた。
風間は、税金対策を理由として、関根と離婚し離れていこうとしていた。
それを繋ぎ止めようと関根は、風間を犯罪に巻き込んだ。
だから彼女には、アリバイがない。それどころか、欺かれて犯行の一部を担わされたり、犯行の現場に呼び寄せられたのだ。
DVの果てに風間は、死刑囚にまで、させられてしまった。

風間の長女は、母親の無実を信じ、帰ってくる日を待っている。
切なる彼女の叫びを聞いてほしい。

(深笛義也)