ネット・ポルノ依存が、10代に広がっているという。
東京では4年前、青少年保護育成条例の改訂で賛否の議論が沸騰したが、書店などにいくら規制をかけても、スマホで青少年がポルノ動画を見てしまう。
良識派でない私としても、これは困ったことだなと思う。
一方で、大学生で読書時間がゼロの者が4割という結果が、全国大学生活協同組合連合会の行った、「第49回学生生活実態調査」で出ている。
この2つは、関連しているのではないか。
私が中学生の頃、近所にポルノ映画館があり、たびたび鑑賞に行った。
もぎりのおばちゃんも気づいていたんだろうが、通してくれた。
だが、その頃のポルノ映画は、それほどの満足を与えてくれるものではなかった。
それで、手は小説に伸びるわけである。
まず手始めは、五木寛之である。『青春の門』『内灘夫人』などには実にエロチックな場面が出てくる。
そして野坂昭如。『エロ事師たち』には、究極のオナニーとは何か、ということまで書かれていて、中学生が得ておくべき知識が詰まっている。
倉橋由美子の『パルタイ』の、革命党に入党しようとする女子学生が、労働者階級を知るために、労働者に体を開くという刺激的なシチュエーションにも痺れた。
そしてやはり、大江健三郎である。
『性的人間』には、詩を書くために痴漢を行う少年や、乱交シーンなども出てくる。『個人的な体験』には、3Pやアナルファックもある。
もちろん官能小説にも向かった。
ポルノ映画でよかったのは団鬼六の原作によるものだったので、小説を手に取った。
宇能鴻一郎も読んだ。さすが芥川賞作家だけあって、人間描写が豊かであった。宇能鴻一郎が今年、『夢十夜』で純文学作家として復活したことも、嬉しいニュースだ。
ネット・ポルノにはまってしまうことで、エロスの真の愉楽を知らずに思春期を過ごしてしまうことは、まことにゆゆしきことである。
(深笛義也)