検索エンジンYahoo Japanには掲載された記事によるが、読者がコメントを書き込むことができる機能がある。わたしはこれまで、このような場所にコメントを書き込む行為は、みずからの発信行為に反するので控えてきた。
だけれども「東京五輪」や「原発」についてコメントしたら、どのような反応が返ってくるのか。そのことを試すために、あえていくつかの書き込みを試みた。そのスクリーンショットが以下の通りである。
やや見にくいので解説をすると、Yahoo Japanが掲載した記事の見出しとそれ対してわたしが書き込んだコメントを順番に並べた。返信とあるのはわたしのコメントに対しての返信の数で、わたしのコメントを肯定した数(「いいね」とも呼ばれるらしい)とわたしのコメントに対して否定的な方が意思表示した数が表示されている。
16日の本通信で「東京五輪に対する世論の変化」を体感的なものとしてだけ記した。けれども、わたしの体感は実態から大きく外れてはいなかったことが、数字で証明された(数字は4月16日、なおコメントはすでに消去した)。
ここに示したものは、わたしが書き込んだすべてのコメントではない。特徴的なものだけを抽出していることを、あらかじめ申し上げておく。それにしても総論「五輪開催反対」あるいは「聖火リレーのバカらしさ」をときに感情的に、別の記事には冷静に書き込んだコメントいずれにも、肯定の意を示して下さる方の数が圧倒的である。
わたし自身がもっとも驚いたのは、朝鮮民主主義人民共和国(以下「朝鮮」と記す)が、賢明にも「東京五輪」不参加を決めた記事へコメントへの肯定者数である。通常、朝鮮について記事を書くと、記事の内容にかかわらず、脊髄反応のように否定的な反応や批判が返ってくる。わたしはプロフィールにメールアドレスを明かしているので「非国民」といったメールが届くことも、珍しくはない。
しかし、極めて恣意的に小泉政権時代から植え付けられた「朝鮮アレルギー」をも凌駕して、「東京五輪開催反対」の世論は急激に形成されている。週末に行われる共同通信の世論調査は、かねてより政権与党に甘い設問で埋め尽くされ、政治以外の質問も回答には限られた選択肢しか用意さない。社会調査法の基礎を学んだ人に見せれば、まったく客観性を欠く恣意的な調査である。しかし、その恣意的な調査であっても「五輪反対」の割合が増すことはあれ、減ることはない。
それが、コロナ禍という不幸な理由であったにせよ、五輪の本質が暴かれ、広く認知された事実は注目に値するだろう。(つづく)
▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。