7月27日大阪高裁で李信恵が鹿砦社を名誉毀損による損害賠償請求、出版差し止め、で訴えた裁判の判決が言い渡された。鹿砦社には減額されたものの110万円の賠償が命じられたが、事実認定の各所には、これまでには見られなかった李信恵の責任を認定した文言がある。この判決をどう評価するのか。時節柄取材班のメンバーが集うことを避け、今回はオンラインで打ち合わせを行なった。

松岡 皆さんお疲れさまでした。すでに8月2日付けの「デジタル鹿砦社通信」で私個人の判決についての思いは表明しましたが、高裁判決について忌憚のないご意見を聞かせてください。

A  社長には怒られるかもしれませんけど、これ「実質勝訴」ですよ。

松岡 110万円の賠償は少ない額ではないですよ。それに本通信の記事削除も地裁判決が維持されたままなのにですか?

A  社長にもメンバーにも内緒にしてきましたけど、俺、法科大学院に籍おいてたことあるんですよ。

一同 え! 嘘やろ!

A  嘘じゃないです。そう言われると思って、昔の学生証準備してます。ほら、見えますか?

B  もうちょっとカメラに近づけてくれ。

一同 本当だ!

C  しかも、国立(「くにたち」ではなく「こくりつ」)やないか。

A  過去の話をしても意味ないですよね。でも、どこかであの経験が役に立つんじゃないか、とは思っていました。

松岡 Aさんが「実質勝訴」だという意味を話してください。

A  これは社長には感覚的には受け入れにくいと思うんです。その前提できてください。M君が5人を訴えた裁判での大阪地裁、大阪高裁判決は、俺みたいな法科大学院崩れが見ても穴だらけでした。あれは事実認定に無理がありすぎるし、簡単にいえば支離滅裂な判決でした。

D  それが、どない変わったんや。

A  まず思い出してください。今回の訴訟は李信恵が鹿砦社に対して、Twitterで散々汚い言葉を投げかけたところから始まっていますよね。で、あの裁判では鹿砦社は、李信恵に勝った。大阪地裁、大阪高裁で判決は確定した。完勝です。でも大阪地裁での裁判後半になって、李信恵は「反訴」したいと言い出し、裁判官は認めなかった。請求の趣旨が違うからこれは当たり前の判断ですよ。

 

リンチ事件(隠蔽)に暗躍した人々①李信恵と伊藤大介

B  おい、おまえ司法試験も受けてへんくせに、弁護士先生みたいな遠回し話すな! わかりやすうに言わんかい!

A  Bさん、気持ちは分かりますが、ここすごく重要なんです。もうちょっとだけ聞いてくださいよ。

C  B、黙ってきこうや。

A  李信恵は仕方なく、別訴(ほかの裁判)で鹿砦社を訴えてきた。「嘘書いてる」、「被害甚大」、「傷ついた」とね。

B  それはわかってるがな。

A  リモートって、怖くなくていいですね。顔合わせてたら睨まれたり、息吹きかけられたりするけど。

D  話を進めろよ、A。

 

リンチ事件(隠蔽)に暗躍した人々②有田芳生参議院議員と朴敏用

A  すいません。李信恵の請求には出版物の販売停止まで入っていました。つまりこれまで出した6冊の本のうち、提訴までに出版していた4冊の販売停止です。これは言論人として裁判所に持ち込む話ではない。いやしくも李信恵は「フリーライター」とか「フリージャーナリスト」とか自称してるんでしょ? 百歩譲ってどこかに誤った記事があっても、訂正記事掲載要求がいいところですよ。

D  李信恵はその気になれば書ける媒体を持っているわけだし、新聞記者はじめマスコミとのパイプもある。そういうことだな。

A  そうです。そもそも李信恵の主たる請求は不当であって、主たる請求は大阪地裁でも大阪高裁でも認められなかった。この事実は賠償額の裏に隠れて見えにくいんですけど、李信恵にとっては賠償金が主な目的ではなかったと思います。「リンチと無関係」判決の獲得こそが最大の目標だった。

松岡 ちょっと待ってください。それであれば、大阪地裁も大阪高裁も不当に高い賠償金を私たちに命じているじゃないですか。

A  すいません。いま固まっちゃって。もう一度社長お願いします。

松岡 これどうやって操作するの(社内のスタッフに聞く)、まったくこういうのは……だから嫌なんだよ!

A  あ、社長通じました。

松岡 失礼しました(汗)。

A  賠償金が不当に高いことは認めます。その背後にどんな思惑があるのか、俺なりに感じるところはありますが、不確かなことは言いません。でも、高裁の判決文を何度も読むとおかしいでしょ?

松岡 おかしいというと?

A  「本件傷害事件当日における被控訴人(李信恵)の言動自体は、社会通念上、被控訴人が日頃から人権尊重を標榜していながら、金(注:良平)によるM(注:被被害者M君)に対する暴行については、これを容認していたという道義的批判を免れない性質のものである。」

「被控訴人の本件傷害事件当日における言動は、暴行を受けているMをまのあたりにしながら、これを容認していたと評価されてもやむを得ないものであったから、法的な責任の有無にかかわらず、道義的見地から謝罪と補償を申し出ることがあっても不自然ではない。」

これは李信恵に「法的」かどうかはともかく「責任」がある、もっといえば「リンチに連座した」ことを明確に認定している文章です。これまでの一連の裁判では、とにかく李信恵を免責するのに、裁判所は腐心しているとしか思えない、おかしな判決が続きました。初めてですよ!「李信恵にリンチに関する責任がある」と判決文で明示されたのは。

B  たしかにその側面はあるわな。

D  ちょっと聞きたいんだけど、賠償額についてAはどう考えるの?

A  不当に高いですね。だって殴るけるされたM君への賠償額と同額なんですから。でもね。こんなこと言ったら法科大学院に籍置いていた俺が、自分の過去に唾吐きかけるようなことかもしれないけど、判決って必ずしも市民感覚じゃないんですよ。

D  知ってる。そんなこと。

リンチ事件(隠蔽)に暗躍した人々③神原元弁護士と師岡康子弁護士

 

リンチ事件(隠蔽)に暗躍した人々④金明秀(きむ みょんす)関西学院大学社会学部教授

A  しかも、この事件の背景には「ヘイトスピーチ対策法」立法に絡む政治の動きも関係していた、と俺は見ています。

B  ほんまか? お前の予断ちゃうんか。

D  いや、それはあるだろうな。

A  結論です。賠償命令は不当です。その他にも不当な部分はある。しかし。李信恵や神原弁護士、もっと言えばしばき隊が「死守」したかった「李信恵免責論」が司法により、打ち破られたことがでかい。これが俺の見立てです。

B  判決文って読みにくいのよ。あれもうちょっと教科書とは言わんけど、新聞程度にわかりやすい文章にならへんもんやろか。

C  あの、ええですか。

松岡 どうぞ。

C  僕は今回の判決には野田正彰先生の「鑑定書」、矢谷暢一郎先生の「意見書」が凄く力になったんちゃうか、思うんですよ。判決文で直接の言及はありませんけど。裁判官への「心証」の面でものすごい力になっていた思うんです。だから感謝です。

松岡 そうですね。お二人には無理をお願いして大変な作業をお願いしました。
Cさんが言う通り、判決の行間にお二人の情熱が反映されているのかもしれませんね。

 

リンチ事件(隠蔽)に暗躍した人々⑤北原みのり

D  たくさんのみなさんに助けていただきましたもんね。社長、最後に。俺は野田先生、矢谷先生とともに弁護団に加わって頂いた、元裁判官で大阪高裁にも勤められたことのある森野俊彦先生に、本当に感謝したいです。もちろんこれまでの訴訟を一貫して引き受けてくださっている大川伸郎先生にも。

松岡 やはり「敗北における勝利」ということでしょうか。

D  判断は判決文を読んだ方々で異なるでしょう。でもAが指摘した通り、これまで絶対といっていいほど動かせなかった、李信恵の責任が認定された。だからあちらさんは記者会見を開いたけど、記事にもならなかったわけでしょう。この複雑な事実の中に真実が見えてきたんじゃないですか。

松岡 なるほど。とにかく皆さんお疲れ様でした。コロナが流行っていますから気を付けてください。

A  社長。

松岡 なんですか。

A  きょう、俺、結構いいこと言ったでしょ。

松岡 まあそうですね。

A  「デジタル鹿砦社通信」のライターやらせてくれませんか。

松岡 考えておきます(憮然として)

A  (しまった、また出すぎたか)

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