ファッション雑誌「小悪魔ageha」を刊行していたインフォレストが、4月15日に事業停止、一部の雑誌はほかの出版社にコードを移籍して続けるものの、ほかの編集者たちや外注の編集プロダクションやライターたちは「取りはぐれる」結果となった。
キャバ嬢をターゲットに、ファッションのみならず、悩みごとや恋バナまで展開してきた「小悪魔ageha」は最盛期の08年には40万部も売上げ、春を謳歌した。だがインフォレストそのものは、英知出版から分かれたものの、投資会社に“買った買われた”で来た悲しい経緯があり、ついに投資家たちの投機先としかみなされず親会社の膨大な借金のために沈んでいった。悲しむべきは、まじめに制作をしてきた社員やスタッフだ。
外注のライターが言う。
「昨年の11月ごろから支払いが滞っていました。ビジネス本を書きましたが、なんと支払いが5万円ずつの分割になっていたのです。印刷屋も大手はみんな引いてしまいましたが、僕は再生を信じていました」
パズル雑誌や男性ファッション雑誌も堅調、書籍も「与沢翼物語-平成の肉食主義-」や「進撃の巨人の謎研究 THE OTHER SIDE 考」などが売れて、編集制作だけなら、黒字だったのだ。
「出版だけなら黒字でしたね。ただ、資本で入ってきたセブンシーズホールディングスの赤字をかなり引きずっていたのです。もちろん余計な投資を上層部がしたのも倒産の引き金になりましたがね」(同)
倒産直後、同社を尋ねてみたが、ビルのエレベータはすでに会社のフロアに止まらず、ロックされた状態だった。
「社長の泉は姿をくらませています。債権者は1000人をすでに突破していますよ。現状では任意整理という形ですが、誰かが破産申請したほうが、債権会議が開かれるし、一律に『ひとり何円』と端数まで債務整理が行われるので、話はわかりやすくなります。現状では、どう会社の残債を処理しているのか私たちにはわかりかねます」(数百万円も売りかけている編プロ)
やはり、編集実務を行う社員たちと、「投資会社」たちは相容れなかったのではないかと思う。倒産に至った詳細は、「紙の爆弾」7月号で詳しくレポートするようだ。興味のある人はぜひご一読を。
(ハイセーヤスダ)