当欄で既報の通り、広島の放送局・中国放送の元アナウンサー・煙石博さん(67)が銀行で他の客の置き忘れた現金6万6600円を盗んだ容疑で逮捕、起訴され、一貫して無実を訴えながら昨年11月に広島地裁で三芳純平裁判官から懲役1年・執行猶予3年の有罪判決を宣告された事件は冤罪だ。広島高裁の控訴審は5月27日に始まり、逆転無罪の希望を抱かせるスタートとなったが、法廷外でも次第に良い流れができてきた。というのも、煙石さんの支援団体「煙石博さんの無罪を勝ちとる会」が控訴審での“公正な裁判”を求め、1カ月前から始めた署名活動で、すでに1500筆超の署名が集まったというのだ。
同会は第一審で煙石さんが有罪判決を受けたあと、煙石さんの中高生時代の仲間を中心に発足。中心メンバーが弁護人と相談のうえ、「名誉回復につながる」「裁判官もそういう動きがあれば、気になるはず」などと助言され、4月に上記のような署名集めをスタートさせた。署名は世話人の11人が手分けして集めたそうだが、わずか1カ月で1546筆もの署名が集まった。判決公判の日時が決まったら、集まった署名は全部まとめて広島高裁の長官に提出する予定だが、今後もまだまだ集まりそうだという。
「7月8日の次回公判までにホームページもつくろうと準備しています。マスコミ報道では、逮捕当日のニュースや逮捕翌日の新聞記事以外の情報がほとんど伝わっていないので、こういうことでもして少しでも本当のことを広めたい」と世話人の男性。こういう法廷外での応援、追い風は煙石さんや弁護団にとっても力になるはずだ。
なお、煙石さんと弁護団が控訴審初公判後に開いた会見の模様を撮影した動画をYouTubeで公開したので、関心のある方はご覧頂きたい。文字や写真だけでは伝わらない映像ならでの空気感などにより、この事件が冤罪であることがより理解しやすくなるはずだ。
(片岡健)
★写真は、「煙石さんの無罪を勝ちとる会」が使用している署名用紙。