誰か通りすがりの人なのか、掲示してあるポスターの誤りを修正していた。
まず政府広報。

「消費税率の引き上げ分は、全額、社会保障の充実と安定化に使われます。」

この誤りを修正し、最後の「す。」を消して「ません。」と、正しく修正してあった。
税金を使って間違った文言のポスターを作製し、見た人に直してもらうまで気づかないのだから問題だ。

また、駅の雑誌売り場では、月刊誌『文芸春秋』の広告が貼られていたが、この見出しに、やはり誰か通りすがりのり人なのか、書き加えていた。

「あとから後悔したくない人へ」

この「あとから」に消し線を引いて「不要」と書き加えてある。
後から悔いることを「後悔」だから、語彙が重複している。

よくある間違いだが、言うのではなく書いて印刷するものに、これではボケである。文芸春秋は、他人の些細な間違いを指摘して悦に入るのが好きなはずだが、それでいてこれはみっともない。

うっかり書いてしまったとしても、それだけならともかく、印刷するまでの過程で気づかなかったのだろうか。
おそらく文芸春秋社は、ポスターを印刷と掲示した「あとから後悔」したことだろう。

(井上静)