政府の成長戦略の一つとして、プロ野球16球団拡張という提言が盛り込まれているという。以前から、想像の域を出ないにせよ球団拡張案は巷でも話題になったことがある。

不思議なことに、この意見が出る度必ず「不可能」「絶対無理」と反対意見の方が多い。巷に一体どれだけプロ野球関係者がいるのか気になるところだが、以前「プロ野球10球団化」を経営側が提示したぐらいだから、事実球団運営側は難しいと思っているのだろう。尚、メジャーリーグでは球団拡張によって、現在は30球団もある。ヤンキースのような名門はともかく、弱小チームは当然経営難が付きまとっており、売却のニュースも度々ある。

私はプロ野球の専門家ではないから、球団の懐事情は知らない。むしろ、日本での球団拡張は絶対無理という人に、各球団の収支とその内訳を教えてもらいたいぐらいだ。

球団拡張には、夢がある。地方に球団が新設されるというのは、その地方が盛り上がるというのは言うまでもないが、首都圏に集中しがちな球団を、もっと全国へ分散させてほしいというのもある。地方へ足を運んだ時にいつもと違う野球が観ることができる、というのは楽しみにもなる。その土地ならではのカラーが出るというのは面白いものだ。楽天誕生時は問題も多々あったが、今では楽天色が随分出せている。

球団の数が増えることで、同じ対戦カードばかりという長く硬直したマンネリを抜け出すことも出来る。今では交流戦もあり、セパの対戦も珍しくなくなってしまった。問題の多いクライマックスシリーズも、16球団になることで正常化できる可能性が出てくる。それこそメジャーのようにセリーグ・パリーグ東4球団西4球団となれば、対戦カードが増えるだけでなくリーグ優勝決定戦、日本シリーズといった流れも誰もが納得するかたちに収まりやすい。

新規球団と新規選手を増やすのでレベルは一時的に落ちるだろう。その分野球関係者の雇用を拡大することと、経済の活性化はついてくる。経済の活性化とは、常に儲かるということではない。金の流れが増えることで経済の回りがよくなるということだ。

そう考えれば悪くない話だと常々思っているのだが、あまり賛同者はいないようだ。現状維持では経済もプロ野球界も停滞するだけで、停滞は閉塞感を生む。むしろ不祥事の度に人気は下がる一方だ。運営が厳しい、と口をそろえる大企業が動かなければ、経済は停滞したままになる。アベノミクスという言葉もブームを過ぎたようなので、ここらで現状打破の一手を打ってほしいところだ。

(戸次義継)