「紙の爆弾」のレギュラー執筆陣のひとりであるジャーナリストの片岡亮氏が出演するニコニコ生放送の過激な芸能スクープ番組「芸能番リターンズ」の収録現場にお邪魔した。毎週月曜日の夜9時スタートで、番組は6月9日で3回目。自らカメラとパソコンを接続しての配信は慣れない機材と悪戦苦闘。開始時間に映像が届かなかったりするアクシデントはあったが、番組では芸能界をリアルタイムで追いかける現場の記者たちの肉声が聞けた。
出演者は業界では市川海老蔵の隠し子や加藤茶の再婚など、スクープを連発しているベテランの凄腕女性記者、松本佳子氏がその人脈を駆使して集めている。ジャーナリストの山田厚俊氏、フリー記者の安彦拓郎氏、週刊女性の新鋭記者・神谷明良氏ほか、ゲストでAKB48の元ボディガードが参加した。
神谷氏はジャニーズJrのメンバーが新宿2丁目で3万円で体を売っていたスクープを出したばかりだが、翌日発売の週刊誌取材の「現場の生々しい話」で、時東あみが下町のバーでアルバイトしていた取材時の事務所の反応や本人との会話を明かし、タレントの知られざる貧困事情を暴露。山田氏は、愛妻家で知られる漫才コンビ、TのN不倫ネタを実名で晒した(この時点でまだどこにも書かれていない)。また、片岡氏は、週刊誌に略奪愛疑惑をスクープされた「ニュースZERO」のキャスター山岸舞衣の同僚から聞いた素顔をかつてのセクハラ騒動と絡めて解説した。
興味深かったのはボディガードK氏が前回の放送で、AKB48総選挙の順位を言い当てていたことで「聞いていた通りだった。2012年以降から、順位は前もって決まっていたと思います」とコメンテイタ―ものけぞる「裏事情」を言ってのけた。
そして松本氏は、元AKBの前田敦子と歌舞伎役者の尾上松也の破局報道を全否定。まだどこにも出ていない衝撃の根拠を、日を追って取材した経緯をもって暴露した上で「センターじゃないと気がすまないあっちゃん」と、その交際の様子まで明かした。
さすがの取材力を見せつけたが、その松本氏はニコ生で番組を立ち上げた経緯について「取材経費を捻出するため」とした。
「最近は記者が仕事先からなかなか取材経費を出してもらいにくくなっていて、そういう状態を打ち破るために立ち上げました。地上波ではまず放映不可能な内容をどこまでギリギリ披露できるかがポイント。裏ネタが入れば惜しまずどんどん披露しますよ」
タブーを気にすることなく話す面々を見ていて2004年6月、休刊間際の「噂の眞相」で岡留安則編集長(当時)がポツリと言ったことを思い出した。
「この世に書けないことなんてないんだよ、聞いた話をそのまま書けばいいんだ。それが読者のための究極のサービスなんだ」
「芸能番リターンズ」には、そんな記者の原点を思い出させるものもあった。しがらみのほとんどない本欄でさえ「大人の事情」で名前を伏字にせざるを得ないような話をタレントの実名あげて語っているのだ。内容は間違いなく面白い。月額540円で見放題、雑誌ひとつ買う値段とあって業界人も凝視しそうだ。
(ハイセーヤスダ)
★写真は、出演者たち(第3回放送)