◆「なんじゃこりゃ?! あの湯崎さんがトップの組織でなんでこんなことに?!」
広島県が公式Twitterで広報した「働く女性応援よくばりハンドブック」を拝見した感想です。
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WEBでも読めます ⇒ https://pref.hiroshima.lg.jp/site/womanjob/ouen-handbook.html(広島県公式Twitterより)
女性が子どもを持ちながら、働くことを『よくばり』という印象を与えてしまうのではないでしょうか?
そもそも、登場人物のパパが「『私ばっかり家事と育児をしている』というけどこっちだって仕事で疲れているんだよね。夜泣きがうるさくても我慢しているし、多少は手伝っているんだから勘弁してほしいな」というのは、いつの時代の話でしょうか? そもそも子どもは二人が主体で育てるものでしょう?!「手伝う」ってなんですか?! 男性の意識も後退させてしまうものではないでしょうか?
◆「イクメン知事」から10年、広島県庁の惨状
わたくし・さとうしゅういちは、広島県庁マン時代、男女共同参画行政も担当させていただいたことがあります。
そして、わたしの県庁マン時代の末期の2009年には湯崎英彦現知事が初当選。湯崎さんは、2010年の妻の出産に際して、休暇をとり、お嬢さんの幼稚園からの迎えをするなどされて話題となりました。
当時は大阪府知事だった橋下徹さんは、当時隆盛を極めていた公務員バッシングの文脈で湯崎さんを攻撃。
広島県内でも「民間は厳しいのに知事はなにをさぼっている?!」というバッシングが年長者を中心に湯崎さんへ寄せられました。
これに対して、湯崎さんは「価値観を変えることが大事」と反論。筆者は湯崎さんの新自由主義については批判的でしたが、この点については評価していました。その後、筆者は河井案里さんと対決するために県庁を退職。それから10年。その筆者の湯崎さんへの評価の肯定的な部分をひっくり返すような事件がおきたのです。
◆バッシングに屈した湯崎さん がっかりです
広島県庁は、結果論ですが、10年前の橋下さんや年長者を中心とする皆様からの「男性が育児労働に従事することへのバッシング」に屈したといえるでしょう。男女共同参画行政担当だった県庁OBとして情けない思いで一杯です。
わたしは、「育児休暇」は「育児労働」に名前を変えるべきだ、というのが持論です。言い方を変えると、カネを稼いでくる「稼ぎ」と、育児や介護、近所付き合いなど「務め」は両方大事な労働であり、性別にとらわれずに、バランスをとりながら従事できるようにしていくのが望ましいと考えます。
湯崎さんが「価値観を変えることが大事」と10年余り前におっしゃったものですから、そういう方向へ改革するのかとおもいきや、橋下さんらに屈してしまった。こんなことなら、わたしは、2021年は4月の参院選広島再選挙よりは、11月の知事選挙でかつての上司である湯崎さんに挑むべきだったかという思いが脳裏をかすめなかったかといえば、うそになります。
◆妻側企業の女性支援にただのりする夫の勤務先企業という構図
そうはいっても、昔にくらべたら、随分と働く女性への支援策は充実したものです。しかし、問題は、それに、夫が勤務する企業がただのりしているというのが問題です。
どういうことか? 筆者は県庁を退職した今は、介護現場に勤務しています。筆者以外のほとんどが女性、という場合も多い。そのなかで、やはり、お子さんがいらっしゃる女性職員がたとえば、子どもが熱をだしたとか、制服の採寸につきあわないといけないとか、部活の応援でやすまないといけない、というのは日常茶飯事です。
そのために、子どもがいない女性、男性職員がカバーするというのはやむをえないことです。当該の女性職員を責める気はさらさらありません。
問題は、その女性職員の夫、そしてその勤務先企業です。たしかに、男性は家事が苦手な人はいまでも多いかもしれない。しかし、子どもを病院につれていく、制服の採寸につきあう、部活の応援にいく、なんて、別に料理や掃除ができない男性だってできることではありませんか?
いや、ふだん家事ができていないならなおのこと、「よし、こういうときこそ俺が」と自分から申し出るべきでしょう。勤務先もそうしやすい環境を整えるべき、というかむしろ上司が「お前、行ってこい」くらいいうべきところでしょう。わたしもときどき、ついつい「あそこの夫さんの勤務先企業、ええかげんにしろよ。」と心の中で吐き捨てたことがないといえば嘘になります。
こうした構図を解消するには、これ以上の「女性支援」ではなく「男性支援」が必要ではないか?そうでなければ、湯崎さんが率先して育児に従事した意味がありません。
「女性の権利向上の政策ではなく、経済界からの労働者不足の要望から出来た政策なのではないか?経営者や男性の意識改革がないのでは、女性の負担は減らないのでは?経営陣のトップや労働局のトップが実際に主夫業を実践してはどうか?」(広島市内の50代男性)との指摘はそのとおりです。
◆保育や介護の労働への評価を引き上げよう
今後とも、性別にとらわれずに、「稼ぎ」だけでなく育児労働など「務め」を果たせる社会にしようではありませんか?同時に、保育や介護などのサービスの充実は欠かせません。
東大・京大出たような高級官僚・政治家ら、男性のエライ人もまだまだ、結局は「育児、介護の価値などたいしたことはない」という価値観なのかもしれません。なら、自分でやってみるべきです。いや、「やっぱりきつそうだからやりたくない」というなら、それは大変だということです。きちんとした育児や介護への評価をすべきです。それと連動して保育士や介護職員の抜本的待遇改善をもとめます。岸田さんの3%アップではまだまだです。
筆者は、参院選2022へ向け、れいわ新選組のみなさまとともに、引き続き、育児や介護への評価の向上と従事する労働者の公務員化含む抜本的待遇改善をガツンと広島県民の皆様に訴えるものです。
▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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