昨年1月から始まった武田幸三氏が主催するCHALLENGERシリーズは今回で4回目。前日計量は武田幸三氏が会長を務めるYashioジムで16時から行われ、秤に乗って100グラム以内のオーバーは居たものの、アンダーウェアを脱いで再計量も時間を割くことなく全員パスしました。

過去、馬渡亮太とモトヤスックがメインイベントを務める中、元々治政館ジム所属していた麗也が復帰し、よりスターが揃い賑やかになりました。

その麗也JSKはセミファイナル出場、左フック一発でノックアウト勝利し、本日のMVP(武田幸三賞)を受賞。

今回のメインイベンター馬渡亮太はヒジ打ちで仕留める快勝。

モトヤスックはアンダーカードに回るも、技量で圧倒する大差判定勝利で治政館ジム勢は貫録を見せました。

ヨーユットのヒザ蹴りに合わせて、馬渡亮太のヒジ打ちヒット

◎Challenger.4 ~Beyond the limit~
1月9日(日)後楽園ホール17:30~21:05
主催:オフィス超合筋、Yashioジム / 認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

◆第10試合 メインイベント 57.5kg契約 5回戦

馬渡亮太(治政館/57.5kg)vsヨーユット・ウォーワンチャイ(タイ/57.25kg)
勝者:馬渡亮太 / KO 3R 1:07 / 3ノックダウン
主審:少白竜

馬渡亮太は昨年1月に王座決定戦で獲得したWMOインターナショナル・スーパーバンタム級チャンピオン。

初来日から12年以上経過するベテランのヨーユットは元・ルンピニー系バンタム級4位。
ムエタイテクニックで日本選手を翻弄してきたヨーユットも歳を重ね、出場も減ってきた中でもテクニックは健在。

馬渡にプレッシャーを掛けていくが、馬渡も慌てず冷静に様子見からチャンスを伺い第3ラウンド、ヒザ蹴りに来たヨーユットのアゴに左ヒジ打ちをカウンターしノックダウンを奪う。

ダメージを負ったヨーユットに、再度ヒジ打ちでノックダウンを奪うとヨーユットは足をフラつかせながらカウント内に体勢を取り戻すも、最後は馬渡が弱ったヨーユットをパンチ連打で倒し切った。

馬渡亮太が最初のノックダウンを奪い、ヨーユットが崩れ落ちる

◆第9試合 54.5kg契約 5回戦

麗也JSK(=高松麗也/元・日本フライ級C/治政館/54.45kg)
     VS
NJKFスーパーバンタム級チャンピオン.日下滉大(OGUNI/54.5kg)
勝者:麗也JSK / KO 4R 0:45 / テンカウント
主審:椎名利一

麗也は2017年6月にBeWellジム移籍後、タイ遠征や他イベント興行、また拳の怪我を経て復帰、治政館系列興行では約5年弱ぶり。

日下洸大は昨年NJKFで王座に就き上り調子の現在と、ややブランクがある麗也の攻防が難しい予想となったが、日下洸大が長身を活かすパンチと蹴りがリズムを作っていく。麗也はやや圧されながら冷静な様子見も、第4ラウンド序盤に日下洸大の蹴り終わりに合わせた麗也の左フックカウンターで日下洸大は吹っ飛ぶようにノックダウンし、立ち上がろうとするも踏ん張れない足元で、レフェリーに抱えられながらテンカウントを聞かされた。

麗也の右ストレートが日下洸大にヒット

麗也の左フックを喰らった日下洸大が崩れ落ちる

◆第8試合 57.5kg契約3回戦

JKAフェザー級チャンピオン.渡辺航己(JMN/57.4kg)
     VS
皆川裕哉(KICKBOX/57.5kg)
勝者:渡辺航己 / 判定3-0
主審:松田利彦
副審:椎名30-27. 桜井30-27. 少白竜30-27

接近気味のアグレッシブなパンチヒジ、蹴りが交錯。両者の倒しに行く危なっかしいスピーディーな打ち合いが続く中、渡辺航己のヒザ蹴りで皆川裕哉の手数をやや減らし、やや的確さで優ったか、渡辺がフルマーク勝利となったが、各ラウンドは僅差の攻防が続いた。

渡辺航己のバックヒジ打ちが皆川裕哉にヒット

打ち合う両者、渡辺航己の右ストレートがヒット

◆第7試合 68.0kg契約3回戦

JKAウェルター級チャンピオン.モトヤスック(治政館/67.8kg)
     VS
井原浩之(元・MA日本ミドル級C/ハーデスワークアウト/1984.3.21広島県出身/67.85kg)
勝者:モトヤスック / 判定3-0
主審:和田良覚
副審:椎名30-27. 松田30-27. 少白竜30-27

モトヤスックのスピード、パワーが終始上回った展開。第1ラウンドにモトヤスックの左フックで井原は腰を落としかけるも踏ん張り立て直すが、モトヤスックの勢いを止められない展開が続き、倒せなかったモトヤスックは残念そうな表情も採点は内容的にもフルマークで判定勝利。

モトヤスックが終始パワーとスピード、技の多彩さで圧倒

◆第6試合 ライト級3回戦

JKAライト級1位.睦雅(=ムガ/ビクトリー/61.05kg)
     VS
NJKFライト級4位.岩橋伸太郎(エス/60.8kg)
引分け 0-1
主審:桜井一秀
副審:椎名28-28. 松田28-28. 和田28-29

睦雅がパンチでやや優勢に進めながら第3ラウンドに岩崎伸太郎の左フックで、足が揃ってタイミング的にバランスを崩した感じではあったが、ノックダウンを喫してしまう逆転を許してしまい結果的に引分けとなった。

最終ラウンドで劣勢を巻き返した岩橋伸太郎が打ち合いに出る

◆第5試合 53.75kg契約3回戦

JKAバンタム級4位.義由亜JSK(=ヨシュア/治政館/53.2kg)
     VS
NKBバンタム級4位.佐藤勇士(拳心館/53.55kg)
勝者:義由亜JSK / KO 2R 2:52
主審:少白竜

ロープ際での縺れから崩しに入った義由亜に転ばされる中、ロープに足が引っ掛かって落下し、佐藤が後頭部を打ってしまいテンカウントを聞かされてしまった。

◆第4試合 女子ピン級(100LBS)3回戦(2分制)

女子(ミネルヴァ)ピン級6位.藤原乃愛(ROCK ON/44.9kg)
     VS
同級5位.撫子(GRABS/44.3kg)
引分け 1-0 (29-29. 29-29. 29-28)

いつものシャープな蹴りの切れ味が無い藤原乃愛。撫子が組み合ってのヒザ蹴りが藤原の持ち味を潰していくが、攻防は互角が続き引分けに終わる。

◆第3試合 バンタム級3回戦

樹(=イツキ/治政館/53.35kg)vs大崎草志(STRUGGLE/53.0kg)
勝者:樹 / 判定3-0 (29-27. 30-28. 29-28)

◆第2試合 ウェルター級3回戦

山内ユウ(ROCK ON/66.35kg)vs小林亜維二(新興ムエタイ/65.9kg)
勝者:山内ユウ / TKO 2R 2:09 / 2度目のノックダウンでレフェリーストップ

◆第1試合 62.0kg契約3回戦

古河拓実(KICK BOX/61.75kg)vs山西洋介(KIX/61.65kg)
勝者:古河拓実 / KO 2R 1:36 / 3ノックダウン

セレモニーにおいて武田幸三氏の挨拶、後輩にドスの利いた声で檄を飛ばす

《取材戦記》

今回も団体間交流に於いてはNJKFとNKBからの出場がありました。コロナ禍は続きますが、昨年秋から感染者数激減で規制は緩み、昨年12月12日から後楽園ホールでは観衆50パーセント以内の規制は一旦解除されています。

今回の興行ではコロナのオミクロン株拡大の影響があってか観衆は少ない状況でした。昭和のキックボクシング隆盛期には、正月松の内はタイトルマッチで盛り上がったもので、来年までにはコロナ禍を乗り越えて、次代の新春興行に相応しいビッグマッチを展開して欲しいところです。

セレモニーに於いて武田幸三氏が毎度、出場する後輩のモトヤスックや馬渡亮太に対し、脅すような叱咤激励も定着。昭和の厳しさ醸し出す存在に、観る側も気が引き締まります。

このところ興行パンフレットが無いジャパンキックボクシング協会興行。ポスターと対戦カードで両面印刷されたA4サイズのチラシが会場入り口に置かれていました。物足りなさは感じるものの、昔はパンフレットではなく4ページ程度のプログラムで無料配布でした。現在も他団体においてはパンフレットとして販売が多く、内容が充実していれば記念としてや観戦の友となりますが、手ぶらで来場された人や持っている鞄が小さい人などは対戦カードだけで充分かもしれません。

KIXジム所属の髙橋茂章(1989.12.21千葉県出身)選手がスキルス胃癌を患い、昨年暮れ12月29日に永眠され、今回の興行で冥福をお祈りする追悼テンカウントゴングが行われました。

「髙橋選手は昨年11月21日のKICK Insist.11に出場予定でしたが体調不良の為、欠場していました。」という発表で、亡くなる3ヶ月前は元気だった様子。こんな話は一般人においてもたまに聞くことがありますが、定期検査での早期発見は大事と痛感するところです。

次回のジャパンキックボクシング協会興行は3月20日(日)に新宿フェイスにて開催予定です(興行タイトルは未定)。

最終試合後の発表で麗也がMVPに決定、再びリングに呼ばれての受賞シーン

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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