みなさんお待たせいたしました! 新連載「阪神タイガースはどうなってるの?」をきょうから担当させていただく、取材班の伊藤です。私はキャリアの長い阪神タイガースファンですが、「阪神タイガースはどうなってるの?」では阪神ファン・アンチ阪神どちらの方にも興味を持ってもらえる企画を目指しています。

甲子園の歓声が聞こえる出版社は、全国広しといえども鹿砦社しかありません。選手や解説者、マスコミ関係者たちが通う飲食店も取材班はよーく知っています。立地を生かしてデイリースポーツでも知らないコアな情報をお伝えしてゆきます! 乞うご期待! そして、有名解説者も名前を伏せて登場を承諾いただいていますので、解説陣にもご注目を!

鹿砦社本社から眺める甲子園球場

◆予想されていた2022年阪神の苦戦

この、デジタル鹿砦社通信は社会問題などを中心に、硬派の記事が多いようです(日曜に掲載が多い堀田春樹さんの格闘技記事を除いて)ね。ロシアのウクライナ侵攻やコロナなど、「阪神タイガースのこと気にしてる場合か?」のお声も聞こえそうですが、とにかく阪神タイガースです!

今年の阪神、開幕から恐ろしいほどの連敗続きでした。4月24日の時点では4勝20敗1分。勝率が0.167、これが先発投手陣の防御率ならうれしいのですが、はっきり言って絶対的最下位でした。昨年ゲーム差なしの悔しい2位(あと1ゲーム勝っていたら優勝)からクライマックスシリーズでの敗戦で、風船がしぼんだ印象を受けたファンも多かったのではないでしょう。

そうなんです。2022年阪神の大不振の原因は昨年後半の戦いからすでに予想はされていました。

昨年FA権を取得した梅野捕手は、去就が注目されていました。というのも、盗塁阻止率リーグトップなのに、打撃の調子は落ちたとはいえ、後半の大事な試合で先発起用がなくなったのは、ファンならご存知でしょう。かわって坂本がマスクをかぶったわけです。

取材班の得た情報では、梅野が去年FA権を行使する可能性は五分五分でした。矢野監督は攻撃型の捕手よりも、守りに徹する捕手を重用するという情報は、関係者の間で有名でしたが、それにしても得点圏打率3割以上、盗塁阻止率セリーグ1位の梅野がFA宣言を控えた時期に、あえて先発を外す起用法には解説者からも疑問の声が上がりました。

甲子園のある西宮市で高校野球名門校出身の現タレント兼解説者は、「去年の後半ね矢野監督、なにを考えてるんやろうというのは正直思ったね。俺が梅ちゃんやったら出てるわな。だってあれだけ数字残して、日本代表にまで選ばれて、オリンピックで金メダルでしょ。優勝かかっている試合で先発外されたら『えっ?おれちゃうの?』やんか。球団の意向か矢野監督の判断かはわかんけど、(阪神を)出たほうがええって、テレビでもラジオでも俺は言うたしね。今年坂本キャプテンやんか。選手会長は大山で。役割がようわからへんねんけど、梅野がやる気を削がれるのはわかるよな。で、矢野監督は梅野と坂本併用を続けてるけど、この成績でしょ。わからんね。なにを考えているんか」

試合開催の日にはごった返す阪神甲子園駅(西口)

捕手は守りのかなめで、配球の主導権を握る存在だけに勝敗への関与も大きいポジションです。かつて阪神タイガースで監督を経験したこともあるO氏は言います。

「キャッチャーには打撃期待してなかったね。うんうん。キャッチャーと、セカンドショートは打たんでもええと。ねえ。守ってくれたらええと、俺は思っとった。まあね、城島とかトリ(鳥谷)とかね、打撃のいい選手は助かりますよ。けどね、基本クリンナップで得点するもんやんか。うんうん。だからね、今年の阪神はね、四番を決めるべきよ。うん。佐藤でええやん。俺やったら絶対そうするな。うん。それから四番の守備位置は固定せなあかんね。佐藤はサードでええやん。キャンプでも見たけど、佐藤のサードはうまいよ。ライトなんかやらせんでええねん。大山は打球処理が引っかかる(ファーストへの投球ミス)ときがあるからな。ファーストでええんよ。そないしたら近本センターで、糸井ライトで、もう一人外国人や調子のいい選手をライトに使えるやんか。それをなんで佐藤をね、2番に持ってきたり、ライト守らすか。わからんよね。」

先発メンバーの打撃成績は昨年に比しても決して数字が悪いわけではありません。でも、O氏が指摘された通り、敗戦続きのためか先発メンバーと打順が固定されず、浮足立っている感はたしかに否めません。

では攻撃面で現状をどう打開すればいいのでしょうか。やはり阪神タイガースで二軍監督の経験もあるK氏に伺いました。

「矢野監督のですね、シーズン前の引退宣言。あれはどうだったんだろうと思いますね。ええ、ええ。選手というのははっきり言いますが、試合に入ったら、コーチなんか見ていません。試合はじまったらサインは見ますが、見ているのは監督だけ。僕もそうでしたし。ええ、ええ。そのいわば大黒柱というか、中心の人が『俺今年でいなくなるよ』と。矢野監督はもちろん選手の奮起を期待して、考えに考え抜いて発言したんでしょう。でもですよ、じゃあ、あの発言を聞いた選手はどうなるかといえば、『今年は絶対落とせないぞ』と感じるのは当然でしょ? これは野球じゃなくてもそうだと思うんですが、僕に言わせると悪い意味でのプレッシャーがかかちゃった。まだ途中ですから、結論めいたことを言うのは早いにしても。いま阪神の選手は、矢野監督の『引退呪縛』といますか、あのプレッシャーから抜け出せていないですよ。矢野監督自身を含めて。ええ、ええ」

と、マイナス材料ばかりうかがった直後、阪神の反撃がはじまりました。5月1日時点では、これまで想像もできなかった破竹の6連勝で、10勝20敗分まで持ち直しています。さて、エース青柳がコロナから復帰して勝利が転がってくるようになったものの、この勢いは本物なのか、それとも開幕当初の不振が本当の姿なのか? 引き続き続報をお伝えしてゆきます。次回をお楽しみに!

甲子園駅を出たところにあるローソン。甲子園ではローソンも「甲子園色」に

▼伊藤太郎(いとう・たろう)
仮名のような名前ながら本名とのウワサ。何事も一流になれないものの、なにをやらしても合格点には達する恵まれた場当たり人生もまもなく50年。言語能力に長けており、数か国語と各地の方言を駆使する。趣味は昼寝。

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