大トリを務めた睦雅はKO勝利、内容を競い合った瀧澤博人はヒジ打ちで斬るTKO勝利。
タイトル戦では大地フォージャーが打ち合いに沈み王座陥落、政斗が念願の王座奪取。
皆川裕哉も右フック炸裂での完封TKO勝利で初戴冠。
西原茉生は王座の前で立ちはだかる則武知宏に鋭いパンチでKO勝利。
第1試合開始前に2023年の年間表彰式が行われ、活躍した6名の表彰が行われました。
優秀選手賞:睦雅(ビクトリー)
精鋭賞:内田雅之(KICKBOX)
協会特別賞:モトヤスック(治政館)
KO賞:大地フォージャー(誠真)
技能賞:西原茉生(治政館)
新人賞:勇成(formd)
◎KICK Insist18 / 3月24日(日)17:15(表彰式)~20:48
主催:VICTORY SPIRITS、ビクトリージム / 認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)
戦績はプログラムより、この日の結果を含んでいます(タイ選手を省きます)。
◆第11試合 63.0kg契約3回戦
ジャパンキック協会ライト級チャンピオン.睦雅(ビクトリー/ 62.9kg)
21戦15勝(9KO)4敗2分
VS
パランラック・フェロージム(元・MAX MUAYTHAI 61.5kg級覇者/タイ/ 61.7kg)約65戦
勝者:睦雅 / KO 2ラウンド40秒
主審:椎名利一
睦雅はチャンピオンになって早一年。昨年11月26日にはNJKFの健太にTKO勝利して成長著しい存在感を見せつけた。
初回、睦雅はパンチやローキックの手合わせから前蹴り、ヒザ蹴り加えて多彩に圧力を掛けて行く。第2ラウンドも同様に前進しながらKO狙ったパンチの距離で攻勢を維持し、ボディブロー連打でテンカウントを聞かせる危なげないノックアウト勝利を飾った。
睦雅は試合後、「次はビッグマッチを控えており、試合まで1ヶ月しかないので、怪我しないようにヒジで倒そうかなと思いましたが、ボディブローでいけると見て連打。最後のヒットは左でした。」と語った。
◆第10試合 57.5kg契約3回戦
WMOインターナショナル・フェザー級チャンピオン.瀧澤博人(ビクトリー/ 57.4kg)
39戦26勝(14KO)9敗4分
VS
コッチャサーン・フェロージム
(元・ルンピニー系スーパーバンタム級7位/タイ/ 56.9kg)約150戦超
勝者:瀧澤博人 / TKO 2ラウンド1分19秒
主審:勝本剛司
初回、瀧澤博人は距離をコントロールし、上下打ち分け、ローキック、ミドルキック、接近してヒジ打ちも繰り出し、積極的に前進。第2ラウンドには一瞬の隙を突いたヒジ打ちがヒット。コッチャサーンの額から鮮血が流れ、ドクターチェックで傷が深そうな様相が窺え、ドクター勧告を受け入れたレフェリーが試合をストップした。
7月のKICK Insist.19では世界と名の付くタイトルへの挑戦をアピール。大トリの睦雅とも試合内容で競い合うというメインイベントを盛り上げる要因ともなった。
◆第9試合 ジャパンキック協会ウェルター級タイトルマッチ 5回戦
選手権者初防衛戦.大地・フォージャー(誠真/ 66.678kg)20戦9勝(7KO)10敗1分
VS
同級2位.政斗(治政館/ 66.678kg)33戦18勝(5KO)12敗3分
勝者:政斗 / TKO 2ラウンド2分10秒
主審:西村洋
両者は2年前の3月20日に3回戦で対戦した際は、政斗が二度のノックダウンを奪って大差判定勝利しているが、終盤の大地が巻き返す踏ん張りも見られた展開だった。
今回は初回からパンチの激しい打ち合いとなる中、時折、政斗のタイミングいい左ジャブのヒットが目立つ。大地がスリップダウンした際もすでに効いている様子が窺え、大地は脚が揃ってしまう中、打ち合いを避けることなくパンチ勝負に出る。蹴りも加えた政斗のジャブから右ストレートで大地はノックダウンを喫する。立ち上がったところで1ラウンド終了。
第2ラウンドも流れは変わらず、逆転狙う大地もパンチで出るが、政斗の右ストレートでノックダウンを喫し、玉砕戦法で出る大地は再び政斗の右ストレートで倒されるとノーカウントのレフェリーストップとなった。
政斗は「僕、もうジャパンキックボクシング協会の顔なので、これからどんどん盛り上げていこうと思っています。パンチでも蹴りでもどちらでも倒せるように頑張っていきます!」とハキハキと応える元気なコメントだった。
大地は帰り際、周囲の仲間内では笑顔を見せつつ、涙が浮かんだ表情が印象的。無念さが滲み出ていた。「すみませんでした。今後のことは休んで考えます!」と語った。
◆第8試合 ジャパンキック協会フェザー級王座決定戦 5回戦
1位.櫓木淳平(ビクトリー/ 56.9kg)25戦11勝(3KO)11敗3分
VS
2位.皆川裕哉(KICK BOX/ 57.0kg)25戦13勝(2KO)10敗2分
勝者:皆川裕哉 / TKO 2ラウンド1分43秒
主審:少白竜
初回、両者、ローキックの様子見からパンチの距離となると皆川裕哉が攻勢に出る流れ。第2ラウンドも蹴りからパンチに繋ぐ流れは皆川裕哉のヒットが目立つ。更に皆川は櫓木淳平をロープ際に詰めた後、右フックを打ち抜くと崩れ落ちた櫓木。レフェリーは様子を見ながらカウント中のレフェリーストップとなった。
◆第7試合 ジャパンキック協会フライ級王座認定試合 5回戦
(西原茉生が勝利した場合のみ認定)
ジャパンキックボクシング協会フライ級1位.西原茉生(治政館/ 50.8kg)
13戦8勝(3KO)4敗1分
VS
NKBフライ級1位.則武知宏(テツ/ 50.65kg)20戦8勝(4KO)8敗4分
勝者:西原茉生 / KO 4ラウンド1分38秒
主審:中山宏美
初回、ローキックで様子見の両者。次第にミドルキックや接近してのパンチの交錯に移り、第2ラウンドにはタイミングで西原茉生の右ジャブで則武知宏がノックダウン。
則武知宏がやや巻き返しに出て来るが、第4ラウンドには、西原の右のパンチで則武が3度ノックダウンしたところで西原のノックアウト勝利となった。則武はノックダウンの度に立ち上がり、しぶとく喰らい付いて来る感じだったが、見えなかったという西原の右のパンチを躱し切ることは出来なかった。
◆第6試合 51.5kg契約3回戦
ジャパンキックボクシング協会フライ級2位.細田昇吾(ビクトリー/ 51.4kg)
20戦12勝(2KO)6敗2分
VS
モート・エイワスポーツジム(タイ/ 50.05kg)約180戦超
勝者:細田昇吾 / KO 2ラウンド56秒
主審:椎名利一
細田昇吾が先手を打つパンチとローキックで前進。モートはスロースターターで受け身の下がり気味。第2ラウンドに細田が右ローキックを蹴り込みと、モートがあっさり倒れ込んで立ち上がれずテンカウントを聞いてしまった。
◆第5試合 ウェルター級3回戦
ジャパンキックボクシング協会ウェルター級1位.正哉(誠真/ 66.4kg)10戦6勝(2KO)4敗
VS
同級3位.細見直生(KICK BOX/ 66.0kg)3戦3勝(1KO)
勝者:細見直生 / TKO 1ラウンド2分17秒
主審:勝本剛司
細見直生が正哉を上回る勢い有る蹴りとパンチで攻勢を保つ中、右フックが正哉のアゴにヒットさせ、ノックダウンを奪うと正哉は何とか立ち上がるも俯き気味でカウント中にレフェリーがストップした。
◆第4試合 ライト級3回戦
ジャパンキックボクシング協会ライト級4位.林瑞紀(治政館/ 61.1kg)
14戦7勝(1KO)6敗1分
VS
岡田彬宏(ラジャサクレック/ 61.0kg)8戦4勝(1KO)4敗
勝者:林瑞紀 / 判定3-0
主審:西村洋
副審:椎名29-28. 中山30-27. 勝本30-29
◆第3試合 53.0㎏契約3回戦
花澤一成(市原/ 53.0kg)7戦1勝(1KO)4敗2分
VS
徹平(ZERO/ 52.9kg)5戦3勝2敗
勝者:徹平 / 判定0-3
主審:少白竜 / 判定0-3
副審:椎名27-30. 西村27-30. 勝本27-30
◆第2試合 ライト級3回戦
菊地拓人(市原/ 60.9kg)3戦1勝2敗
VS
尾形春樹(チームタイガーホーク/ 60.9kg)1戦1敗
勝者:菊地拓人 / 判定2-0 (29-29. 30-29. 30-28)
◆第1試合 フェザー級3回戦
JOE(誠真/ 56.65kg)1戦1敗
VS
松岡優太(チームタイガーホーク/ 56.7kg)2戦1勝1分
勝者:松岡優太 / 判定0-3 (29-30. 28-30. 28-30)
《取材戦記》
KICKBOXジムの鴇稔之会長は「皆川裕哉もやっと目黒一門のチャンピオンに成りましたが、先代目黒ジム会長の名言どおり、防衛しないと真のチャンピオンとして認めて貰えないので、初防衛したら先代が認める真のチャンピオン認定ですね。」と語るとおり、皆川裕哉も「次の目標は防衛です。今日のこの嬉しさを誰にも渡したくないです!」とこの快感は誰にも味わわせない覚悟と、目黒ジムの掟、防衛してこそ真のチャンピオンを果たす意気込みを語った。
大地フォージャーは勿体無い戦い方だった。ジャブの付き合いは政斗が先に当てて主導権を握った。効いてしまいノックダウンした大地に「打ち合いを避けて第3ラウンドまでフットワーク使って休め!」と言いたくなる大ピンチ。「ドン臭い試合してでも初防衛はしておいた方がいい」とは前日計量時に声掛けたが、そんな5回戦を有効に使う戦い方を出来なかったものか。厳しい現実の中、また出直しである。
勝者で新チャンピオンと成った政斗は、2020年1月5日にモトヤスックと同門対決で初代王座決定戦を争い、ヒジ打ちにより敗れ去って以来の二度目の挑戦での戴冠。政斗にとっても意地があっただろう。ジャパンキックボクシング協会の顔としての自覚もすでにあり、こちらもまた戴冠の義務、初防衛を目指して貰いたい。
次回、ジャパンキックボクシング協会興行は5月19日(日)に市原臨海体育館に於いて市原ジム興行が行われます。昨年の興行タイトルはコロナ明けからの「Road to KING」今年はPart.2となるでしょう。
7月28日(日)は後楽園ホールに於いてビクトリージム興行「KICK Insist.19」が開催予定です。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」