タイトルマッチを控える仁琉丸は担架で運ばれる先行き不安なTKO負け。

その仁琉丸を倒した福岡を主戦場とする大雅は、圧倒の展開から飛びヒザ蹴りで仕留めるインパクトを残した。

前回、旗揚げ興行のトリ、広翔は希羅に攻め倦む判定負け。

新理事に平成の名チャンピオン、土屋ジョー、彩丘亜紗子、熊谷直子が加わる新体制が発表。

◎原点回帰・弐ノ陣 / 6月13日(木)後楽園ホール18:30~20:36
主催:全日本キックボクシング協会 /

(戦績はこの日の結果を含んでいます。出身地、生年月日はデータ不足により不詳です)

◆第8試合 フェザー級 5回戦

全日本スーパーフェザー級3位.仁琉丸(ウルブズスクワッド/56.75kg)
22戦12勝(8KO)10敗
        VS
KING OF STRIKERSフェザー級チャンピオン.大雅(=久保山大雅/MSJ/ 56.65kg)
9戦7勝(5KO)2敗
勝者:大雅 / TKO 1ラウンド2分2秒 / カウント中のレフェリーストップ。
主審:椎名利一

今回はメインイベンターとして富山からやって来た仁琉丸。過去には新日本キックボクシング協会での経歴が主であるが、今回は福岡で活躍する大雅に開始早々から攻められ防戦一方。一気に倒されてしまった。

大雅が圧倒の攻勢、仁琉丸は防戦一方となった

メインイベントが唯一の5回戦だったが、大雅がパンチから距離詰めての首相撲からヒザ蹴り、更にパンチで追い、仁琉丸に反撃のチャンスを与えない右ストレートでグラつかせ、飛びヒザ蹴りを浴びせてTKO勝利に導いた。

勝者の大雅は「チャンスと思ったので、たたみ掛ける感じで自分の戦い方に持って行けたので良かったです。」とコメント。

最後は大雅の飛びヒザ蹴りによる結末となった

福岡のKOSチャンピオンのインパクトが残った大雅、今後も出場が望まれる

◆第7試合 バンタム級3回戦

広翔(稲城/ 53.35 kg)2戦1勝1敗
        VS
希羅(MSJ/ 53.4kg)13戦7勝4敗2分
勝者:希羅 / 判定0-3
主審:和田良覚
副審:竜矢29-30. 勝本剛司28-29. 椎名28-29

広翔はまだ2戦目で、12戦のキャリアある希羅に対して攻めて出れなかったか。初回、パンチと蹴りの様子見から希羅の蹴りの前進で優位に立つも、詰めるパワーが足らず圧倒するには至らない。広翔の右ストレートもチャンスがあったが希羅のリズムを崩せず、僅差ながら希羅の判定勝利。

「希羅は右ミドルを蹴るのが遅いですよ。もっと速く蹴らないと。」という周囲の声もありました。

大雅と同じジム、同じ福岡からやって来た希羅は試合後、「しょぼい試合してしまいました。自分から行かなかったのが反省点です。」と語った。

希羅が上回る経験値でハイキックも効果的に勝利に導いた

圧倒する展開にはならなかったが飛びヒザ蹴りを見せた希羅

◆第6試合 59.0kg契約3回戦

白井嶺虎(バンゲリングベイ/ 58.75kg)5戦3勝2敗
        VS
祐輝(OU-BU/ 59.1→58.9kg)13戦7勝4敗2分
勝者:祐輝 / 判定0-3
主審:少白竜
副審:竜矢28-30. 和田28-29. 椎名28-29

蹴りから首相撲、時折バックハンドブローと圧力は祐輝にあり。白井嶺虎も劣勢には陥らぬよう前進するが、祐輝の主導権支配は変わらない。

祐輝再三のバックハンドブローはインパクトあるが、的確差に欠けクリーンヒットには至らない。

第3ラウンドは両者失速したが、出せる力は出し切って終了。

祐輝はバックハンドブローを多用しヒットは足りなかったがプレッシャーは与えた

経験値が優った祐輝が攻勢を維持して判定勝利

◆第5試合 スーパーライト級3回戦

勇生(=野竹勇生/ウルブズスクワッド/ 63.1kg)4戦3勝(2KO)1分
        VS
滝口遥輝(中島/ 62.8kg)2戦1敗1分
勝者:勇生 / KO 2ラウンド2分20秒
主審:勝本剛司

初回から様子見からすぐにでも倒しに行く姿勢の両者。パンチと蹴りの激しいぶつかり合いはノックアウトのムードが漂う。第2ラウンドには勇生が接近した際のボディーへヒザ蹴りやヒジ打ちで攻勢を維持すると、パンチで効いたか滝口遥輝が俯いたところへパンチからヒザ蹴りを打ち込みノックダウンを奪うと、そのままテンカウントが数えられた。

パンチと蹴りで効いて俯いてしまった滝口遥輝に襲い掛かる勇生

ヒザ蹴りでKOした勇生、今後に期待が掛かる

◆第4試合 ライト級3回戦

山田旬(アウルスポーツ/ 61.0kg)2戦2勝(1KO)
       VS
宮田裕基(MSJ/ 61.0kg)4戦4敗
勝者:山田旬 / TKO 1ラウンド1分7秒
主審:勝本竜矢       

パンチと蹴りの様子見から山田旬がパンチで追うと怯んだ宮田に左ストレートでノックダウンを奪い、更にパンチ連打で倒すとノーカウントのレフェリーストップとなった。

◆第3試合 56.0kg契約3回戦

中村健甚(稲城/ 55.75kg)2戦1敗1分
       VS
土谷哲星(バンゲリングベイ/ 55.85kg)3戦1勝2敗
勝者:土谷哲星 / 判定0-3 (29-30. 28-30. 28-30)

◆第2試合 フライ級3回戦

横尾空(稲城/ 49.9kg)1戦1勝
       VS
HIROKI(AKIRA-budo school/ 49.7kg)2戦1勝1敗
勝者:横尾空 / 判定3-0 (30-25. 30-26. 30-26)

◆第1試合 51.5kg契約3回戦

ペニコ(MONKEY MAGIC KBS/ 50.9kg)2戦2敗
        VS
小池空(1DEAL/ 51.15kg)1戦1勝
勝者:小池空 / 判定0-3 (28-30. 28-30. 28-30)

《取材戦記》

栗芝貴代表の興行総評は、「試合は前回同様に皆が一生懸命で良い試合多くて、ウチ(稲城ジム)の選手含めて協会側の選手が勝ってくれれば良かったんですけど、KOSチャンピオンの大雅選手含めて凄い熱い選手ばかりで興行が盛り上がって良かったです。」

仁琉丸については、「前回のフットワーク見ても凄く良かったから、先日の日曜日に富山のウルブズスクワッドジムまで行って練習風景を見て来たんですけど、仕上がりも良かったんですが、やっぱり勝負となると今日の結果は仕方無いですね。次回の9月6日は予定どおり、瀬川琉と仁琉丸でタイトルマッチやらせます。」と語った。

担架で運ばれた仁琉丸は控室ではしっかり立って会話しており、大きなダメージは避けられた模様。

石川県能登地方出身の勇生は2022年5月に高校生でアマチュア「KNOCK OUT」65kgトーナメントで優勝し、プロに移っているウルブズスクワッドジム所属の選手。出身地も富山県高岡市にあるジムも能登地震の影響も大きかったが、3月16日はNaokiに判定勝利。今回はノックアウト勝利で協会エース格への期待は大きいが、地元の期待を背負っても焦らず経験を積んで頂点を目指して欲しい。

今回の興行では、新体制となった理事が三名紹介されました。土屋ジョー氏、彩丘亜紗子氏、熊谷直子氏がリング上で御挨拶。久々のリング登場となった熊谷直子氏は「選手の皆さんが、このリングで最高に輝けるようにサポートしていきたいです。」と志を語られました。

新体制とはメンバーが入れ替わったことを意味し、パンフレットから消えている名前もありましたが、事情はさておき、原点回帰からプロスポーツとしての確立したキックボクシング競技を目指し、今後もブレずに進みます。

令和の全日本キックボクシング協会、次回プロ興行は9月6日(金)に後楽園ホールに於いて第三弾が開催。メインイベントに全日本スーパーフェザー級王座決定戦が行われます(令和の初代)。その前に同・協会アマチュア大会は7月14日(日)に稲城ジムにて行われます。

新理事に就任した土屋ジョー、彩丘亜紗子、熊谷直子の三名と栗芝貴代表

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」