立憲民主党代表選挙が9月23日、実施されます。

はっきり申し上げます。筆者は立憲民主党を全く好きになれません。とくに立憲民主党広島県連については、特に広島市政・県政においては新自由主義の湯崎英彦知事、媚米主義の松井一實市長に自民党の一部議員以上にすり寄っていることもあり、自民党より酷い面があると認識しています。

筆者は、
〈1〉立憲民主党が現在でも、旧民主党政権の反省をきちんとせず、無自覚に新自由主義的であること。
〈2〉立憲民主党のスターリン主義的体質
が立憲民主党代表選挙の争点としてきちんと議論されなければ、同党の未来は暗いし、政権交代も難しいと考えています。

◆公務員叩きに庶民増税 与党時代の「新自由主義」の総括は何処へ?

〈1〉の新自由主義体質については、「公約破り」の消費税増税とともに、2011年に発生した東日本大震災の復興財源を増税と公務員給料カットに求めてしまったのが決定的な誤りであると考えています。

復興は設備投資に近いものであり、税ではなく、それこそ事実上お金を刷って賄ってもよかったのです。

当時は「復興需要でドルを売って円に買うのでは?」という憶測から円高が進んでいたのです。もし、お金を刷るとすれば、アベノミクス期よりも、民主党政権後期のあのタイミングでした。

お金を刷ることと財政出動を併用し、過剰な円高を押さえれば、連合組合員たる輸出系大手企業労働者の離反もストップできたのではないでしょう。

また、公務員の皆さんも多くが自治労などの連合の組合員でした。大震災の復旧復興でてんてこ舞いなのに、給料をカットされたわけです。民主党や後継政党の立憲への不信感はかなりあるのではないか? このあたりも、実は、立憲が自民党に小選挙区において僅差で競り負けたり、都知事選挙でも、公務労働者が石丸伸二さんに流れたりする要因になったのではないでしょうか?

2012年当時はたしかに公務員叩きの維新(橋下徹さん)がウケていました。しかし、維新に行くような票を民主党が狙いに行っても維新とかち合うだけでした。

また、復興を名目に、さらなる介護労働者の処遇改善も見送られ、失望を招いたのも事実です。旧来の支持者=連合組合員たる大手企業正社員、公務員=を失った上に、新しい支持者=介護労働者などケア労働者=にも失望されたら勝てる選挙も勝てないのは当然です。

◆人を使い捨てにする立憲幹部独裁「スターリン主義」

 

8月31日に筆者の支持者らの前で講演される楾大樹先生

〈2〉については、あまりにもスターリン主義的な立憲幹部の態度が目に余ります。広島県内においては、筆者も立候補した参院選広島再選挙2021で以下のような問題点を感じています。

2020年段階で、権限のある旧立憲幹部が「檻の中のライオン」で有名な弁護士の楾大樹(はんどう・たいき)先生の著書をろくに読まないで公認候補者に内定していました。

2021年になると、合併後の立憲広島は、県内ではほぼ誰も知らない宮口治子さんを担ぎ出した。宮口さんは実は、立憲広島の事実上の最高権力者の森本しんじ参院議員の秘書の妻でした。そして、楾大樹先生のはしごを外した。

他方で、2021年1月末段階で推薦願を同党に打診していた筆者に対して、当時の立憲広島の幹事長(西区選出の県議)は「さとうしゅういち? メッセージもらっているけど無視しているから大丈夫だよ」と楾大樹先生を安心させる発言もしていたそうです。これらの経過については楾先生の『茶番選挙 仁義なき候補者選考』(あけび書房)に詳述されています。

 

楾大樹著『茶番選挙 仁義なき候補者選考』(あけび書房)

また、筆者は実はこの広島再選挙2021の告示直前に、「伊方原発廃止を含む原発ゼロを呑むなら降りていい」と宮口候補側に伝えました。しかし、電話をいただいた陣営の立憲県議から「宮口さんは具体的な政策が分かる人ではないから」というお言葉をいただいただけです。宮口さんが具体的な政策が分かっていないかどうかは本当のところはわかりません。しかし、立憲広島というのは政策がわからないと認識している人を担ぐということ。人を馬鹿にするというか、これこそ女性差別じゃないかと突っ込みたくなります。

また、ある立憲民主党員は「お前が立候補するなら縁を切る。俺の地域に二度と出入りするな」と脅しの電話を筆者に下さいました。その方の地域が選挙後ほどなくして大洪水に見舞われました。筆者は、その方の地域にボランティアに伺いましたがバツの悪そうな顔をされていました。こういう、自分たち以外を見下すスターリン主義は止められた方がいい。立憲幹部もきちんとそういう部分は党員を指導していくべきです。人間、いつお世話になるかわからないのだから。あまり下品なことはしないことです。

また、2021衆院選後、立憲広島は一回敗けただけの候補者、具体的には2区、3区、5区の候補者を各区の総支部長から事実上クビにしてしまいました。特に2区、3区の候補者は「市民連合」が一生懸命に応援したにも関わらず、です。

参院選広島再選挙2021でのあまりにも不透明な候補者選考過程。そして、衆院選後の候補者のあまりにも安易すぎる使い捨て。森本しんじ参院議員ら「エライ人」中心のいわば「スターリン主義」的な体質を改めないとアンチがどんどん増えるだけではないでしょうか?

具体的には、公開討論会や予備選挙を経た候補者選考の導入などです。よりオープンに。そして、納得感のある候補者選考。そして人を大事にする体質の構築が重要です。

◆ネオリベ知事・媚米市長に自民党以上にすり寄り

また、立憲民主党広島は、広島県政、市政での対応が酷すぎます。県政では維新も真っ青な米国民主党的新自由主義者の湯崎英彦知事を自民以上に持ち上げています。広島市政でも原爆を落としたことへの反省も謝罪もない米国政府のエマニュエル駐日大使にぺこぺこし、パールハーバーとの姉妹協定まで結んでしまった媚米主義の松井一實市長を自民党の一部議員以上に持ち上げています。正直、「自民党より、立憲がより少なく悪い」とも言えない状況が特に広島ではあります。もちろん、政党間の競争により、緊張感を持たせないと自民党もどんどん悪くなっていくのは事実です。だがいかんせん、立憲広島があまりも良くないのです。

こういうところを是正するためにはどうすればいいか。そういう議論をする代表選挙にしなければ、立憲民主党による政権交代は難しいでしょう。政権交代へ向けてどこと組むか、などという議論以前に、立憲民主党の体質そのものが問われるのです。

◆金権腐敗・自民 VS 権威主義・立憲という不毛な構図脱却を

筆者がこういうことを申し上げると、「自民党の方が酷いのだから自民党を批判しろ」と言われる方も立憲民主党のみならず、立憲民主党と共闘する日本共産党の支持者からも出てきます。だが「自民党の方が酷いのだから」といっても、立憲民主党が現状の新自由主義的・スターリン主義的権威主義的体質を引きずっていていいことにはなりません。このままだと

金権主義の自民 vs スターリン主義・権威主義・立憲
という不毛な選択を有権者が迫られるだけです。

また、広島県政・市政レベルだと立憲が自民以上に県民・市民に害悪な存在になっています。

日本共産党の皆様にも申し上げたい。立憲民主党が押し付けてきた候補者をほいほいと推薦し、同党を甘やかしてきた結果がいまではないのか?ということです。

日本共産党は日本共産党で、スターリン主義的な体質があり、志位和夫さん、田村智子さんらの気に入らない者はすぐに除名、除籍になる。そんな党だからこそ、強引に、立憲のいい加減な候補を推しても党内的にはまかり通ってしまったのでしょう。しかし、もう限界です。このままだと、空中分解もあり得るでしょう。

市民連合も市民連合です。今後は、立憲民主党への苦言をきちんとしていくべきだ。2021衆院選で政権を取れなかった以上、当然です。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。

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