NKJF祭として行われたKICK BOXING JAPAN CUP 1st ROUND 55kg級トーナメント、8名参加の初戦(準々決勝)4試合は与那覇壱世、森岡悠樹、古村光、前田大尊が準決勝へ進出。
◎NJKF CHALLENGER 5th / 11月10日(日)後楽園ホール17:20~21:43
主催:NJKF、(株)オフィス超合筋 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟
戦績はパンフレット参照にこの日の結果を加えていますが、一部省略しています。
◆第10試合 JAPAN CUP 55kg級トーナメント準々決勝3回戦
KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級チャンピオン.壱センチャイジム
(=与那覇壱世/センチャイ/ 54.85kg)39戦29勝(10KO)9敗1分
VS
NJKFバンタム級チャンピオン.嵐(KING/ 55.0kg)17戦12勝(6KO)3敗2分
勝者:壱センチャイジム / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:和田30-28. 多賀谷30-29. 秋谷29-28
開始早々は蹴り中心の牽制、嵐はローキックで前進する中、股間ローブローを受けて中断が認められて回復を待つと、壱世陣営のセンチャイ会長が激怒し「やれよ!」と抗議するシーンもあった。
壱世は様子見の間は下がり気味ではあったが再開後、前蹴りで嵐のアゴ狙って繰り出し前進を止め、嵐の出方を見極めると次第に蹴りで前進を強め、嵐がロープ際に詰められるシーンが増えていく。
第2ラウンド後半には壱世が主導権支配した流れで、蹴りもパンチも組み合っても壱世が優り、焦る嵐を上回った。試合終了すると嵐は負けを確信して蹲り、壱世は勝利を確信してロープに駆け上がって歓声に応えた。
◆第9試合 JAPAN CUP 55kg級トーナメント準々決勝3回戦
NJKFスーパーバンタム級チャンピオン.真琴(誠輪/55.65→55.65kg/計量失格、減点2)
15戦10勝(1KO)3敗2分
VS
スックワンキントーン・スーパーバンタム級チャンピオン.森岡悠樹(北流会君津/ 54.9kg)
26戦15勝(8KO)9敗2分
引分け 0-1 / (森岡悠樹が準決勝進出)
主審:和田良覚
副審:多賀谷27-28. 中山28-28. 秋谷28-28 (真琴に計量失格減点2含む)
初回、ローキックとパンチが中心の牽制の様子見。真琴が右ストレートヒットで主導権を奪った流れに移る。
第2ラウンドにはパンチで出て来る森岡悠樹に右ストレートヒットでノックダウンを奪った。調子付いて攻めの前進した真琴だったが、森岡悠樹の右ヒジ打ちが真琴の側頭部にヒットし、マットに膝を着いたがロープにも救われスリップ扱い。
森岡が更にヒジ打ちも含めた攻勢で巻き返したいところだったが、一進一退の攻防が続いて終了。
最終第3ラウンドについては三者三様だった。結果は引分けとなったが、真琴は計量失格の為、森岡悠樹が準決勝進出となった。
◆第8試合 JAPAN CUP 55kg級トーナメント準々決勝3回戦
古村光(FURUMURA/ 54.75kg)14戦9勝(7KO)4敗1分
VS
WMC日本スーパーバンタム級チャンピオン.佐野祐馬(創心會/ 54.35kg)
17戦9勝(3KO)8敗
勝者:古村光 / TKO 2ラウンド 1分47秒
主審:秋谷益朗
初回、ローキックで牽制の両者は古村光が徐々に優ると脚にダメージを負う佐野祐馬。首相撲とパンチで追う古村光は組んでからのヒザ蹴りでノックダウンを奪った。
第2ラウンドも古村光の攻勢は続き、ローキックでノックダウンを奪い、更にヒジ打ちで佐野祐馬の右瞼を斬り、コーナーに詰め、パンチからヒザ蹴りで攻めたところでレフェリーストップとなった。
◆第7試合 JAPAN CUP 55kg級トーナメント準々決勝3回戦
NJKFスーパーバンタム級1位.大田一航(新興ムエタイ/ 54.9kg)
VS
WBCムエタイ日本フェザー級4位.前田大尊(マイウェイ/ 54.85kg)
引分け 三者三様 (前田大尊に優勢支持、準決勝進出)
主審:多賀谷敏朗
副審:和田29-29(9-10). 宮沢29-30(9-10). 秋谷29-28(10-9) / 延長戦は1-2
両者は昨年7月23日に対戦し、前田大尊がノックダウンを奪って判定勝ちしている。今回も互角に進む展開で、軽いローキック中心の牽制から徐々に激しさが増して行く。
第1ラウンドはジャッジ三者とも前田大尊が取り、第2~3ラウンドは三者は揃わないながらもやや大田一航が優った。延長戦も1-2と分かれるほど差が出ない展開。どちらの戦略が優って勝利を導くか微妙な攻防の中、前田大尊の成長を見せた踏ん張りが印象的だった。
◆第6試合 64.0kg契約 3回戦
NJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凜汰朗(VERTEX/ 63.75kg)
27戦12勝(3KO)10敗5分
VS
サムランチャイ・エスジム(元・ルンピニー系スーパーバンタム級2位/タイ/ 63.5kg)
引分け 三者三様
主審:中山宏美
副審:児島29-29. 宮沢29-30. 少白竜30-29
吉田凛汰朗は相手の出方に合わせてローキックからパンチ、パワーと手数で前進し、サムランチャイをロープ際に下がらせる時間は増えていく。サムランチャイは徐々にスタミナ切れの様子で吉田のパンチでの攻勢が続くが、サムランチャイは返す技は上手く、第3ラウンドにはヒジ打ちで吉田の左眉尻辺りを斬った。アグレッシブな吉田の攻勢は目立ったが、ベテラン、サムランチャイを倒すには至らず、ヒジ打ちを喰らってしまうのは勿体無い展開だった。
◆第5試合 ウェルター級3回戦(PRO-KARATEDO達人ルール)
WBCムエタイ日本ウェルター級チャンピオン.青木洋輔(大和/ 67.7kg)
VS
掠橋SAVAGE秀太(PRO-KARATEDO連盟達人日本ウェルター級1位/理心塾/ 67.8kg)
無判定引分け
主審:ながいひろあき(正式名不明)
この試合はPRO-KARATEDO達人ルールでオープンフィンガーグローブ使用。投げ技、グラウンド状態での10秒間の打撃も有効。
初回、両者ともパンチからローキックの様子見から組み合うと投げ技で寝技に入る体勢。手数は出ているが、あまり激しい攻防とはならない。
第2ラウンドは組み合ってから崩しや投げからグラウンドが多くなるが、青木洋輔が蹴りとパンチヒザ蹴りと攻勢を強めていくと掠橋はスタミナも切れて劣勢に陥った。立ち技でもグラウンドでも青木が優っていく展開で終了。採点は付けない為、規定どおりの引分け。
◆第4試合 スーパーバンタム級3回戦
NJKFスーパーバンタム級3位繁那(R.S/ 55.3kg) 14戦11勝(6KO)1敗2分
VS
藤井昴(KING/ 54.95kg)4戦2勝(1KO)2分
引分け 三者三様
主審:児島真人
副審:多賀谷29-30. 少白竜30-29. 中山29-29
◆第3試合 フライ級3回戦
NJKFフライ級8位.愁斗(Bombo Freely/ 50.65kg)10戦5勝(3KO)3敗2分
VS
NJKFフライ級9位.永井雷智(VALLELY/ 52.35→52.2kg/計量失格、減点2)
6戦5勝(4KO)1分
勝者:永井雷智 / TKO 2ラウンド 2分37秒
主審:宮沢誠
◆第2試合 59.0kg契約3回戦
NJKFフェザー級10位.和斗(大和/ 58.75kg)8戦5勝(2KO)3敗
VS
Ryu(クローバー/ 58.9kg)6戦3勝(2KO)2敗1分
勝者:和斗 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:多賀谷30-26. 児島30-27. 宮沢30-28
◆第1試合 女子(ミネルヴァ)53.0kg契約3回戦(2分制)
ミネルヴァ・スーパーバンタム級1位.SHIORIN(GRATINESS/ 53.0kg)6戦4勝2分
VS
スックワンキントーン・スーパーフライ級チャンピオン.Mickey (Y’s Promotion/ 52.9kg)
10戦8勝(3KO)1敗1分
引分け 1-0 (29-29. 30-29. 29-29)
※アマチュアU15 EXPLOSIONルール2試合は割愛します。
予定カードにあったNJKFスーパーフェザー級王座決定戦は中止となりました。
《取材戦記》
試合翌日の「KNOCK OUTプロモーション」記者会見では12月30日、横浜武道館での「K.O CLIMAX 2024」に於いてのKICKBOXING JAPAN CUP 55kg級トーナメント準決勝の組み合わせが発表。壱・センチャイジムvs前田大尊、古村光vs森岡悠樹が決定しています。
正式イベント名は「KICK BOXING JAPAN CUP 1st ROUNDヒジあり、55kg最強決定トーナメント」です。
今回のNJKFは各試合インパクトを残しながらもプロ10試合中、6試合が引分け。大田一航vs前田大尊戦はNJKF坂上顕二代表に二度確認しましたが、公式記録は引分け、延長戦は上位進出を決めるもので、優勢ポイントを得た前田大尊が準決勝進出です。
ただ、リングアナウンサーによって「勝者、前田大尊」とコールされているので、前田大尊が勝利したと解釈しているファン、関係者は多いでしょう。そうアナウンスされているので仕方ないことです。これは事前に確認して運営関係者には徹底しておくべき項目だったでしょう。
この大田一航vs前田大尊戦の試合結果はNJKFホームページにおいても規定の3ラウンドまでの公式戦は引分けとなっています(11月21日現在)。
壱世はリング上でコメントし、放送インタビュー等もあったかと思いますが、何度も同じ振り返りさせては申し訳ないところ、「試合開始後は出鼻を挫かれたという感じですね。嵐くんがパンチコンビネーションで来ると見て、それに合わせてヒジ打ちとかパンチを準備していたんですけど、嵐くんが意外と小技で勝負して来たので、その作戦は出来なかったなあという印象です。」と語った。
それでも嵐の出方に合わせて上回る戦略を練って出たのは経験値から来るものだろう。
今回の興行について、坂上顕二代表は「他団体との交流戦のトーナメントで盛り上がったとは思います。反省点はいろいろありますけど、嵐くんの煽りの件もそうですし、総合系もルールを曖昧にやってしまったことも反省点ですね。」と語った。
リングに敷かれたキャンパスマットの下にはシュートボクシングから借りて来たというジョイントマットが敷かれていました。ジムでも使われること多いジョイントマットなので、「ジムと同じ感覚だ!」と言うウォーミングアップ中の選手もいました。後楽園ホールのリングとしてはいつもより軟らかいキャンパスで、青木洋輔vs掠橋SAVAGE秀太戦に合わせた対策でしたが、過激なルールながら激しさはあまり無かった試合でした。今後も取り入れられる訳ではない模様で。NJKF祭として開催される興行での試みではありました。
嵐はマッチメイクが決まる8月8日から壱センチャイジムを挑発していましたが(YouTubeの記者会見)、2月11日の甲斐元太郎戦でも同じように、挑発しながら試合は荒れることなくクリーンファイトを展開します。
年齢的にも気性が激しい血気盛んな年頃ですが、煽ったのは彼一人の仕業ではない。そして嵐ファンが、勝った壱センチャイジムに罵声を浴びせたり、前日のMuayThaiOpen興行では穏やかな対応をしていたセンチャイ会長が、嵐がローブローを受けてインターバルを取る試合中に感情的になり、観衆の前で怒鳴るのもやめておいた方が良かっただろう。
昭和50年代からキックボクシング界に関わる年配者が19歳の挑発に乗ってはいけない。そんな各陣営からファンを巻き込む悪循環が増して行きました。話題を振り撒いて煽って盛り上げても一時的なもので、競技を確立させるならスポーツマンシップに則った運営が必要でしょう。
NJKF年内興行、関西ではは12月1日(日)大阪市平野区の平野区民ホールで、13時より「NJKF 2024 west6th Young Fight 」が開催されます。
関東では12月8日(日)GENスポーツパレスに於いて18時より新人の登竜門「DUEL.32」が開催予定です。
2025年は2月にNJKF2025 1stが予定されています。おそらくCHALLENGERシリーズでしょう。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」