◆突然の強制排除、それも本格的な冬を迎える最中に……
釜ヶ崎のセンター周辺に野宿する人たちに、今日早朝から強制排除が始まってます。国と大阪府が野宿者に立ち退けという裁判を提訴し、1審の地裁、2審の高裁も原告の訴えを認めました。しかし、1審、2審とも「仮執行宣言」をつけませんでした。そして今年、5月最高裁は被告らの上告を棄却し、判決が決定していました。
今回は地裁が「○月○日までに立ち退くように」というお知らせを示して執行するか、突然執行するか、わからないという状態でした。しかし、すでにセンター閉鎖からずっとそこに居住していた人たちを、準備する時間も与えず、なんの予告もなくいきなり追い出すなんて、そんな理不尽なことをするだろうか……とも考えていました。しかし、それが現実のものとなりました。やはり維新のやることです。
私が駆けつけた午前9時にはセンター周辺が高いバリケードで覆われていました。排除された人たちに聞くと、作業は大量の作業員を動員し(もちろん税金で)、あっというまに終えたようです。
高いバリケードで囲った理由ですが、2019年の強制排除では、入口全てが閉鎖され現場に近づけなかったものの、中に残された人たちが暴力的に排除される様子が多くの人たちのSNSなどで拡散され、「維新はひでえことするなあ」と多くの人たちの怒りをかったからと思われます。
しかもこの間、インバウンドの客だけでなく、釜ヶ崎にくる若者がうんと増えています。そんな人たちに、本格的な冬を迎えようという今、野宿場所から叩き出すえげつない様子は絶対に見せたくないのでしょう。
そうです。大阪府知事、大阪市長はいずれも人気ガタ落ちの維新は、以前のようなヘタうちしないよう、高い高いバリケードで囲んで、中で行われる酷いことを隠そうとの魂胆です。
中にいた方のお話では、荷物は中に置いたままだそうです。執行にあたって配られた「お知らせ」によれば、荷物の保管場所は吹田市の旧ホテル阪急エキスポパークや柏原市の旧府立柏原東高校のようです。どないして、そんな遠くに行けるねん!どうやって荷物運ぶねん! 馬鹿にしてんのか。
◆「炊き出し」を妨害する西成警察!
センターでは365日、毎日11時と夕方5時に炊き出しが行われています。今日も11時に鍋を乗せたリヤカーが到着しました。それを警察が取り囲んで炊き出しを妨害しています。
警察「道路はだめだ」
稲垣さん「いつも道路においた釜合労(釜ヶ崎地域合同労組)のバスのとこでやってるやんか。通行人に迷惑かけんようにやってるやんか」
警察「だめだ」
稲垣さん「だったら、みんな、歩道でやろう。歩道へ荷物を下ろそう」
警察「それもだめだ」
のやりとりが延々と続きます。
いつも炊き出しに集まる人たちがどんどん来てます。私はさっき店に戻りご飯を準備してきたので店に戻り、おにぎりを作ってきました。稲垣さんに許可を得て、待っている人たちの食べてもらいます。「一個でごめんね」。
おにぎり一個じゃお腹はいっぱいになりません。そのうち労働者が力をあわせ、「どっこいしょ」と大きな鍋を歩道に移しました。手際よくお椀にたっぷりのご飯をもって、みんなに配ります。
「おーい、人通る道開けとけや」と声をかけながら、「おかわりいいかな?」とお椀を持ってくる人にはもう一度たっぷりと。なんの問題もなく、あっという間に炊き出しは終わり、チャチャチャと炊き出し道具は片付けられました。
今回の暴挙もふくめ、センター周辺から野宿者など「目ざわりな」人たちを追い出そうという大阪府・大阪市の維新政治の狙いは、来年の大阪万博のためにあります。大阪万博に反対し、野宿者排除を許さない闘いに引き続きご支援と注目を!!
【追記】私が店に戻っていたとき、炊き出しの鍋を歩道に移そうとした労働者が、西成警察に暴力的に妨害・排除されたようです。早朝から現場にかけつけてくれた「たぬき御膳さん」のXで確認してください。
▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58