原発は、地震や津波などの自然災害に脆弱で、現在科学技術で制御できる装置でないことを、発生後13年半を経た東電福島第一原発事故および本年元日の能登半島地震が、大きな犠牲の上に教えています。原発が、過酷事故を起こせば、人の生業(なりわい)を奪い、避難の苦汁を強い、関連死する方も多数におよびます。

巨大地震の発生が危惧される今、原発の早急な全廃が求められます。

それでも、自公政権は、 数を頼んで成立させた原発推進法(いわゆる「GX束ね法」)の実態化のために、「原発の最大限活用」を謳う第7次エネルギー基本計画の策定を進めています。

自公政権は、先の衆院選で大敗したものの、原発推進政党を抱きこむことによって、「原発推進」にさらに暴走する可能性は大です。とくに、労使協調の電力総連に依拠し、政権の行方にキャスティングボートを握る国民民主は、自公政権との「部分連合」を通して、原発推進を先導すると危惧されます。

しかし、彼らがいかに変貌し、何を願望しようとも、選挙の都合、政治的思惑、経済的利益で原発の老朽化を防ぐ技術、安全性を高める技術、使用済み核燃料の処理・処分技術が急に向上することはありません。彼らが原発推進に暴走すればするほど、原発過酷事故の確率は拡大します。許してはなりません。

一方、原発依存経営にのめり込む電力会社は、加圧水型原発だけでなく、沸騰水型原発である女川2号機を10月29日に再稼働させ、島根2号機の12月7日再稼働を画策しています。人の命と尊厳を蔑ろ(ないがしろ)にした「原発依存社会」への暴走です。

とくに、関電では、来年、稼働可能な原発7基の内の5基が運転開始後40年を超える老朽原発となります。すでに50年を迎えた高浜1号機およびもうすぐ50年超えの高浜2号機、美浜3号機は超老朽原発です。老朽原発では、圧力容器が脆化し、配管や送電ケーブルの損傷も進んでいます。

ところで、原発を運転すれば使用済み核燃料が発生します。その使用済み核燃料を保管するプールが満杯になれば原発を運転できなくなるため、電力会社や政府は、放射線量と発熱量が減少した使用済み核燃料を乾式貯蔵に移して、プールに空きを作ることに躍起です。しかし、使用済み核燃料の行き場として、原発推進勢力が稼働を願望していた青森県の再処理工場の完成は、8月23日、27回目の延期となり、使用済み核燃料は行き場を失いました。

今、世界は原発縮小、自然エネルギーへと向かっています。自然エネルギーは、燃料費がほぼゼロですから、コストが安いのは当然で、地球環境の保全にも有効です。国際情勢の影響を受け難い自前のエネルギーです。過酷事故に至ることもありません。

「目に見え、耳に聞こえる市民の行動」の高揚によって、人類の手におえず、行き場のない使用済み燃料を発生させる原発と決別し、自然エネルギーのみで成り立ち、人や環境が大切にされる社会を構築しましょう!

12.8「とめよう!原発依存社会への暴走関電包囲大集会」(添付チラシ参照)の成功を突破口に、原発全廃への大潮流を出現させ、自然エネルギーのみで成り立つ社会を展望しましょう! 皆様のご参加ご支援をお願いします。

12.8 とめよう!原発依存社会への暴走 関電包囲大集会

12.8 とめよう!原発依存社会への暴走 関電包囲大集会

▼木原壯林(きはら・そうりん)
老朽原発うごかすな! 実行委員会。1967年京都大学理学部化学科卒。理学博士。専門は分析化学、電気化学、溶液化学。熊本大学、京都工芸繊維大学名誉教授等を歴任。京都悠悠化学研究所主宰。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ(本文144ページ+巻頭カラー4ページ) 定価880円(税込み)
お陰様で10周年を迎えました!
《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫

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