DUELから駆け上がるチャンピオンへの道! 堀田春樹

計量は前日の昼12時よりVALLELYジムにて、カード変更はありましたが、出場者は体調万全で全員が計量をクリアーしました。

メインイベントと位置付けられた赤平大治vs大岩竜世戦は大岩が辛うじて勝利。
悠vs明夢も期待される中の勝利を導けない厚い壁。

女子としてのメイン位置、齋藤千種が祥子JSKを破り王座獲得。

◎DUEL.32 / 12月8日(日)GENスポーツパレス18:00~20:50
主催:VALLELYジム / 認定:NJKF

戦績はプログラムを参照し、この日の結果を加えています。

◆第11試合 56.5kg契約3回戦

NJKFフェザー級7位.赤平大治(VERTEX/ 56.3kg)8戦5勝(3KO)2敗1分
        VS
大岩竜世(KANALOA/ 56.4kg)6戦4勝2敗
勝者:大岩竜世 / 判定1-2
主審:マット(テーチャカリン・チューワタナ)
副審:松田29-30. 中山30-29. 多賀谷29-30

初回、両者のローキックとパンチ中心の牽制で様子見。赤平大治がパンチをややヒットすると、大岩竜世も返していく。第2ラウンドも両者、パンチと蹴りで激しくなるが怯まぬ前進で、どちらも主導権支配には至らない展開。第3ラウンドには首相撲も加わった攻防。多彩にアグレッシブな展開は続くが差は付き難く、ジャッジ三者揃ったラウンドは無い僅差だった。

リング上のコメントでは「僅差だったんですけど、勝つことが出来て良かったです。来年もっと勝ち進んで行って王者に近付けるよう頑張る年にします。」とマイクで語った。

リングを下りてから「本当僅差で勝ったとは思わんかったですけど、結果勝ちで次に繋がって良かったです。赤平選手はパンチで来ると思って警戒していたんですけど、やっぱり貰っちゃいました。蹴りで返した感じで、結果は勝てたんですけど反省しています。」と語り、リング上で語ったとおり、来年も勝ち進んで王座に迫ることを宣言した。

攻勢を導きたい両者、大岩竜世がローキックで攻める

パンチの見映え良かったのは赤平大治だが攻勢を維持出来ず

◆第10試合 フライ級3回戦

NJKFフライ級7位.悠(=吉仲悠/VALLELY/ 50.8kg)11戦4勝(2KO)5敗2分
        VS
NJKFフライ級10位.明夢(新興ムエタイ/ 50.45kg)13戦4勝(1KO)6敗3分
引分け 三者三様
主審:椎名利一
副審:松田29-29. マット30-29. 多賀谷29-30

パンチと蹴り、やや前進は悠。明夢も蹴り返し、一進一退の差が付かない攻防。第2ラウンドもパンチ、ローキックとアグレッシブな展開。明夢が悠をコーナーに追い詰め、ヒザ蹴りが効果的で、第3ラウンドも首相撲は明夢が攻勢も悠のパンチで前進も効果的。初回はジャッジ三者とも互角。第2ラウンドは2-1に分かれる採点、第3ラウンドには悠に付けるジャッジは一人。採点では難しい見極めだった様子。

明夢陣営坂上顕二会長は「作戦どおりだったんですけど、勝ったかなという印象もドローも仕方ないところですね。」という声。

悠陣営米田貴志会長は「前回勝ってる相手だったんですけど、悠の悪いところが出て、ちょっと躊躇したり、ブチ切れて行く気迫が足りなかったかな。相手を飲み込むような力強さがあれば勝てたでしょう。」と精神的な部分を語られました。

明夢のミドルキックが悠にヒットも怯まぬ攻防戦が続いた

明夢のミドルキックにパンチを合わせる悠

◆第9試合 女子ミネルヴァ・ピン級(100LBS)王座決定戦3回戦 (撫子王座返上による)

1位.斎藤千種(白山道場/1985.10.25新潟県出身/ 45.4→45.35kg)10戦6勝4敗
        VS
2位.祥子JSK(治政館/1983.12.3埼玉県出身/ 44.9 kg)28戦8勝19敗1分
勝者:斎藤千種(新チャンピオン) / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:松田30-28. マット30-29. 椎名30-28

蹴りとパンチの様子見からサウスポーの斎藤千種の左ストレートがヒット。斎藤千種が自分の距離を掴んだ流れで、祥子は蹴りたくても蹴れない、蹴ってもクリーンヒットし難い距離感があった。斎藤はこの自分の距離感で左ストレートを多発。しっかりダメージを与えるには至らずも、攻勢を維持して判定勝利。王座獲得となった。

敗れた祥子は「ちょっと距離感が遠かったですね。もっとガンガン来られると思っていたので、相手がパンチで来るところに蹴りを合わせる練習をして来たので、こっちが出るのを待ってる感じで警戒してたので、ちょっと駆引きし過ぎちゃったかなと思います」

距離の掴み方は斎藤千種の方が上手かった流れについて、「その辺が敗因という中でも手数で行かなきゃいけないのに、それが出来なかったという反省はありますね」と語られました。

全試合後のインタビューで、齋藤千種選手は見付けられずでした。

祥子が蹴れば齋藤千種のパンチが襲って来る

祥子の蹴りに合わせて齋藤千種の距離感掴んだ左ストレートヒット

ピン級王座獲得した齋藤千種、感動の言葉とファンへ感謝を述べる

◆第8試合 フライ級3回戦

NJKFフライ級8位.大久保貴宏(京都野口/ 50.8kg)6戦4勝2敗
        VS
渡部蕾(クロスポイント大泉/ 50.5kg)2戦2勝
勝者:渡部蕾 / 判定0-3
主審:多賀谷敏朗
副審:中山28-30. マット28-29. 椎名28-30

◆第7試合 スーパーバンタム級3回戦

古山和樹(エス/ 54.7kg)4戦2勝2敗
     VS
ミツル(AX/ 54.8kg)1戦1敗
勝者:古山和樹 / 判定2-0
主審:松田利彦
副審:中山29-28. 多賀谷29-29. 椎名29-28

◆第6試合 フェザー級3回戦

伊達(GRABS/ 56.35kg)2戦2勝(1KO)
      VS
山本龍平(拳粋会宮越道場/ 56.75kg)2戦2敗
勝者:伊達(赤コーナー) / TKO 3ラウンド 2分56秒
主審:マット(テーチャカリン・チューワタナ)

アグレッシブな攻防も伊達が圧し気味に主導権を支配。第3ラウンドには更にパンチとローキック中心に攻勢を強めてカウンターの左フックでノックダウンを奪うとレフェリーがノーカウントで試合をヅトップ。伊達がTKO勝利。

伊達がパンチでKOのタイミングを掴んで行く(KOシーンはレフェリーが被り)

◆第5試合 フライ級3回戦

植田琥斗(E.S.G/ 49.75kg)2戦1勝1敗
      VS
煌(KANALOA/ 50.65kg)3戦1勝(1KO)2敗
勝者:煌(青コーナー) / TKO 2ラウンド 2分16秒
主審:椎名利一

初回に煌の右ローキックで植田琥斗が軽いノックダウン。まだ動ける左脚ではあったが、すでに弱点を晒したか、徐々に攻められ第2ラウンドにも煌の右ローキックでノックダウンを喫した植田琥斗。明らかにダメージある左脚を狙われ、ローキックでノックダウンするとレフェリーがノーカウントで試合をストップした。

煌が初回からローキックで植田琥斗にダメージを与えて行きTKOに繋げた

◆第4試合 女子ミネルヴァ 45.0kg契約3回戦(2分制)

金子杏奈(ウエストスポーツ/ 44.5kg/代打) 友菜(Team ImmortaL)怪我により欠場
VS
港町なぎさ(ワイルドシーサー前橋元総社/ 43.15kg)1戦1勝
勝者:港町なぎさ / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:マット27-30. 椎名28-29. 松田29-30

◆第3試合 女子ミネルヴァ47.5kg契約3回戦(2分制)

KANA(Bombo Freely/ 46.65kg)2戦2勝
        VS
DJナックルハンマーyokko(team Almerrick/ 47.3kg)5戦5敗
勝者:KANA / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:マット30-26. 椎名30-26. 松田30-26

◆第2試合 女子ミネルヴァ56.0kg契約3回戦(2分制)

MIO LaReyna(TEAM REY DE REYES/ 55.7kg)5戦5敗
        VS
妃芽奈(ワイルドシーサー高崎/ 54.9kg)1戦1勝
勝者:妃芽奈 / 判定0-3
主審:多賀谷敏朗
副審:マット27-30. 椎名26-30. 中山27-30

◆第1試合 49.0kg契約3回戦

赤土剛琉(D-BLAZE/ 48.75kg)2戦2敗
       VS
庄司翔依斗(拳之会/ 47.0kg)1戦1勝
勝者:庄司翔依斗 / 判定0-3
主審:松田利彦
副審:多賀谷28-29. 椎名28-29. 中山28-29

赤土剛琉はややスロースターターか、攻めの勢いは庄司翔依斗。初回は庄司がリード。第2ラウンドは赤土が蹴りと組み合ってもやや優勢気味でリード。第3ラウンドには庄司もパンチと蹴りで巻き返して僅差で判定勝利。各ラウンド、ジャッジ三者とも揃っていた。

赤土剛琉と庄司翔依斗の攻防、圧して出た庄司がわずかに優った

《取材戦記》

元・全日本フライ級、バンタム級チャンピオン、赤土公彦さんの御子息、次男の剛琉くんがプロ2戦目を行ないました。デビュー戦は9月に別興行で行われている模様です。この日は手数で圧され判定負けでしたが、父親そっくりの風貌と攻めのスタイルも似たところがありました。タイで試合も重ねて経験を積んでおり、10月5日にはタイ国ラジャダムナンスタジアムで1ラウンドKO勝利し、現地戦績は3戦2勝(1KO)1敗。

この日相手の庄司翔依斗はアマチュア経験を経てのデビュー戦のようでしたが、剛琉にとってタイでの経験は自信を持ち過ぎると、帰国後の試合でのリズムが噛み合わなくなるパターンも多く、過去の名チャンピオンも陥るスランプだったりします。今後、壁を打ち破る浮上が期待されます。

赤土氏の御子息、長男は公亮。2023年3月26日プロデビューで国内3戦2勝1分。タイ現地試合は2戦1勝1敗。兄弟ともデビュー当時の目付き鋭い公彦父さんソックリである。過去、親子二代チャンピオンは何組か誕生しているが、向山鉄也前キングジム会長に続いて赤土公彦氏も狙っている快挙は実現に至るか。

庄司翔依斗はNJKFスーパーバンタム級6位、庄司理玖斗の弟で、こちらも兄弟でチャンピオンを目指す関西期待の星。キックボクシングに限らず、兄弟選手が多い時代です。

第1試合の話だけになってしまいましたが、メインイベント、セミファイナルの僅差の結果ながら、赤平大治、大岩竜世、悠、明夢らも2025年にどこまで駆け上がるか期待されます。

NJKFの2025年関東エリア本興行は現在、

2月2日(日)後楽園ホール、4月27日(日)後楽園ホール、5月11日(日)PITジム興行、

6月8日(日)後楽園ホール、9月28日(日)後楽園ホール、11月30日(日)後楽園ホールが予定されています。他、2月9日(日)DUEL興行、3月16日(日)女子ミネルヴァ興行

関西で3月16日(日)誠至会興行、4月20日(日)拳之会興行、7月20日(日)誠至会興行の興行予定が入っています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」