1月下旬になって語るテーマでもないですが、昭和の隆盛期と比べて、正月松の内のキックボクシング興行は殆ど行われないのが現状です。
キックボクサーは注目を浴びるトップ選手だけでなく、不器用でも全敗でも各々に面白い個性があります。戦う場が少ない(出場出来る興行が少ない)選手も居ますが、昨年目立った中から、今年も話題を生むであろう選手を幾名か独断で選びました。
◆今年もトップクラスで輝くエース格
デビューから順風満帆に勝ち続けられる選手は殆ど存在しませんが、今年も上昇気流に乗って活躍、仮に同等以上の相手に負けても第一線級から脱落することは無いだろうと考えられるクラスには、
・ムエタイ殿堂三階級制覇、吉成名高(エイワスポーツ)
・壱センチャイジム(=与那覇壱世/元・ルンピニージャパン・バンタム級Champ)
・ジャパンキックボクシング協会の代表的エース格、睦雅(=瀬戸睦雅/ビクトリー)
・ニュージャパンキックボクシング連盟の代表的エース格、大田拓真(新興ムエタイ)等が存在します。
若干低迷しているものの、巻き返しが期待される中では、
・大田拓真の実弟、王座から落ちてはいるが大田一航(新興ムエタイ)
・IBFムエタイ世界王座から落ちて以降、奪回が待たれる波賀宙也(立川KBA)
・WMO世界王座には撥ね返されるも再浮上狙う瀧澤博人(ビクトリー)
・壁を撥ね返して再びメインイベンターとなるかNJKFバンタム級チャンピオン.坂本嵐(キング)
◆諸々の話題性増すと見込まれる選手
チャンピオンロードを歩み出して間もない選手や、ランカー以下でもこれから飛躍が臨める選手では、
・皆川裕哉を倒して王座戴冠したJKAフェザー級チャンピオン.勇成(Formed)
・一昨年9月、畠山隼人(E.S.G)を倒して王座戴冠後、激しい試合で勝っても負けても存在感増すNJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凛太朗(VERTEX)
・王座認定され、これから実績積み重ね勝負のNJKFウェルター級チャンピオン.小林亜維二(新興ムエタイ)
・テツジムの新エース、12月に王座戴冠したNKBフェザー級チャンピオン.勇志(テツ)
・勇志の御勧めでテツジム期待の秘密兵器、NKBバンタム級ランク入り確実、雄希(テツ)
・一昨年の王座戴冠から初防衛も果たしたNKBフライ級チャンピオン.杉山空(HEAT)
・令和の全日本キックボクシング協会でデビュー戦から最終試合(メインイベント)出場、ぜひとも飛躍して欲しい存在、バンタム級の北川広翔(稲城)
・広翔同様に全日本キックボクシング協会を担う期待が掛かる野竹勇生(ウルブズスクワッド)
・古き時代の頑固一徹、渡邉ジムから現れた今時の新星、NKBバンタム級、4戦無敗の香村一吹(渡邉)
・国崇の後輩、関西で人気上昇中、NJKFスーパーバンタム級6位.庄司理玖斗(拳之会)
・与那覇壱世の後輩、センチャイジム期待の佐藤蒔音
・昨年は不振だったが、大化けしそうな存在感は大きいWMOインターナショナル・スーパーウェルター級チャンピオン.モトヤスック(=岡本基康/治政館)
・昨年3月に王座認定試合に勝利、今後もJKAメインイベンターの自覚持って戦うJKAフライ級チャンピオン.西原茉生(治政館)
・瀧澤博人、睦雅をピッタリ追うビクトリージム第3の男、JKAフライ級1位.細田昇吾
・高橋一眞に挑んだ二度挑戦の王座は敵わずも、次は豪腕で戴冠成るかNKBライト級1位.棚橋賢二郎(拳心館)
・2月22日に棚橋賢二郎と王座争うNKBライト級2位.蘭賀大介(ケーアクティブ)
・全日本キックボクシング協会を背負う責任重大のエース、スーパーフェザー級チャンピオン、瀬川琉(稲城)
・かつての名チャンピオン赤土公彦氏の御子息、まだまだ新人クラスも注目され期待値高い赤土公亮と剛琉の兄弟。
・小国ジム、かつての名チャンピオン佐藤友則、米田貴志の秘蔵っ子、吉仲悠(VALLELY)
・NKBライト3位.山本太一(ケーアクティブ)、“れいわ”の山本太郎氏並みに、耳に残る響きと、地道な努力に大器晩成型の期待感高まる存在。
◆ベテランの存在感
ピーク過ぎても老獪なテクニックで燃え尽きていない選手たち。メインイベンターから新人まで幅広い対戦相手と戦う元・チャンピオンが多い中、
・石川直樹(元・日本フライ級Champ/KickFul)
・国崇(=藤原国崇/元・WBCムエタイ日本スーパーバンタム級Champ/拳之会)
・片島聡志(元・WPMF世界スーパーフライ級Champ/KickLife)
・健太(=山田健太/元・WBCムエタイ日本ウェルター級Champ/E.S.G)
・藤原あらし(元・WPMF世界スーパーバンタム級Champ/バンゲリングベイ)
・オーシャン・ウジハラ(=氏原文男/元・WBCムエタイ日本フェザー級Champ)等
が若い選手の壁となって立ちはだかります。
◆生き残りを懸ける選手
第一線級を維持出来なければ引退という瀬戸際ながら、踏ん張る選手たち。
「お前、もう辞めろ!」と会長や身内から言われることはあっても、ルール的に引退勧告を受けることは無いキックボクシング界では、王座陥落や格下に連敗しても、自身のやる気次第で歳取っても、引退してもまた再起する選手も居るものです。
プロボクシング大手のジムとなると「試合の次の日、ジムに行ったら自分のロッカーが撤去されていた」という実例もあり、負ければ捨てられる厳しい世界でもある中、捨てる神あれば拾う神ありのキックボクシングは再起の道が広く開かれている業界でもあります。
そのキックボクシング界、まだ諦めてはいないという選手では、
・勝次(=高橋勝治/元・WKBA世界スーパーライト級Champ/TEPPEN)は連敗してもリベンジ精神満々でどのような完全燃焼へ進むかが見もの。
・JKAウェルター級1位.大地フォージャー(=山本大地/誠真)、政斗(治政館)に倒され初防衛成らなかったが出直しは可能、去就に注目。
・JKAフェザー級1位.皆川裕哉(KICK BOX)も初防衛成らなかったが、再浮上の期待が掛かります。
・日本フェザー級1位.木下竜輔(伊原)、現在の新日本キックボクシング協会を牽引するエース格と期待されながらジョニー・オリベイラに敗れ王座に就けずも、このままで終わるつもりは無いと闘志を燃やしています。
以上は私目線で2024年に見てきた選手たちで、今年も勝敗だけでなく、今後の試合レポートに登場することが考えられる、記録より記憶に残る話題を振り撒きそうな選手たちでした。
まだ注目株は大勢居ます。更に私が取材に行っていない大手イベントに登場する選手、去就が不明な選手も大勢居ますが、紹介しきれていないところは御容赦ください。
選手実績にはチャンピオンの肩書きが多いキックボクシング界です。それぞれはプロモーター主体の任意団体の王座で今後、国レベルのチャンピオンに成れるか、更なる上のメジャー競技に進むかも視野に入れて頑張って貰いたい2025年です。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」