ああ無情!「仁義なき候補者選考」で立憲民主党の宮口参院議員が離党に追い込まれる さとうしゅういち

◆宮口議員、立憲から事実上「お払い箱」

筆者が立候補した2021年4月執行の参院選広島再選挙(河井案里さんの当選無効に伴う)で当選した立憲民主党の宮口治子参院議員が2025年1月20日、離党届を提出しました。ご本人の記者会見などによると立憲民主党に「残っても居場所がない」状態だったということです。

2021年参院選広島再選挙では、立憲民主党は2020年の段階で『檻の中のライオン』で有名な弁護士の楾大樹(はんどう たいき)先生を候補者として内定していました。ところが、同年秋に立憲民主党が旧国民民主党と合併し、森本しんじ参院議員が合流したことで雲行きが怪しくなります。

結局、森本しんじ参院議員の秘書・福田玄さん(2025年衆院選において、国民民主党から立候補し、比例中国ブロックで当選)の妻の宮口治子さんに候補者は差し替えられ、楾大樹先生ははしごを外されることになります。

楾先生がはしごを外された経過については、楾先生の著書『茶番選挙 仁義なき候補者選考』(あけび書房)をご参照ください。

さて、宮口さんは、立憲民主党や国民民主党、共産党などの推薦・支援も得て、自民党の公認候補や筆者らを破って見事に当選されます。だが、広島県選挙区は改選数は2。立憲民主党で2025年参院選改選分の議席を独占することになります。

このままでは、立憲民主党の票が割れれば、共倒れの危険もある。そう判断した同党は2024年12月、宮口議員を下ろして、森本しんじ参院議員に候補を一本化することになりました。宮口議員の今後の処遇については、県連がなんとかする、はずでした。

しかし、宮口議員が記者会見したところでは「代案はなかった」ということで、立憲民主党に残っても比例代表や他選挙区への国替えも含めて選挙に出られない状況に追い込まれたのです。楾先生のはしごを外した立憲民主党が、今度は宮口議員を使い捨てにしたのです。だが、筆者にはこの結果は予想できました。

◆「宮口さんは具体的に政策が分かる人ではないから」と立憲広島

なんどか、ご紹介していますが、重要なことなので繰り返します。2021年4月上旬の前半。すでに再選挙の告示が迫っている時期でした。

筆者は、広島3区市民連合幹部から「どうか、宮口さんとの一本化をしてほしい」と要請を頂いていました。ただ、政策も何もなしに一本化では、これは、自民党を批判できなくなる。そう考え、宮口さんサイドに話し合いをお願いするメールをお送りしました。具体的には「伊方原発の即時廃炉を含む原発ゼロ」でわたしが降りて宮口さんを支援するということを考えていたのです。

そうした趣旨で筆者が宮口さんにメールに対して、宮口陣営幹部だった立憲広島の地方議員にお電話をいただきました。それは「宮口さんは具体的な政策が分かる人ではないから」です。

宮口さんは政策が分かるか人かどうか? 実際のところは本人ではないからわかりません。問題は、そういう認識で当時の立憲広島が宮口さんを楾大樹先生のはしごを外してまで擁立したことです。なお、当時は、筆者は楾先生が候補者に実は内定していたのにはしごを外された、と言う話はうかがっていませんでした。

「ダメだこりゃ。立憲民主党」と筆者は判断し、予定通り立候補し、20848票をいただきました。

もう一度申し上げます。宮口さんに対して「具体的に政策が分かる人ではないから」という認識で選挙をしていた立憲民主党さん。楾大樹先生に対しても失礼ですし、宮口さんに対しても失礼です。

2024年12月に森本真治議員で一本化することが決まった後、そうはいっても何らかの形で宮口さんの処遇を党が考えるとの期待をご本人も持っておられたようなSNS投稿はされていました。

宮口さんの支持者の中にもそれを期待する向きもありました。しかし、立憲広島の幹部の本音が、「宮口さんは具体的に政策が分かる人ではないから」である以上、宮口さんに居場所がなくなるのは時間の問題でした。

女性を軽視するにもほどがあります。広島県出身の石丸伸二さん(前安芸高田市長)が東京で「政策はない」新党を結成し、多くの人から失笑を買いました。筆者も石丸さんは支持しませんが、しかし、「具体的に政策が分かる人ではない」と認識している人を担いできた立憲広島にも石丸さんを批判する資格はありません。

◆「金権腐敗」と並ぶ広島政治のもうひとつの闇「古い政治文化」を一掃しよう!


筆者は、2021年2月から3月にかけ、何度も、各野党に統一候補へ向けて公開討論会を開くよう求めました。しかし、全く、それはされなかったことは、痛恨の極みです。なるほど、当時の立憲幹部の皆様にとり、河井事件糾弾という目的のためなら、政策はどうでもよかったのかもしれない。しかし、そのつけがいま噴出しているのではないでしょうか?

公正で透明な候補者選考は、今後も求められます。これが立憲民主党内部でも、野党共闘においてもすべきではないでしょうか? 予備選挙とまでいわずとも公開討論会は開くべきではないのか?

筆者は「金権腐敗政治」と並ぶ広島の政治のもう一つの闇=「古い政治文化」を一掃し、政策議論や政治家の政治姿勢を重視する政治・選挙の在り方にリニューアルしなければならないと改めて再確認しました。

■[資料]参院選2019・再選挙2021・参院選2025関連年表

《2019年》
 7月 参院選広島=改選数2。河井案里さんが当選。

《2020年》
 6月18日 河井案里さんと夫の克行さんが公選法違反・買収容疑で逮捕される。
 本社社主・さとうしゅういち、各地での街頭演説で補選の場合の立候補を表明。


《2021年》
 2月3日 河井案里さんが議員辞職表明(法的には当選無効に)
 2月4日 本社社主・さとうしゅういち、野党各党の県連などを訪問し、推薦願を提出 各野党に公開討論会の開催など求める。
 3月10日 本社社主・さとうしゅういちが記者会見で立候補表明 「広島の政治をリニューアル」
 3月14日 宮口氏が立候補表明。本社社主、あらためて、宮口氏を含む各候補に公開討論会呼びかけも実現せず。
 4月上旬 市民連合幹部から野党系候補者一本化への要請をいただく。それを受け、立憲系無所属(当時)宮口氏陣営にメール。伊方原発廃炉含む原発ゼロでの一本化を申し出るが、宮口陣営幹部の立憲県議は「宮口さんは具体的な政策が分かる人ではないから」と電話で返答。その女性蔑視ぶりにあきれる。一本化を断念する。
 4月8日 参院選広島再選挙告示 
 4月25日 投開票。本社社主・さとうしゅういちは、20848票を獲得。

《2023年》
 4月 本社社主・広島県議選に立候補。楾大樹先生も応援に駆けつけてくださる。
 立憲民主党から楾先生が声を掛けられていたのに、はしごを外されていたことを知る。 
 7月 祇園公民館で檻の中のライオン講演会
 8月 祇園のカラオケ喫茶で檻の中のライオン講演会
 12月 呉で本社主催の檻の中のライオン講演会

《2024年》
 4月 楾先生が『茶番選挙 仁義なき候補者選考』(あけび書房)出版。
    6月から県内各地で出版記念講演会開催
 12月 立憲広島、2025参院選広島で宮口議員を公認申請せず、森本しんじ参院議員に一本化。

《2025年》
 1月20日 宮口議員が立憲民主党に離党届
 2月16日 投票率も人口流出もワーストワン!これでいいのか広島!?
 「檻の中のライオン」楾大樹先生と広島を語り合う会(開催予定)

【告知】投票率も人口流出もワーストワン!これでいいのか広島!?
「檻の中のライオン」楾大樹先生と広島を語り合う会
ところ 広島市東区牛田公民館研修室3
とき 2025年2月16日(日)13時開場 13時半開始 15時45分終了 ※オンライン併用
楾先生からのお話しの後、フリートークなど。
主催 広島瀬戸内新聞
問題提起 楾大樹(はんどう たいき)先生(弁護士、元広島県民) 
聞き手 さとうしゅういち(広島瀬戸内新聞代表)
参加費 2000円(書籍・『茶番選挙 仁義なき候補者選考』代込み)

※本書購入済みの方は会場にご持参の上、700円。オンライン参加の場合も700円。本書をご自身でご購入下さい(右のQRコードから購入できます)。また、広島都市圏内の方はなるべくリアル参加をお勧めします。オンラインはzoomです。ご連絡の上、指定口座までご送金ください。

連絡先:佐藤 090-3171-4437 hiroseto2004@yahoo.co.jp 
 X(旧Twitter):@hiroseto

広島は平和都市として持ち上げられ、現在、広島駅前など、町並みはリニューアルが進行中です。だが、本当の意味で、広島はリニューアルされているのでしょうか?

広島県は、3年連続人口流出全国ワーストワン。特に若い人が広島から出て行かれています。そして、衆院選2024では、投票率も48.4%と全国ワーストワンを記録してしまいました。産業廃棄物への規制も緩く、三原や安佐南区をはじめ県内各地に全国からゴミが押し寄せ、大問題を引き起こしています。

為政者を「ライオン」に、憲法を「檻」にたとえ、為政者を主権者がきちんとチェックしていくことが大事という「檻の中のライオン」を著し、全国各地1100箇所以上で講演され、つい最近、広島からの転出を決意された弁護士・楾大樹先生。実は、参院選広島再選挙2021の某政党の候補者にも内定したものの、はしごを外されるという経験もされています。

24年にはその経験をレポートした『茶番選挙 仁義なき候補者選考』を出版されました。広島の政治の舞台裏を見てしまった楾大樹先生を囲み、郷土・広島が抱える課題について語り合いませんか?

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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