今年2025年の本通信では、試合の結果だけでなく試合告知とその見どころも、限られた範囲ながら解説していければと思います。今回は2月2日、2月22日、3月2日開催の3つの興行の見どころです。
2月2日開催、NJKF CHALLENGER 7
武田幸三氏が2023年にニュージャパンキックボクシング連盟に移籍し、掲げていた“CHALLENGER”は今回で7回目となります。
今回の興行は王座初防衛戦が2試合、大田拓真、吉田凛汰朗が迎え撃ちます。
◎NJKF CHALLENGER 7 / 2025年2月2日(日)後楽園ホール 17:15~
主催:(株)オフィス超合筋 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)
《主要5試合》
◆メインイベント NJKFフェザー級タイトルマッチ 5回戦
第14代選手権者.初防衛戦.大田拓真(新興ムエタイ/1999.6.21神奈川県出身)
vs
挑戦者1位.TAKAYUKI(=金子貴幸/K-CRONY/1988.11.18茨城県水戸市出身)
NJKFのエース格、大田拓真は2019年6月に新人(=あらと/E.S.G)に判定勝利でWBCムエタイ日本フェザー級王座奪取(防衛1度)。昨年2月にNJKFフェザー級王座決定戦で笹木一磨(理心塾)に大差判定で勝利し王座獲得。ONE CHAMPION SHIPには2023年9月から出場して4戦3勝(1KO)1敗の戦績を残し、日本・タイで注目される存在。ここでTAKAYUKIに負けることは考え難いが油断はならない。
TAKAYUKIは昨年10月20日の大阪府堺市で、NJKFフェザー級次期挑戦者決定戦3回戦で僅差ながら坂本直樹(道場373)を判定で破り挑戦権獲得。TAKAYUKIは2016年5月に雄一(TRASH)との王座決定戦でNJKFスーパーバンタム級王座獲得し、1年後に前田浩喜(CORE)に敗れ陥落。なかなか地道な努力でキック人生を送っている中で、8年ぶりの王座獲得を狙い、トップに立つ大田拓真と互角以上に渡り合えるか。
◆セミファイナル NJKFスーパーライト級タイトルマッチ 5回戦
第7代選手権者.初防衛戦.吉田凜汰朗(VERTEX/2000.1.31茨城県出身)
vs
健太(=山田健太/E.S.G/1987.6.26群馬県出身)
両者は2023年4月に64.0kg契約3回戦で対戦し、健太が自分の距離で戦う駆引きの上手さで判定勝利しています。
吉田凜汰朗は一昨年9月に畠山隼人(E.S.G)を倒して王座獲得。
健太は2008年5月にNJKFウェルター級王座決定戦で太陽照明(インスパイヤードモーション)に判定勝利で獲得。2010年5月にも太陽照明にTKO勝利してNJKFスーパーウェルター級王座獲得2014年9月にはT-98(=今村卓也)に判定勝利でWBCムエタイ日本ウェルター級王座獲得(防衛1度)。その後、ウェイトダウンしてライト級でも戦った健太は現在のベストウェイトで王座挑戦となりました。
吉田凛太朗が健太のペースに惑わされず完全KOでもすれば一躍NJKFのトップクラスでしょう。健太は100戦を超えるベテラン技、5回戦の戦い方で吉田を上回って主導権支配出来るか。
◆第8試合 53.0kg契約3回戦
S-1女子世界バンタム級チャンピオン.☆SAHO☆(闘神塾/1999.10.15兵庫県加西市出身)
vs
ダンコンファー・クアットペットノーイジム(タイ/経歴不詳)
SAHOは第3代K-1 WORLD GP女子フライ級、S-1女子日本バンタム級、WMC女子日本スーパーバンタム級、ミネルヴァ・スーパーバンタム級などの王座を獲得した女子チャンピオンとしての存在感は大きい。
◆第7試合 72.5kg契約3回戦
匡志YAMATO(大和/ 1993.1.29愛知県海部郡出身)
vs
雄也(MY/経歴不詳)
匡志(=まさし)は2018年5月にNJKF日本スーパーウェルター級王座獲得。2020年7月にWBCムエタイ日本スーパーウェルター王座獲得も、コロナ禍により防衛戦が長期延期された経緯があります。
◆第6試合 51.5kg契約3回戦
S-1世界フライ級チャンピオン.優心(京都野口/2002.5.28京都府出身)
vs
NJKFフライ級チャンピオン.西田光汰(??/2001.2.13愛知県出身)
優心は昨年12月17日に京都でマッファン・ゲッソンリット(タイ)とS-1世界王座を争い、引分け(1-0)、チェアマン裁定で優勢を受け王座獲得。NJKFではフライ級前チャンピオンでした。
西田光汰は昨年9月に谷津晴之(新興ムエタイ)とNJKFフライ級王座決定戦を行ない、引分けも優勢支持で王座獲得。本来なら西田が優心に挑戦するNJKFタイトルを懸けた戦いがファンの観たいところだったでしょう。
2月22日開催、今年の日本キックボクシング連盟は“爆発シリーズ”!
高橋一眞(真門)が引退返上したNKBライト級王座を、棚橋賢二郎と乱牙で争われます。
◎爆発シリーズvol.1 / 2月22日(土)後楽園ホール 17:15~
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会
《主要3試合》
◆メインイベント NKBライト級王座決定戦 5回戦
1位.棚橋賢二郎(拳心館/1987.11.2新潟県出身)
vs
2位.乱牙(=蘭賀大介/ケーアクティブ/1995.2.9岩手県出身)
棚橋賢二郎は強打の右ストレート、右ローキックが得意で、過去2度、髙橋一眞が持つNKBライト級王座に挑戦をしていますが撥ね返され奪取成らず。3年振り3度目の挑戦で戴冠目指します。
乱牙は右ストレート、右ミドルキックで好戦的に展開し、プロデビューから2年8ヶ月で王座挑戦となります。
◆セミファイナル 66.7kg契約 5回戦
NKBウェルター級級チャンピオン.カズ・ジャンジラ(JANJIRA/1987.9.2東京都出身)
vs
どん冷え貴哉(TOKYO KICK WORKS)
両者は、2021年4月24日に3回戦制で対戦し引分け。今回は5回戦制で決着戦を迎えます。
カズ・ジャンジラは2023年2月に笹谷淳(team COMRADE)とNKBウェルター級王座決定戦を行ない、判定勝利で王座獲得しています。
どん冷え貴哉は今回の試合からTOKYO KICK WORKSへ移籍しての出場です。
◆スーパーバンタム級 3回戦
片島聡志(元・WPMF世界スーパーフライ級Champ/Kick Life/ KickLife/1990.10.19大分県出身)
vs
WMC日本スーパーフェザー級チャンピオン.吏亜夢(=松本吏亜夢/20歳/ZERO)
片島聡志が常連となった日本キックボクシング連盟興行では久しぶりの出場。若い吏亜夢に老獪なテクニックで翻弄出来るか、吏亜夢がベテランを喰う成長を見せるか。
3月2日開催、聖地を揺るがせるか、新日本キックボクシング協会興行!
現在の新日本キックボクシング協会の主力メンバー、瀬戸口勝也、ジョニー・オリベイラ、木下竜輔出場。他団体選手を含め、誰がメインイベンターに迫るインパクトを残すか。
◎MAGNUM.61 / 3月2日(日)後楽園ホール 17:15~
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会
《主要4試合》
◆WKBA世界フェザー級王座決定戦 5回戦
日本フェザー級チャンピオン.瀬戸口勝也(横須賀太賀/1983.8.1鹿児島県出身)
vs
NJKFフェザー級4位.赤平大治(VERTEX/2001.10.31栃木県出身)
瀬戸口勝也は2020年2月に平塚一郎(トーエル)と日本フェザー級王座決定戦を行ないKO勝利で王座獲得。コロナ禍を経て2022年10月に瀬川琉(稲城)にTKO勝利して初防衛。昨年3月に山浦俊一(新興ムエタイ)に判定勝利。5月にはガン・エスジム(タイ)に判定負け。10月に辰樹(Y’ZD)に1ラウンドで倒されるTKO負け(王座戦以外は3回戦制)。
赤平大治は昨年7月に山川敏弘(京都野口)にKO勝利も12月に大岩竜世(KANALOA)に3回戦2-1の判定負け。連敗中の瀬戸口勝也が汚名返上と、一気に新日本キックボクシング協会の最高峰に立てるか。
◆日本スーパーフェザー級タイトルマッチ 5回戦
初代選手権者.ジョニー・オリベイラ(トーエル/ブラジル出身46歳)
vs
挑戦者2位.木下竜輔(伊原/1996.2.12福岡県出身)
木下竜輔は2021年4月デビュー。2022年年5月15日に王座挑戦経験を持つジョニー・オリベイラを第1ラウンドに右ストレートで倒すTKO勝利で一気に脚光を浴びる存在となった。両者は昨年3月3日に日本スーパーフェザー級王座決定戦で再戦し、ジョニー・オリベイラが判定勝利で王座獲得となりました。
ジョニー・オリベイラは昨年5月にペットボーライ・チュワタナに判定負け。7月に辰樹(Y’ZD)に判定0-3負け。10月に匠(KING)に判定2-0負け。チャンピオンに成ってまだ勝利を得ていない中で存在感を示さねばならない(王座戦以外は3回戦制)。
NJKF発祥の女子タイトル、ミネルヴァが団体の垣根を越えて広域にタイトル戦が行われる存在となって来ました。
◆女子(ミネルヴァ)スーパーバンタム級タイトルマッチ 3回戦
選手権者.浅井春香(無所属/1987.1.22愛知県大府市出身)
vs
挑戦者4位.珠璃(=安黒珠璃/闘神塾/2006生)
二度の防衛はいずれも引分け。現在フリーだが、勝って防衛したい浅井春香は勢い有る珠璃を翻弄することが出来るか。
◆女子(ミネルヴァ)ペーパー級(95LBS)タイトルマッチ 3回戦
選手権者.上真(ROAD MMA/1985.10.16石川県出身)
vs
挑戦者1位.撫子(GRABS/2000.7.7北海道札幌市出身)
上真は昨年10月13日に王座決定戦でAIKO(AX)と引分け延長戦で勝利し王座獲得。
挑戦権を得ていた撫子は以前の最軽量級のピン級(100LBS)チャンピオンだったが王座返上し、新たに設立された最軽量級のベストウェイトでチャンピオン目指す。
※ ※ ※
以上は協会や連盟といった団体制で行なわれている興行の一部のスケジュールです。
タイトルの価値に賛否の意見や疑問符付く試合もありますが、各団体の活性化と生き残りを懸けた戦いを長い目で見て行きたいところです。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」